新稀少堂日記 -935ページ目

第85回「四国八十八ヶ所 三十四番札所 種間寺(たねまじ)」



 第85回は、「四国八十八ヶ所 三十四番札所 種間寺(たねまじ)」です。 山門がなく、いきなり境内に入っていきます(札所の表示はあります)。田園地帯を歩いてきただけに、のどかな印象が強い寺院です。


 安産祈願が寺号の由来かもしれません ???? 本尊は薬師如来です。安産と水子は、表裏の関係にあるかもしれません田園の寺院のイメージが強いだけに、複雑な印象が残ります。


 次の札所まで、約12kmです。一時間ほど歩きますと、国道56線に出ます。ルート55ほどではありませんが、長い付き合いになる国道です。ですが、ルート56を歩き続けるのはまだまだ先です。今回はわずかな距離を歩くだけです。


 暑さは、耐えられないほどではありません。高知自動車の下をくぐり抜けます。次の札所まではわずかです。

第84回「四国八十八ヶ所 三十三番札所 雪蹊寺(せっけいじ)」



 第84回は、「四国八十八ヶ所 三十三番札所 雪蹊寺(せっけいじ)」です。7月7日(月)7時前、民宿の女将さんに、「昨夜はお世話になりました」(地獄に仏とは、このことです)と礼を述べ、出発します。札所間の距離は11kmですが、昨日頑張りましたので(嫌々ですが)、あと3kmです。しばらくは、桂浜に連なる海岸線を逆方向に歩いていきます。


 ベンチとか休憩所の多いエリアです。遍路道で不便に感じる内容のひとつが、腰掛けられる場所が少ないことです。疲れていますと、ベンチが雨で濡れていようと、ほこりで汚れていようと、躊躇なく腰掛けます。ただ、休憩しますと、歩き始めた時、足がうずきます。歩き始めが辛いのです。それでも腰掛けたいのが真情です。が、すぐに痛みが気にならなくなります・・・・。このエリアのベンチは、デザインも良く、清潔に管理されています。


 浦戸湾の一角に出た後、雪蹊寺まで後わずか1kmです。境内に入りますと、先客が3人いますが、1人はすぐに出て行きます。かなりの荷物を持ったお遍路さんです。時間あたり2kmが限界ではないでしょうか。苦労が忍ばれます。残りました2人は、今日から3日間、相前後することになります・・・。


 質素な境内です。八十八ヶ所では、十一番札所の藤井寺と、この雪蹊寺だけが、禅宗の寺です。若干の違和感を感じながらも、早朝の清浄な雰囲気の中、般若心経を訓(よ)み下します。よくできた、お経です。後半1/3は、自我自賛の列挙ですが、前半の2/3は極めて論理的な哲学です、弁証法です・・・・。すがすがしい気持ちで、次の札所に向かいます。約7kmの道のりです。田園地帯を歩いていきます。

第83回「四国八十八ヶ所 三十二番札所 禅師峰寺(ぜんじぶじ)」



 第83回は、「四国八十八ヶ所 三十二番札所 禅師峰寺(ぜんじぶじ)」です。前の二ヶ所の札所は、高知市内にありますが、禅師峰寺は南国市にあります。少し戻ることになります。浦戸湾に注ぐ川沿いをしばらく歩きます。


 高知県は、ビニール栽培の盛んな土地柄です。ビニール・ハウスを横目に見ながら歩き続けます。札所まで2km手前のところで、地元の婦人に宿泊施設の有無を聞きますと、しばらく無いとのことです。地元の人は、尊敬をこめて、禅師峰寺を「峰寺(みねじ)さん」と呼んでいるようです。歩行スピードを上げます。


 やがて、自動車用のルートと、遍路道の分岐点に出ます。遍路道で300m強です。緩やかな上りを、息を切らせて、上りきります。山門に行き着きます(写真参照)。通常、自動車用の道路からも、遍路道からも、山門・仁王門には行けるようになっているのですが、この寺は、遍路道だけが境内に入るルートになっています。一礼し、入ります。


 時間は、6時半です。本堂などは閉め切っています。当然、参拝者は誰もいません。山間部ですので、やや薄暗くなっています。浦戸湾・桂浜方面が見渡せます。般若心経を読経後、歩き始めます。ペースを更に上げます。浦戸湾口には大きな橋が架かっています。渡りきると桂浜です・・・・。


 ジョギングをしている男性に旅館・民宿が近くにあるかと聞きますと、橋を渡るまでは無いとのことです。禅師峰寺から7kmあります。更にペースを上げます。脚は疲労困憊の状況です。次第に暗くなり始めます。7時半頃、浦戸大橋に着きます。大きく美しい、シンプルな橋です。照明により、さらに美しく見えます。しかし、道を急ぎます。歩道区画は狭く、すれ違えないほどの幅です。横を大型車両・乗用車が通り過ぎていきます。歩いて10分程の距離でしょうか。


 橋を渡って、左に行きますと、桂浜です。懐手の坂本龍馬が、太平洋を見つめる・・・・。その銅像のあるところです。既に、夜になっています。しかし、幸いなことに照明が随所にありますので、歩くのに支障はありません。橋から1km程度の所に、二軒ほど民宿があります。一軒目は満室です、客の靴がずらりと並んでいます。


 二軒目は、OKとのことです。時間は8時を回っています。山間部ですと、野宿になりかねません。二度としたくない、長い長い一日でした。

第82回「四国八十八ヶ所 三十一番札所 竹林寺(ちくりんじ)」



 第82回は、「四国八十八ヶ所 三十一番札所 竹林寺(ちくりんじ)」です。遍路道があるかもしれませんが、表示が見つけられなかったものですから、自動車用の道路を登っていきます。寺は、山頂にあります。隣接する形で、植物園があります。


 大きな五重塔があります。境内の一角からは、一部ですが、高知市内も見渡せます。参拝が終わりましたのが、5時前です。参拝客もほとんどいません。


 宿探しのため、とりあえず次の札所に向かいます。途中で泊まれる所がありましたら、泊まるつもりです。途中で、地元の人に聞きますが、これから先には、民宿・旅館などは無いとのことです。


 三十二番札所までは、約7kmです。とにかく前へ進むことにします。今日は何時まで歩くことになるか・・・・。心を奮い立たせます。

第81回「四国八十八ヶ所 三十番札所 善楽寺(ぜんらくじ)」



 第81回は、「四国八十八ヶ所 三十番札所 善楽寺(ぜんらくじ)」です。今回から、帽子を被っています。曇り時々晴れ、って天気ですが、雲を貫き通す紫外線のためでしょうか、日焼けには、激しいものがあります。曇りでも結構焦(こ)げます。


 遅れを取り戻すべく、ペースを上げて歩きます。一度、軽い昼食休憩を取りますが、2時半過ぎには、着きます。大きな神社に隣接しています。神社の敷地の一部が、あたかも寺院のようなイメージです。写真に映っていますように、2組のバス・ツアーの参拝客がやってきます。


 早々に、読経を済ませ、次の札所に向かいます。神社の参拝路が長く続いています。きれいに敷き砂が撒かれています。結局、山門・仁王門の類は無いようです。


 遍路道は、しばらくショートカット・コースを取ります。一宮(いっく)と呼ばれる高知市の住宅地と呼ぶべき地域です。道は、うねりながらも南下していきます。次の札所のある五台山に、向かっていきます・・・・。五台山は、高知市内のどこからも見えるシンボリックな山です。約8kmの道程(みちのり)です。

第80回「四国八十八ヶ所 二十九番札所 国分寺(こくぶんじ)」



 第80回は、「四国八十八ヶ所 二十九番札所 国分寺(こくぶんじ)」です。7月6日(日)早朝、JR高徳線にて、前回中断地点に戻ります。札所まで、3kmの距離です。これが大誤算だったのです。分割打ちの最大の欠点でしょうか、また道を間違えたのです(二度目です)。お遍路モードへの切り替えに失敗しています。4kmほど遠回りしてしまいました。駅に着きましたのが、10時半でしたが、札所に着きましたのは正午を回っています。長い一日の始まりです・・・・。


 阿波の国分寺は、遠くからみますと、水田に囲まれた小さな林のように見えます。国分寺は、聖武天皇が国策により、各地に造らせた寺ですので、四国にも四ヶ所あります。いずれも、八十八ヶ所に選定されています。


 仁王門に特徴があります。道を間違えましたので、水田側から、あぜ道をとおり、境内に入り、仁王門に回りました。境内は、こけむした雰囲気に包まれ、落ち着きのある寺です。数組の自動車で回っている参拝客がいます。


 遅れを取り戻すべく、次の札所に向かいます。約11kmの行程です。前回までの遍路で、かなり日焼けしています。今日は、曇り空です。汗も出ますが、厳しい天候ではありません。

第79回「価格差と、国家管理と、タバコ1,000円」

 第79回は、「価格差と、国家規制と、タバコ1,000円」です。価格差は色々な現象を生み出します。食品の産地偽装も、その一つかと思います。


 タバコにしろ、酒にしろ、大脳に影響を与えると言う意味では、ドラッグ(麻薬)の一種と考えることもできます。では、他の麻薬との違いと言えば、「価格差」と「国家管理」が挙げられると思います。アルコールとか、タバコが、暴力団の資金源と考える人はいません。その管理は徹底していますし、きっちり徴税されています。完璧な国家管理です。


 では、欧米でタバコ1,000円を実施している国の現状はどうなるのでしょうか。国家の管理が行き届かないのです。その一つは、タバコの密輸です。密輸に関しては、例外なく発生しているようです。また、オーストラリアでは、葉を自分で手巻きしているようです。


 二点目は、ドラッグとの価格差が小さくなることです。タバコでも、大麻でも似たような価格になって、タバコすら人前で吸えなくなれば、ドラッグに走ることに疑問はありません。ほとんどの禁煙大国は、ドラッグ問題を抱えています。そして、取締りが追いつきません。かえって、全ての麻薬の合法化さえ議論の対象となります。国家による管理の失敗です。


 最終的に、日本もいずれタバコ1,000円時代を迎えると思います(500円を経て、1,000円に)。そして、麻薬大国に、・・・・。追いつかない取締りと、笑いの止まらない暴力団。そうなんです、ある組織には、ビジネス・チャンスなんです。


 ちなみに、私は、一日にタバコ60本吸い、日本酒8合を飲んでいます。だからと言って、タバコの増税に反対している訳ではありません。「子を持つ親」は、タバコ増税に賛成が多いと思います。私には、その愚かさに悲しさだけを感じるだけです。タバコの増税は、麻薬の蔓延につながることを認識すべきです。特に、若年層に拡がります。日本だけ例外と考えるのは、極めて愚かです。


 国家が管理できる小悪(タバコ)と、管理できない巨悪(ドラッグ)。マスコミが、こういうことを書かないのが不思議です。視野の狭さでしょうか。


 

第78回「日本沈没 第二部」



 第78回は、「日本沈没 第二部」です。三、四年前、小松左京氏がテレビに出ておられました。かっての精悍さはなく、随分お年を召したなあと言うのが実感でした。一昨年(2006年)、小松左京氏がプロデュースし、谷甲州さんが執筆したのが、この第二部です。第一部は、1973年に出版されましたので、33年経過しています。


 日本が沈没してから、25年経っています。日本沈没は、「異変」と呼ばれています。異変の段階で、生き残った日本人は、約8,000万人です。世界各地に散らばり、ある人々は難民、ある人々は開拓民として暮らしています(このあたりの描写が弱いのです、説明しきれていません)。


 国土を持たない日本国にも、政府もあれば、予算も持っています。しかし、25年の時間は、日本語を話せない日本人とか、日本への帰属意識を持たない若者を生み出しています・・・・。首相(第一部にも登場している人物です)は、メガフロート(巨大人工島)と環境シミュレーター(環境予測のための高速巨大コンピューター)を武器に、日本人の再編成を宣言します。


 しかし、周辺国家の反発・警戒が予測されますので、国際社会に情報公開(無償使用を含めて)することが前提です。そんな中、環境シミュレーターは、驚くべき予測を出します。地球の寒冷化(第5氷河期)です。日本沈没は、日本の消滅だけに止まらず、火山灰による「火山の冬」(全面的核戦争による「核の冬」に対応するものです)をもたらすとのコンピューター予測です。


 首相は、公開を中止します・・・・。果たして、日本人の行く末は、日本人は再び国土を持てるのか、・・・・。という展開です。500ページ弱で上下二段組ですので、ボリューム的には十分なものがあります。序章・終章を含め、全10章で構成されていますが、日本人の置かれた状況(苦境)にページを割かず、脇役の冒険譚とか、一技術者の苦労話にページを割り振っています。


 ラスト、小野寺(深海艇のオペレーター、第一部で記憶喪失となります)は、玲子と再会します。玲子は、国連の職員となっています。小説の構成を、国連職員である玲子の眼を通して展開させていましたら、ストーリーに無理はなく、世界に拡散した日本人像が、広く記述できたのではないでしょうか。世界中に散った日本人は、8,000万人です。その重さが、第二部から伝わらないのが、残念です。

第77回「食品偽装と死に神」

 第77回は、「食品偽装と死に神」です。食品偽装には、2つの手口があるかと思います。経営を損益だけで考えますと、売上と原価が大きな要素です。うなぎの産地偽装とか、飛騨牛の等級偽装は、価格差を利用したものです。あまりにも、価格に差があるのです。二倍、三倍にはなります。


 一方、原価に目を付けたのが、腐っている牛肉を他の肉と混ぜミンチにしたり、客の食べ残しを使いまわす手法です。経営者が欲のみで、良心がなければ、珍しい現象ではありません。今後も、繰り返されると思います。防止策としては、厳罰と、「発覚すれば、倒産」という消費者の厳しい対応です。それでも、繰り返されます・・・・。


 「十分な内部検証をしましたか」と「再発防止策は具体化されていますか」は、マスコミの常套句です。「事件の徹底的解明が求められる」も、よく使われる表現です。


 追求することを仕事としているマスコミが情けないのです。鳩山法相を「死に神」と評した朝日新聞の正式コメントは、謝罪にも弁明にもなっていません。「どこが悪いんだ」と言う態度に終始しています。地下鉄サリン事件の被害者も批判声明を出しています。


 自社の報道姿勢に問題があると考えていませんので、当然内部検証も再発防止作も考えているはずがありません。ただ、再発防止策は簡単です。全ての記事を「署名記事」とすればいいのです。こういう事態がゼロになるとはいいませんが、激減することは予見できます。記者の身に、直に還ってくるのですから。


 自社の問題をクリアーにできずに、他社の不祥事について、「内部検証は、・・・・。再発防止策は、・・・・。」と匿名記事を書き続ける記者も情けないと思います。役人と同じ体質でしょうか。NHKも、同じ論調でニュース番組を流していますが、自らの検証を行なっているとは、とても思えません。国土交通省とか、財務省の小役人なみです。公共放送に胡坐をかいているとしか思えません。


 では、日本で署名記事が無いかといいますと、毎日新聞は、随分前からほとんどの記事の最後に記者名を明記しています。朝日新聞だけでなく、他の新聞も、明日からでもできる改善策です。掲示板の匿名性を批判する前に、自己の匿名記事を恥じるべきです。

第76回「四国八十八ヶ所 二十八番札所 大日寺(だいにちじ)」



 第76回は、「四国八十八ヶ所 二十八番札所 大日寺(だいにちじ)」です。大日寺は、徳島県にもあります。第四番札所です。真言宗が、本尊を大日如来としているためでしょうか。


 6月30日(月)、7時に朝食をとり、7時半には出発します。札所間の距離は38kmありますが、既に11km歩いていますので、あと25kmです。昼食休憩を入れましても、2時前には到着できると思います。大日寺まで行きますと、その後の7寺は、10km前後の距離で続いています。しかも、高知市とその周辺に集約されています。


 既に、かなりの日焼けとなっています。顔は、赤銅色です。いわゆる土方焼けです(土方が差別用語でしたら、土木作業員焼けです)。露出していない顔と手の甲以外は、日焼けしていません。出発の時点から、快晴です(その後も、快晴とは言えなくても、晴天です)。


 9時を過ぎますと、強い風が吹き始めます。この風は、夕方まで続きます。顔の日焼けは、更に進みますが、かいた汗は、すぐに蒸発していきます・・・・。


 軽い昼食をとった後、野市町に入ります。ここで、長い付き合いのルート55とも、お別れです。約160kmにわたり、お世話になりました。1km毎の表示は、随分参考にも、励みにもなりました。大日寺まで、2km強でしょうか。周辺には、龍河洞とか、龍馬歴史館とか、興味深い観光スポットがありますが、先を急ぎます。


 しばらく行きますと、遍路道表示があります。300mと表示されています。他人の庭を横切るようで、心苦しくなるような道です。すぐに札所に着きます。境内に入りますと、バス・ツアーのお遍路さんで一杯です。早々に読経し、奥の院にあります「大師の御加持水」を飲み、次の札所に向かいます。


 大日寺を出ましてすぐに、遍路道表示があります。目立たない所にありますので、見逃しがちです。しばらく路地を行きますと、次の札所まで8kmと表示されています。札所間は約9kmでしょうか。二十九番札所に近づいたところで、JR土讃線(※)の特急の止まる駅近くまで来ています。


 今回は、これにて中断することにします。次回は、7月5日(土)を予定しています。ジャケット・ネクタイ・革靴につきましては、変える気はありませんが、熱中症対策として帽子(パナマ)は、着用するつもりです。猛暑日(35度以上)の日もあるかと思います・・・・。



 (※ 7月4日)当初、「高徳線」と書いていましたが、土讃線の間違いです。