今回の【駅】シリーズは、
山梨県北端部、長野県との県境に近い八ヶ岳南東側に広がる観光地かつ避暑地・清里高原に位置する小海線【愛称:八ヶ岳高原線】の駅で、かつては観光客が大挙押し寄せたものの近年は沈静化しており、2024年には無人駅になってしまった、山梨県最北端の駅かつJRグループで2番目に高い所にある駅(標高1,275m)、
清里駅 (きよさとえき。Kiyosato Station) です。
尚、写真は2023年訪問時のもので、当時は有人駅でした。現在は無人化されていますが、記事は有人駅時代の情報も記載しています。ご了承下さい。
駅名
清里駅 (駅番号なし)
所在地
山梨県北杜市 (旧・北巨摩郡高根町)
乗車可能路線
JR東日本:小海線【愛称・八ヶ岳高原線】
隣の駅
小淵沢方……甲斐大泉駅
小諸方………野辺山駅 (長野県)
訪問・撮影時
2023年8月
駅概要
駅形態……………地平駅(1933年開業)。
駅舎………………南側に1975年改築の鉄筋コンクリート造平屋建て駅舎あり。
出入口……………南側のみ。北からは約200m西の踏切を渡って南側へ。
バリアフリー……×(駅外~改札~各ホームまで段差無しですが、
2番線のスロープは簡易手すりがあるものの傾斜が急です。
また、車両にステップがあるため、車いすに対しては非対応。
車いすの場合は事前にJR東日本へ連絡を)。
点字ブロック……駅出入口~駅舎内~各ホーム間に設置。
駅前広場…………○(ロータリー・バス停留所・タクシー乗り場あり)。
清里駅は高台にあり、駅前交差点から駅舎までは坂道を登ることになります。
ロータリーへの進入路の左側には公園風の駅前広場があり、そこの階段またはスロープを登ると駅舎に到達します。
北~北西を望む。
正面口です。西を望む。
清里駅の駅舎はホームの南側にあり、1975年に現在の駅舎へと改築されました。
国鉄としては結構頑張ったデザインになっていますが、今となってはレトロ感が出ています。
出入口に段差はありません。
駅舎の左前方にはテラスが延びており、その先に後述の西口があります。
正面口の東側、ロータリーや「清里駅前観光総合案内所あおぞら」の前には、
蒸気機関車(SL)のC56 149が静態保存されています。屋根が設置されているので、外観の状態は良好です。
西を望む。
蒸気機関車の東側には「清里駅前観光総合案内所あおぞら」があります。
東を望む。
蒸気機関車の南側~東側にはロータリーがあります。
南を望む。
正面口を出て、駅前広場の階段またはスロープを下ると駅前の市街地に到達します。
南を望む。
公園の坂下には、かつて清里高原地区で使用されていたと思われるレトロ調のバス2台が静態保存されています。
こちらは屋根が付いていないため、きちんとメンテナンスをしないと陳腐化の進行が早くなると思われます。
東を望む。
正面口駅前です。駅前交差点より南を望む。
右後方に駅前広場と清里駅が、後方にロータリーがあります。
駅前は景観に配慮してか、三角屋根の建物が目立ちます。メルヘン調の建物も多いです。
駅前通り沿いは電線が地中化されていて、スッキリとした景観です。
駅前には商店が点在しており、清里高原エリア一帯には多くのペンションなどの旅館が見られます。
尚、昭和後期~平成初期のバブル期までは清里ブームが起きており、観光客向けの商店が軒を連ねていましたが、
バブル崩壊後に観光客が激減して衰退してしまい、現在は多くの店舗が閉店となり空地も増えています。
そのため「メルヘン廃虚」などと言われることもあるようです…。
それでも、今なお清里高原エリア一帯には多くのリゾート施設が見られ、シーズンには賑わっているのですが、駅近くには少ないのが現状です。
北西側に八ヶ岳がある関係で、南へ進むほど標高が下がります。
そして、駅から1.1kmほど東へ進むと、長野県南牧村です。
正面口駅前です。駅前交差点より西を望む。
右前方に駅前広場と清里駅が、右手にロータリーがあります。
前方に延びる県道11号線(別名:八ヶ岳横断道、八ヶ岳公園道路、八ヶ岳高原ラインなど)沿いが駅前商業地区で、沿道には三角屋根の建物が並んでいます。
この界隈は今も営業している店舗が多いです。
約100m先、県道右側にある清里駐在所とコンビニ「ファミリーマート」の間の路地へ入ると後述の西口に到達します。
駅南西側、清里駐在所(右)とコンビニ「ファミリーマート」の間から北へ延びる路地を進むと、右手に清里駅西口があります。
写真は北を望む。
そして行き止まりの少し手前で右へ曲がると、西口に到達します。東方向を望む。
出入口前はテラスになっており、ベンチが置かれています。
但し駅外と駅舎の間の段差は階段のみで、バリアフリー非対応です。
車いすの場合は前述の正面口へお回り下さい。
西口を出て左へ曲がり、坂を下ると駐在所・ファミマ前に到達します。
西~南を望む。
西口駅前です。東を望む。左が西口です。
左前方に正面口駅前広場の公園があり、その斜面の上に駅舎(正面口)と駅前広場があります。
西口駅前です。西を望む。右が西口です。
西側も清里らしい三角屋根の建物が多く建ち並んでいます。
奥に延びる県道11号線沿いには商店が点在しています。昔はもっと賑わっていたかもしれませんが…。
県道11号を道なりに進むと右へカーブして小海線を踏切で渡り、駅北側へ行くことができます。
駅北側は北西にそびえる八ヶ岳の斜面に広がる、高原地帯の森に囲まれた別荘地が広がっています。ペンションも点在しています。
約1.3km北には野外コンサートスペースのある公園「清里の森」があります。
また、約1.9km北西にはキープ協会により運営されている宿泊研修施設「清泉寮」があり、濃厚なソフトクリームが有名です。
そして、直線距離で約8km北西の、長野県との県境には、周辺地域のシンボルになっている八ヶ岳がそびえています。清里駅は登山客の乗降も見られるそうです。
また、八ヶ岳の斜面にはサンメドウズ清里スキー場もあり、夏だけでなく冬期も清里高原は観光需要があります。
改札口です。北~北西方向を望む。
右手が正面口、後方が西口です。
2024年3月25日までは有人駅でしたが、翌26日に無人化されました。
写真は2023年8月撮影で、有人駅時代のものです。
以下は無人駅になった後の情報です。
駅員配置………なし(無人駅。2024年無人化)。駅事務室は閉鎖されています。
自動改札機……なし(無人駅なのできっぷの場合はそのまま入場して下さい
ICカードはタッチが必要)。
ICカード………利用可。
但し、小海線内では小淵沢・清里・野辺山の各駅以外は利用不可。
入場時・出場時は改札口にあるICカード読取機にタッチします)。
幅広通路………○(窓口跡に面した左側通路。車いす対応幅。点字ブロック設置)。
改札窓口………左側にありましたが、閉鎖されています。
出札窓口………左手前にありましたが、板で塞がれて閉鎖されています。
自動券売機……あり(改札口の左手前。ICチャージ可)。
指定席券売機は無人化前日をもって撤去されました。
自動精算機……なし(きっぷで乗り越しの場合は事前に運転士に申し出て下さい。
IC残額不足の場合は一旦改札を出て
自動券売機でチャージしてから出場用にタッチを)。
トイレ…………あり(駅前広場下のみ。車いす対応トイレ併設)。
他改札設備……きっぷ回収箱(改札口ホーム側)。時刻表・近距離運賃表(駅舎内)。
付帯設備………待合室(駅舎内、空調なし)、飲料自動販売機(正面口前)。
売店……………なし。
コンビニ………なし(最寄店舗は西口下の「ファミリーマート」)。
改札口にはラッチがありましたが、無人化された現在も残っていると思われます。
有人駅時代は左側に指定席券売機とコインロッカーがありましたが、
無人化のため撤去されました。
清里が復権しない限り、再有人化は無いでしょうね…。
そして、改札口の先は上り小淵沢方面1番線ホームです。
1番線に出て右へ曲がると構内踏切で、渡ると下り小諸方面2番線ホームに到達します。
構内踏切前後の段差は階段とスロープが設置されていて、一応、清里駅はバリアフリー化されていますが、2番線側のスロープは傾斜が急で、手すりも簡素なので、車いすやベビーカーの場合は注意が必要です。まぁ、それ以前に小海線で運用される車両には低床ホームに対応すべくステップが付いているため、小海線としてはバリアフリーに非対応です。車いすで小海線をご利用の場合は、乗降する駅にかかわらず事前にJR東日本へお問い合わせ下さい。
また、以前は1番線に出て右側、構内踏切の手前にトイレがありましたが、無人化とともに閉鎖されています。
2023年当時の駅舎内です。
現在は無人化により様子が変わっています。
指定席券売機は撤去されました。
2019年頃までは駅舎内で「おぎのや」が季節営業していて、「峠の釜めし」を販売していました。
改札内より改札口を撮影。南を望む。
木彫りの駅名看板が印象的です。
右手にはきっぷ回収箱があります。
1番線ホームの小諸方にて。
向こう側には駅正面口が見えますが、かつてはこの場所に臨時改札口があったかもしれません(推測ですw)。
2023年時点で、この場所にベンチが置かれていました。
2番線に設置の建植式駅名標です。非電照式です。
観光用車両「HIGH RAIL 1375」を使用した観光列車の停車駅である事から、八ヶ岳の星空をデザインした絵入りの特別仕様駅名標になっています。
尚、小海線には小淵沢駅を除き駅ナンバリングが導入されていません。
2番線に設置されている、清里駅の標高を示す標柱です。
清里駅の標高は約1,275mで、JRグループの駅の中で2番目に高いです(No.1は同じ小海線の野辺山駅)。
山梨県内では清里駅が一番標高が高い駅です。
こちらは縦型の駅名標です。
国鉄時代からのものと思われます。
駅構造……地平駅(南西~北東方向)。
配線………相対式ホーム2面2線。
左(南)が1番線で上り小淵沢方面、右(北)が2番線で上り野辺山・小海・小諸方面です。
ホーム有効長……4両分。
ホームドア………なし。
ホーム幅…………標準レベルですが、小淵沢方の端(奥側)は狭くなっています。
上屋(屋根)………中ほどの1番線は3両分、2番線は0.5両分。
ホーム上設備……ベンチ(各ホーム)。待合室(2番線のみ。ベンチ有。空調なし)。
1番線ホーム中ほどに面して駅舎・改札口があり、両ホームの小諸方の端(手前側)に構内踏切があります。
1枚目は構内踏切より、2枚目は1番線より、3枚目は2番線より、全て小淵沢方を望む。
1枚目と2枚目は1番線(右)より、3枚目は2番線(左)より、全て小諸方を望む。
1番線の方が若干ホーム有効長が長いです。
また、2番線の外側には側線が1本あります。
ホームの形状から以前は3番線として使用されていた可能性が高いです。
現在は小諸方が行き止まりになっており、小淵沢方からしか出入りできません。保線用側線として使用されているのでしょうか?
上写真は小淵沢方を望む。下写真は小諸方を望む。
2番線より小淵沢方を望む。
先に右端の側線が2番線に合流し、その後に両開き分岐器で1番線と2番線が合流します。
この先、すぐに清里高原の市街地を出て、下り勾配で八ヶ岳南麓の森林の中を南西へ走りますが、やがて深い谷を刻む川俣川(東沢と西沢の2本)を谷が浅い場所で渡るため、オメガカーブを描いて北へ迂回します。飯田線でよく見られる田切地形とオメガカーブの関係と類似しています。オメガカーブが終わると別荘地の中を西南西へ走るようになり、甲斐大泉駅へと至ります。
上写真は1番線より、下写真は2番線より、いずれも小諸方を望む。
両ホーム端の先にはスロープと構内踏切があります。
また、2番線の左の3番線は構内踏切の辺りで行き止まりになっています。
この先、すぐに清里高原の市街地を出て、上り勾配で八ヶ岳東麓の森林の中を北へ走り、やがて長野県南牧村に入るとすぐに右へカーブして、JR鉄道最高地点(標高1,375m)を通過します。左手に標高を示した標柱が見えます。その後は八ヶ岳東麓の畑が広がる野辺山原の高原風景の中を緩やかな下り勾配で東北東へ走り、やがて左手に住宅が増えてきて左へカーブすると進路を北寄りに変え、JRグループで最も高い所にある駅(標高1,345m)、野辺山駅へと至ります
あとがき
下車(乗車)時・・・2023年(駅訪問のため)。
相対式ホーム2面2線で、南側には国鉄時代中期に改築された立派な駅舎がありますが、無人化された今、老朽化した駅舎はいつ簡易駅舎に改築されても不思議ありません。駅前はリゾート地としておしゃれな外観の町並みが形成されていて、商店も立ち並んでいますが、以前ほどの勢いはないようです…。現に、私はお盆休みに訪問したのですが、駅や駅前の人通りは少なく、道路も空いていました。
鉄路のみでのアクセス(ルートは一例です)
東京から・・・当日到達可能、日帰り往復可能。
中央東線特急『あずさ』で小淵沢へ。小海線に乗換。
大阪から・・・当日到達可能、日帰り往復可能。
東海道新幹線(名古屋)中央西線特急『しなの』(塩尻)
中央東線特急or普通(小淵沢)小海線普通。
食料・飲料 (500m以内)
コンビニ・・・・・・なし (西口前に「ファミリーマート」あり)
飲食チェーン店・・・なし (1km圏内に店舗はありません)
特に大阪からの到達難易度が高いですが、小海線【八ヶ岳高原線】を乗り鉄の際は、ぜひ一度は清里駅でも途中下車してみて下さい!
そして清里観光の際はぜひ小海線をご利用になり、清里駅も観察してみて下さい!
(参考:JR東日本のHP、地理院地図、Google地図、Wikipedia)