【2019年6月特別養子改正】受益者連続信託と養子縁組どちらを提案すべきか!? | 家族信託・生前対策コンサル活用術|斎藤竜

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リーガルエステートの代表・司法書士 斎藤竜|士業・専門家がゼロから始める家族信託・生前対策活用術|低単価手続き代行から高収益コンサル業務へ移行するには?

家族信託・民事信託の活用事例として
子供がいない夫婦の対策で
「親→子→孫」や「夫→妻→次男の子」などのように
受益者連続型信託の活用を検討する先生も
多くいると思います

しかし、あえて連続型信託を活用しなくても
子供がいない夫婦について
従来からある“養子縁組”の制度を活用することによって
対策がとれてしまうこともままあります

専門家としては、
子供がいない夫婦の対策として、
“受益者連続型信託”と“養子縁組”どちらを活用すべきか
そのメリット・デメリットを押さえておく必要があります

今回の記事は下記のとおりです

・養子縁組制度を改めて確認する
・年齢制限など特別養子縁組制度の改正予定があるので注意!
・養子縁組を提案するにあたって注意すべき5つのポイント
・受益者連続型信託と養子縁組どちらを提案すべきか


この記事を読むことで、
連続型信託と養子縁組制度の使い分けができるはずです。

それでは、どうぞ。


|養子縁組制度を改めて確認する



まずは、改めて養子縁組制度を理解しておく必要があります

皆さんご存知の通り、養子縁組には2種類あります
「普通養子」と「特別養子」です

通常「養子縁組」といえば「普通養子」のことを指しますが、
こちらは養子となる者が実親との親子関係を維持したまま、
養親となる者との間にも親子関係を持つこと
になります
そのため、従前の実親との親族関係は消滅しません

実親と養親のそれぞれの親子関係が生じるので、
実父が死亡した際も養親が死亡した際も
いずれも相続権を得ることができます

一方「特別養子」は、例えば幼いころに親が亡くなったりするなど
特別な事情があるケースを想定して作られた制度です

養子と実親との関係は消滅し、

養親との間にのみ親子関係が生じます


親子関係がなくなることで、実親が死亡した際の
相続権はありません



|年齢制限など特別養子縁組制度の改正予定があるので注意!



特別養子縁組制度については、
2019年6月7日に民法が改正され、
養子となる者の年齢については原則6歳未満であったところ、
特別養子制度の利用拡大を図るため条件が緩和され、
原則15歳未満に引き上げられました

改正法の施行日は、改正法の公布日である
2019年6月14日から1年以内の政令で定める日に
施行される予定です


生前対策実務に携わる専門家においては、
頭の中にいれておくべき事項ですので注意しておきましょう
参考:法務省HP


|養子縁組を提案するにあたって注意すべき5つのポイント

養子縁組を検討する際は、
法律の考え方が民法と税法で異なることに注意が必要です

養子縁組制度の運用については民法が処理しますが、
相続税における相続税の計算においては、
税法を確認していく必要があります

①相続税の基礎控除枠



養子縁組のメリットとして、
相続税の基礎控除枠を増やすことができます

基礎控除枠は

「3000万円+600万円×法定相続人の数」です

養子は被相続人の「子」扱いになり
法定相続人に参入できるので、
養子を増やせば基礎控除枠が増えます


この部分で民法と税法で取り扱いが異なります

民法上は養子を何人でもとって構いませんが、
税法で同じ扱いにすると基礎控除枠が無制限に拡大してしまい、
相続税が簡単に節税できてしまいます

そこで相続税の計算上は
養子の数に制限が設けられており、
普通養子については、被相続人に実子がある場合は1人まで、
実子がいない場合でも二人までしか加えることができません


なお、特別養子については実子扱いとなるため、
上記のような人数制限はありません



②生命保険など非課税財産枠の拡大



相続税の計算においては課税対象となる相続財産の算定の際に
「非課税財産」を差し引いて計算することができます

非課税財産は相続税計算時における

相続財産に算入されないため

相続財産の価額を小さくして

相続税の負担を下げる意味があります

一定の生命保険金や退職手当金については
相続税の非課税財産とすることができるルールがあります

非課税財産の限度額は両者共
「500万円×法定相続人の数」となっているので、
基礎控除枠と同じように養子が増えると

非課税財産の枠が増えることになります。

ただしこちらも

被相続人に実子がある場合は1人まで、
実子がいない場合でも二人までの養子しか

加えることはできません
特別養子が実子扱いになる点も同じです


③二割加算ルールに対する養子の影響



相続税の計算において
法務の専門家において漏れがちなルールとして
「二割加算ルール」があります。

これは、被相続人の一親等の血族(代襲相続人を含む)
及び配偶者“以外”の者の相続税については
税額が二割増しにな
るというものです

例えば被相続人の兄弟姉妹や孫などが
遺産を承継することになった場合は、
この二割加算のルールが適用になります

孫については実子が既に死亡しているなど
代襲相続人となった場合は
二割加算の適用は受けないのですが、
問題は孫を養子にしているケースです

「孫養子」については、
子が生存している場合は、本来の子がいるので、
相続税の負担が二割負担を受けることに注意が必要です


相続税の2割加算を踏まえて、
養子縁組提案を提案する必要があるので、
そのルールはきちんと頭にいれておきましょう
参考:国税庁HP


④各相続人の相続分及びの遺留分の減少



養子を迎えることは相続人の人数が
全体で増えることになります
そして、養子をとることによって
同時に他の相続人の遺留分枠の減少にもつながります


相続分・遺留分の減少による相続人間の感情にも配慮が必要です


⑤氏の変更



養子縁組により氏が変更されます
そのため、氏の変更をしてもよいのか確認が必要です

ただし、
“結婚による氏(婚氏)”が養子縁組による氏(養氏)に優先する
婚氏優先の原則があるため、
氏を変更しないで済む場合もあります


|受益者連続型信託と養子縁組どちらを提案すべきか



受益者連続型信託においては、
養子縁組制度で述べたような、
非課税枠の取り扱いはありません

また、第二受益者以降が当初受益者の
一親等の血族(代襲相続人を含む)
及び配偶者“以外”の者である場合には、
相続税額が二割増しになります

身分上の変動がないため、
相続分、遺留分、氏、相続税などの計算など
変更がありません

そして、もう一つ注意しなければならないこと、
それは、受益者信託において、
信託終了時に不動産を帰属権利者に帰属させる場合に、
帰属権利者が“当初委託者の法定相続人”でなければ、
登録免許税法第7条2項の軽減措置の適用はなく、
登録免許税が一般原則の2%

(軽減措置の適用がある場合0.4%)
になってしまう
ことです

軽減措置については、下記の記事にまとめておりますので
そちらを確認してみてください
参考:受益者連続型信託の税務の落とし穴とは!?

 

 

|まとめ

 

・養子縁組制度には、普通養子と特別養子制度がある

・普通養子は実親と養親の二重の相続関係があるが、特別養子は実親からの相続関係は消滅する

・15歳以上の年齢制限など特別養子縁組制度の改正予定があるので注意!

・養子縁組を提案するにあたって①相続税の基礎控除枠、②生命保険など非課税財産枠、③相続税2割加算、③相続分及び遺留分の変動、④氏の変更に注意

・受益者連続型信託と養子縁組それぞれのメリット、デメリットを確認しておく

 

子供がいない夫婦など、

数次相続対策を検討していくにあたっては、

受益者連続型信託のみならず、養子縁組など

既存の制度の活用も検討材料です

 

養子縁組制度と受益者連続型信託の

それぞれのメリットとデメリットを頭に抑えながら、

いずれかを活用する、

または、税務上の特典を利用するため、

併用するなどといった顧客の状況に応じて設計が必要となってきます

 

場合によっては、

あえて“受益者連続型信託”などの活用をしなくても、

子世代を飛ばして相続対策ができる、

“養子縁組”で対策をとったほうが

複雑でなく、シンプルな相続対策ができる可能性もあります

 

新しい制度である“家族信託・民事信託”に飛びつくだけでなく、

そして既存の生前対策手法も含めて、

顧客にあったピッタリの生前対策提案を心がけていきましょう

 

今回の記事はここまで(^^)/

次回をお楽しみに!!

 


|トラブルになりやすい“底地”と“借地“のポイントを理解できていますか!?

借地、底地関係は複雑で、
その取扱いについて士業・専門家も
正しく理解していないことが多い状況です

借地権という権利の理解の他、
また地主との人間関係も重要なので、
不動産の中でも特にトラブルが起きやすくなっています

今回、借地・底地問題に詳しく、
さまざまな案件に対処してきた
プロサーチ株式会社 松尾企晴氏を
ゲスト講師にお迎えし、
借地・底地における論点や交渉術について解説いたします

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