第564回「リング」(ホラー小説) | 新稀少堂日記

第564回「リング」(ホラー小説)

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 第564回は、「リング」(ホラー小説)です。鈴木光司氏の「リング」は、1991年に出版されました。出版当初は、注目を集めなかったと記憶しています。一部のマニアだけの間だけで読まれていたと思います。これが面白いのです。


 一読しますと、「不幸の手紙」と「マルチ商法(ねずみ講)」を連想します。しかも、効果的なツールを用いています。凄いアイデアです。ビデオですので、書く必要はありません。ただ、2台のビデオデッキが必要ですが・・・・。やはり都市伝説と言えるでしょうか。


 しかし、物語はいきなりビデオのコピーには至りません。導入部は、あくまで「呪いのビデオ」です。不鮮明な、意味不明な映像、それを観た者は、一週間後に死を迎えます。それも、想像を絶する苦痛の中で・・・・。主人公・浅川は新聞記者です。不思議な変死事件を聞き込みます。しかも、一件だけではなかったのです。しかも、同日同時刻に・・・・。


 浅川は、記者根性で調べます。同時刻に亡くなった4人は、死の一週間前に、貸し別荘に泊まっています。別荘に行った浅川は、部屋に置かれていたノートを見ます。そこには、「呪いのビデオ」について書かれています。浅川も、そのビデオを見ます・・・。浅川は恐怖に駆られ、友人に助力を頼みます。


 ビデオから、貞子に行き当たります。井戸の中で貞子の白骨遺体を発見します。貞子の除霊をすれば、全ては終わるはずでした・・・・。しかし、死を免れるためには、ビデオをダビングし、他人に見せる必要があったのです。


 『既に亡くなった人は除き、今後、呪いのビデオの犠牲者は、日本国内限定と仮定し、最大で何人でしょうか。また、最小は何人でしょうか。なお、ラストで、浅川は妻子二人を助けるため、両親にダビングしたビデオを見せる決意をします』


  しかし、ビデオをコピーし、とりあえず生き残った者にも、ビデオの影響は遺伝子レベルに及んでいるかもしれない・・・・。良くできたホラーです。ただ、鈴木氏に脱帽です。