地球解放時代が、始まった。世界の人々の大波のような足音が聞こえる

【真に自由、平等、平和を実現する世界ミックス社会を創造しよう】 

 

国家間の争い&国益優先社会とは、人類の愚かな証明に過ぎない

地球ミックス社会こそが、人類に真の平和と繁栄を齎すことができる

 

【○○○○国の国民という自覚と発想が、既に、時流に反して訝しい】

 

第一段階・・地球の南北の経済格差をなくそう

第二段階・・国境の壁を取り除こう

第三段階・・人種差別をなくそう

第四段階・・地球環境の自然回復力と自然浄化作用を強化する

第五段階・・人間の心の歪みをなくそう

 

 

 

人間形成の道

人間形成として頂を目指すのも、企業経営者として頂を目指すのも登山

と酷似している

なぜなら・・多数にある登山口から(各分野)頂きを目指して登るからであろう。

そして登山口は、それぞれに異なっていても頂では、必ず一つの頂上に達することになるからである

ビジネスからでも、芸術・物理・科学・政治・語学・文学・スポーツ・等々・

製造・営業・管理部門・等々での登山口が異なっても、目指す頂では、必ず一筋に、一道に集約されるからである

私達は、何処の分野であろうと、人間形成とは、登山に等しい。そして、どの登山口から入ろうが、行き着く頂上は、同じとなる】 頂きに達すると視野には、広大な裾野が広がり、裾野とは、未来であり、異分野である。

即ち、選択してなかった分野までが、その域に達するのである。

 

※ 人間としての倫理観の形成であり生涯を一筋に徹して、選択する分野

を、より小さく、より狭く選択し、自身で、選択した分野の歴史を縦の流

れに生きることである

 

※ 天才に追いつき、追い越す、唯一の道であり、凡人故の、自覚の智慧

   である

 

 

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法Ⅰ】 

鉱山開発には不可欠なボーリング機械が必要である。種類は機能から見れば二種類あり、機種は垂直・左右・斜め・自在に回転して掘り下げるボーリング機械(百メートルほど試掘できた。この機種の特徴はボーリングする鉄管のパイプが三メートルと短くて、必要に応じてジョイントするようになっている。それは地下のサロンに機械と機材を降ろして地下で組み立ててから試掘するのに使用した)次には、地下五百メートルまで垂直に試掘するもの・更に大型のものであればさらに深く掘り下げることができるが、希少鉱石の地質調査では五百メートルを限度に試掘するのが常識である。

 

【鉱脈探査&鉱山開発に最低必要な設備】

鉱山の開発に用いられる一般的な機材とは、ボーリング機械・鉱山開発用測量機器・ウインチ(ギンショ)・大型コンプレッサー・削岩機・発電機・ウインチ用ワイヤー・補強用ワイヤー・カッサンバ(原石を地下から地上に引き上げる大きな袋)・カバル(鉱夫たちが地上と地下を行き来する皮製の足掛け)・排水ポンプ・ヘルメット・鉱山夫用ゴム長靴・最低百台の一輪車・多量の補強用丸太・配電線・伝声管・つるはしとシャベル類・ダイナマイト・油槽・資材小屋・滑車・ダンプカー・小型貨物車・ラバドール(原石の粉砕と洗浄設備)・鉱山事務所(原石の計量と加工所を含む)・鉱山夫用炊飯設備・住宅などである。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・Ⅱ】

鉱脈探査の原則とは、河川の周辺を自分の足で歩くこと及び現地の住民情報を収集できる組織能力を重視することが不可欠であるが、住民情報の98%は誤情報であるが必ず現地確認をすることである。無駄な努力の積み重ねにこそ鉱脈の発見につながるのである。自分で鉱脈を発見する手法とは、合理性・数値計算・機器設備・開発意欲・現地民からの信頼度・資金力・母岩の組成分析・体験を繰り返した実践の経営学等々である。

鉱脈探査のためのボーリング機械の設置場所の設定は、地上に火成岩が散在する地面の数か所を一メートル四方に深さ十センチに掘ってその土砂と岩石を採取し、その岩石をハンマーで砕き、それをさらに水洗いして残った岩石をピンセットで分類して設置場所を決める。

必要な鉱石を発見したら、鉱脈が南北に流れているので、鉱脈を横切るように東西に三メートル間隔でボーリングしたのを、東西に一メートル間隔に修正してボーリングした。採取した岩石を分類して鉱脈の高さと幅と所有地の南北の長さから埋蔵量の計算をした。

そして、分類した岩石から品質と国際取引価格を計算して、埋蔵金額を算出した。

そこで設備投資の計算をするのだから、鉱脈の発見と開発は日本人なら誰にでもできるが、いわゆる山師と通称される山勘に依存して一攫千金を求める鉱山師には偶然の発見以外は不可能である。現地情報に依存して鉱山開発した採掘穴が鉱山地帯には多く残されたままに放置されていた。

鉱脈探査とは「仮説の証明」が原点となる科学的且つ合理的な幸運の創造力であり、現地から取得した利益を国外に持ち出さないで、その現地国の民衆に役立つ利益処分を続けることに鉱山開発の成否が分かれる即ち、日本人であることを忘れることであり、現地民に同化する事に尽きる。日本企業の海外進出では、鉱山主は命が保てない。

現地の人々に経済波及効果を齎す日本人でなければならない。結論とは「現地同化戦略」を専門知識と専門技術に優先して信頼構築して後に「鉱山開発」に成功することになる。これ以外には「生き残ることは不可能である」知識ではない知恵と軸のある課題への取り組みである。軸とは「取り組む意欲・責任所在が明確・成功の背景の証明」に基づく課題目的であり、正当な利益配分が原点に不可欠である。山師には不可能な別次元となっている。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・Ⅲ】

鉱山開発では、その地面に立て坑を10メートルまで掘り下げる。

立て坑の10メートルだけは手掘りで、縦横の四方に1.5メートルから2メートルを必要性から広さを決定する。即ち・・井桁に四角に掘り下げるのである。

最初の岩盤ホッシャに行き着くまでは補強材が必要となる。

この補強材にはヒューム管か丸太を使用するのだが、経験から判断すると丸太木材が望ましいだろう。

3メートルほど立て坑を掘ったなら丸太を井桁に四角に組合せて、ワイヤーで

一体して丸太をワイヤーで採掘口から5-6メートル離れた地面に強固な杭を打ち込み、この4本の杭と井桁の丸太補強材を太いワイヤーで攣り採掘口にゆっくりと四方からワイヤーを水平に緩めて降ろしていくのである。降ろした丸太の四角形からはみだした丸太の部分を採掘口の壁面に固定する。

立て坑は岩盤に行き着くまでは次には一本づつ丸太を降ろして、立て坑の壁面に横穴を掘り丸太木材を差し込み固定しながら井桁組みにして立て坑を掘り下げていくのである。この立て坑を掘り下げるには、ダイナマイトを半分に切り爆破しながら掘り下げるのだが、爆破までに鉱山夫が縄梯子で退避しながら次々に爆破し、土を地上に引き上げるのである。鉱山では岩盤以外には丸太材と板が使われる。

立て坑が10メートルに達するとウンンチを設置する。このウインチの滑車に硬度のある丸太で、日本の鳥居型でこの鳥居型の丸太木材を四方がワイヤーで確りと攣るのであり、ウインチの滑車が採掘口の中心なるように設置することである。当然ウインチは確りと地面に固定するになる。

別に配線工事は平行して実施することである。鉱脈地点に立て坑を掘り下げたなら次には、採掘の為に横抗をほることになるのである。

いよいよ採掘の始まりである。堀つた土と岩石は総て地上にウインチで地上に引き上げるのであるが岩盤の横坑道には10メートル四方ほどのサロンを作ることになる。このサロンは、土と岩石の意図時の貯蔵所として又はボーリング機・排水機・鉱山夫・資材置き場として使用することになる。

幸運は、科学的・合理的に迎えることになる。

ウインチを二機設置して「鉱山夫・資材・シスト・岩石・土等」箱型屋根のない運搬エレベーターとして使用することが望ましい。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・Ⅳ】

採掘しようとする土地の所有権と採掘権は別の権利である。

土地の所有権に関わらず鉱山開発が登録だけで可能である。

通常には採掘したシストを地主と鉱山開発者が配分率を契約して開発することが多いのである。

例えば・・鉱山開発者70%土地所有者30%などが、通常な配分率であろう。

当然なことに鉱脈を発見できなかった場合は土地所有者への配分は0となる。この場合も含めて経費負担・資金負担は、土地所有者にはない。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・Ⅴ】

地下五百メートルで鉱脈を発見したらその鉱脈は放置した。仮に誰かに尋ねられたら鉱脈はなかったと答えた。宝石の鉱山では採算ラインは五百メートルが限界だった。

鉱脈とは地下に一層になって存在するのではなくて、最も浅いところの鉱脈は地表(露天掘り)だった。地表から始まる鉱脈は開発した無法地帯の三州に九鉱山を開発した体験から説明すると鉱脈を発見したのは、地下十三メートル、二十二メートル、四十三メートル、八十メートル、百十五メートル、百二十三メートルだった。このように鉱脈は何層にも分かれて

いるのだった。一層の鉱脈を発見したら、その上層と下層にも鉱脈はある。(これらの鉱脈は立て坑掘りで採掘する)

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・Ⅵ】

次に確定的なことだが、鉱脈の地層が深ければ深いだけ鉱石の硬度と光沢が増加することで、鉱脈の地下の深度が鉱石の品質を決めることになる。

鉱脈はカノンといって原石の密度は一定ではなくて、最も密度の濃いところをフリーズと呼ぶのだが、希少原石の混入する岩石と土は現地でシストと呼ばれて、このシストも何種類かあった。

原石シストは日本の一輪車と同じで一輪車に山済みで計量単位とされた。例えばダンプカー一台のシストは四十台分の一輪車と決まっていた。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・Ⅶ】

フリーズを発見すると、一輪車のシストから原石が八十パーセントも混じることがあった。シストの大部分が原石ということになる。※地下水の水辺でフリーズが広がると、花火を打ち上げ町中が祭り気分でシュハスコと呼ばれる焼肉を勝手に用意して食べて、勝手に鉱山主の付け買いで、ビールを飲み放題にした。

そして、その費用はフリーズを発見した鉱山主が支払った。もう一つのお祭りは新鉱脈の発見の時で、鉱山主は大金持ちになったと町中から祝福された。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・Ⅷ】

宝石の形成は地下のマグマと水と歳月そして母岩の組成が関係する。仮に、日本の何処かを掘って見ると、地下には必ず原石があるはずだが、そこは鉱山ではない。一般的に鉱山といわれるのは、地下の地殻変動で地表近くに鉱脈が浮き上がって採掘が可能になった所ということになる。これには噴火活動などが推定される。

しかし、宝石鉱山は地震が頻発する地域には存在しないかも知れない。地殻変動が収まり噴火活動が収まってから長い年月が経過した地域が有望ということになる。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・Ⅸ】

鉱脈はカノンといって含有される原石は、一定ではなくて、傾斜して捻じれながら水を求めて必ず南北に走っていた。

地下の情報は地表が語りかける。地表のことは地下が語りかけてくれる。その地表の情報はまず周囲の風景から感じ取れた。大地の侵食の状態と河川の存在そして散在する岩石の状態などで、クリスタルの散布密度が地下の状態を知らせてくれた。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・Ⅹ】

シストの価格決定は木曜日で一輪車五台分を購入希望者の面前で試験洗浄選別して見せてその週のシスト価格を決定する。鉱夫たちの手当ては週給制度で土曜日に現金と原石の混じるシストを一輪車一台分配するのが慣わしのルールだった。

その手当てのシスト配分量は、危険度と責任の重さが基準で支給された。それは鉱夫を一輪車一台として鉱山監督三倍・フレンチ「先頭採掘者」二倍・ウインチ係一・五倍・フィスカル「監視と警備員」一・五倍の割合になっていた。ボーリング調査班は働きによって歩合で支給した。

「ダンプカー1台の取引量とは、1輪車に山盛りで40台である」

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・ⅩⅠ】

地下水が広がると、鉱脈の中で鉱石の密集したフリーズに突き当たる幸運は、鉱脈探査技術と開発者の直観と強運に頼ることになる。

地下のことは地表が語り、地表のことは地下が語る。

※「宝石は地下水が好きである」

※「鉱脈は原則的に南北に流れている」

※「金が産出する地には宝石原石はない」

※「宝石原石が産出する地には金がない」

※「金・銀・プラチナ・鉄鉱石・非鉄類等の発見とは、必要な時にしか発見してはならないものである。需要を超える大量の発見は、国際経済の混乱を引き起こすことになる。必要な物質資源は必要な時に、必要な量を、発見するのが地下資源であり、経営原則・基本・手順である」

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・ⅩⅡ】

※「土地の所有権と採掘権は別の権利である」

※会社の経営活動も又等しいものであり、会社の存在価値と経済社会の価値観とは必ずしも一致するものではない。

※会社の経営原則・基本・手順・危機感に対する予知能力も関与する経営者としての姿勢と心構えでもある。更に時代の流れに沿って、時代の要請を確実に受け止めて、必要な時に必要な商品を研究開発・製造・販売・もしくはサービスを提供して経営活動をすることである。

鉱脈探査と鉱山開発は「男の心意気と根性」で取り組む合理的な世界である。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・ⅩⅢ】

命を惜しむなら金の採掘をしないことだ仮に豊富な金鉱脈を発見すれば緑化地帯に指定されてしまい採掘できなし、強盗団に狙われ続けられるので、鉱山主は必ず射殺されるので金の採掘とは密かに採掘することになる。

それに同じ物を採掘する繰り返しには品質の妙味がなく燃える情熱と驚きという新鮮さが存在しない。

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・ⅩⅣ】

「掘らせる人・掘る人・盗む人・拾う人・支える人・それぞれの人々が生きているし、更に、生き残る人々とは、他人の分野には、決して踏み込まないのが鉄則である」

 

【鉱脈探査&鉱山開発の手法・ⅩⅤ】

ダイヤモンドの採取は、「鉱山とは異なり鉱区」と呼ばれる。理由については別の機会に説明しょう。更にダイヤモンドの原型原石を見た人はないだろう。

ダイヤモンドの無傷な原石は不思議な造形美である。

専門家が、見られるのはダイヤモンド原石の断片であり、極めてまれにしか遭遇しない。

 

 

 

【カジュエロで、フスコンと呼ばれていた男

            (一)

二〇〇二年の五月だった。熱砂の町カジュエロにビットという名前の黒人がいた。真吾には妙に気になる男だった。

しかし、誰もが本当の名前では呼ばないで、フスコン・プレットと呼び捨てにしていた。この語源のフスコンとは、あのかぶと虫型で有名な旧式ワーゲン車のことで、黒色をポルトガル語でプレットというのだが、その車の黒色がビットの肌の色と同じだと、熱砂の町カジュエロでは、人々が、彼の暗闇のような肌を揶揄する者が居て、あだ名が付けられた。

 それにフスコンは読み書きを知らないで、人相までが好ましくないと嫌われて、誰もがこの男を雇用しなかった。

 彼は擦り減ったゴム草履に汚れた半ズボンと、いつでも背中が三十センチほど綻びたシャツを着ていて、破れた黒い帽子をかぶり、俯き加減にゆっくりと歩いていた。その彼が歩くと、左足の草履を引きずってスタ・スタと音がした。

ある日、彼が三歳の男の子の手を引き、女房らしき女性が乳飲み子を横抱きにしてやってきた。哀れな衣服と履物、それに幼い子供たちの汚れた顔、女房らしき女性の哀しそうな目を、真吾は見るに見かねて視線をそらしてしまった。

このフスコン・プレットは、五十年ほど前の小さなワゴン車で、タクシーをして暮らしていた。壊れた窓と扉をひもで縛った通称「ポンコツ」が彼の所有車だった。

真吾が鉱山夫の採用の面接を始めると、二百人程が応募して来た、その中にフスコン・プレットがいた。顔馴染みの少なかった真吾は、彼の妻子を不憫に思い採用することにした。

その日から下品なポルトガル語を話すだけのフスコン・プレットが、何を思ってか真吾のポルトガル語をフスコンのポルトガル語に直して、同じことを通訳のように話すので、採用した者たちは、初めは、フスコンが通訳をできると勘違いして、三日ほどでリーダーの地位を自然に確保したのだった。真吾にはこの様子は滑稽だったが黙って放置しておいた。

これが町の噂になって、彼のあだ名がフスコン・プレットからパパガユに変わってしまった。

パパガユとは鳥の「おうむ」のことで真吾の話を大声だけで、同じく繰り返すから町の者たちが名付けたのだったが気の毒だった。真吾はさすがにパパガユとは呼べずに、プレットを省略してフスコンのまま通した。黒人文化の小さな町カジュエロでも人種差別が激しく、根強いとは驚きであった。更に、黒人仲間が肌の濃淡で差別するのには、真吾には理解を超えていた。

しかし、彼は猫なで声で何事にも遜って見せたので、真吾は一時の油断もできなかったが、彼のダンスが見事で、その後ろ姿が格好良かったのを覚えている。

それにフスコンには他の者にない特質らしきものがあった。それは生きるために必要な勘の良さだ。

鉱山では勘の良さと運の強さが明暗を分けた。強運でなければ決してやってはいけないのが、鉱山経営だ。運が良かったり悪かったりと思う人の仕事ではない。

そんなことから彼の感の良さを活用して、フスコンの強運を願ってみた。

この町の街路樹の道を右に曲がり三百メートルほど緩やかな坂道を登り詰めると、小さな十字路に出る、そこを左に曲って、その道を十五キロほど道なりに進めば、ヒオ・イタピクル川のバハージの近くに突き当たることになる。一メートルほどの高さの雑木を両側に抱えたような砂道ばかりを数キロほど走ると、最初の坂道に出た、その坂道を下ると水のない小さな橋があった。そこを越えて急坂を登って抜けると、暫くして、よく似たもう一つの坂道に出た。そこをまた下るとやはり水のない川の小さな橋に出た。

その川底にダイヤモンド原石の匂いがした。土砂の色それに岩石の形状から、あくまで直感での匂いだった。

真吾はエメラルドなどの高価な鉱石はすべて水が好きなことを知っていた。鉱脈は傾斜して捻じれながら水を求めて、必ず南北に走っていた。それに地下のことは地表が語った。

地表にクリスタルを中心にした火成岩が無数にあれば、いくつかの地点を選択して、そこの地面を一メートル四方に深さ十センチに掘って、その土砂と岩石を採取した。その岩石をハンマーで砕き、それをさらに水洗いする。

残った岩石をピンセットで分類しながら必要な鉱石か母岩を発見する作業をする。

その地上の情報によって、鉱脈はかならず南北に流れているので、鉱脈を横切るように東西に三メートル間隔でボーリングして、採取した岩石を水洗いしながら分類して、求める鉱石の鉱脈の高さと鉱脈の巾を知ることになる。

そして、所有地の南北の長さを掛けて埋蔵量の計算をした。

さらに分類した岩石から品質と国際取引価格を計算して、その時点の埋蔵金額を算出する。

その情報から鉱山開発の利益計画を立案して、設備投資の計算をするのだから、鉱脈の発見と開発は日本人なら誰にでもできる。

鉱山開発の原則は、鉱脈探査にあり、土地の所有権と採掘権は別途の権利である。土地の所有権は地上から地下までの権利には限度が諸国で定められている。

土地を所有しているからと主張しても所有地の地下が、何処までも所有者が権利を主張できるわけではない。法で定められた地下とは、国有の地下と理解しなければならない。

鉱山開発で最も重要なのは、鉱脈探査の精度であり、更に、地下水の近くに広がる鉱石の密集したフリーズに突き当たる幸運は、開発者の勘と強運に頼ることになる。鉱脈探査をしないで、情報に依存して採掘を試みて失敗した採掘穴が随所に多く見られるのも鉱山地帯の特徴である。

フスコン・プレットには鋭い感は備わっていたが、正悪の判断と強運がなかった。

その後、妻子と離別してその別れた女房への嫉妬から、常軌を逸して殺人事件を起こして、行方不明になっている。

哀れだが、後姿の格好の良い男は、やはり信用できなかった。

 

 

※「ノンフィクションである」

 

幸せですか  

        (一)                            

西暦二00八年の冬・・埼玉県の市街地に初雪が降った。

この春には、六十八歳になる真吾は、白い小さな出窓に音もなく吹き付ける雪を、押しのけて扉をわずかに開くと、背筋を伸ばして欠伸をした。その寝起きの涙の潤む目に、ちびっこ広場の、明るい雪景色が痛いほど沁みた。ふんわりとした白い雪の輝きを避けて、薄目のまま窓辺の雪を、その掌につかむと、サクサクとする音を聞いたような感触を覚えた

真吾は、七年前に南米大陸の北部で出逢った二十三歳の妻と、五歳と四歳の男の子と四人家族で、さいたま市に暮らしている。その国際結婚と二度目となる子育てについて、知人などから「たいへんですね」と励ましの声をかけられると、相手に「どうゆう意味で」と言葉にこそ出さないが、怪訝そうに納得できない表情を見せる。

その彼だが、老いてからも諸事を簡潔に割り切って行動しようとする性癖があって、時には相手の理解の範囲を超えて無謀だと指摘された。聞き手に乱暴な印象を与えてしまうのは、きっと物事に意固地になるからで、近年なってその傾向が一層激しくなった。しかし、意地っ張りに見える彼が手放しで喜ぶ瞬間があって、それは思いがけない偶然に遭遇することだった。目を輝かせて偶然の出来事を信じて、何度も納得して頭を振って頷くと、その結果の新鮮さに感動し課題を発見しては、仮説を設定し、仮説を証明することだった。そんな新たな現象を求め続けるようすは人生に飽きてしまった男のようにさえ見えた。

カジュエロの町の人々を驚かした、この二人の結婚は、人の噂のように壊れやすいのかも知れない。しかし、彼には家族を本気で護ろうとする頑な意志と、人の心に温もりを与える妙な優しさがあった。

八年前の二〇〇〇年に、大宮市で還暦を迎えた真吾は、数年前まで、諸国に通算で二十年間を暮らしていた。それが最近では、心臓疾患で通院と投薬を欠かせない毎日だった。その年の初夏、野鳥の鳴き声までが清々しく響く昼下がりだった。真吾は、そんな体調なのに、四十歳を超えた二人の息子に、再び南米ブラジル、バイヤ州のカジュエロに旅立ちたいと、胸のうちを明かした。ゴヤス州の六ヶ所でエメラルド鉱山を開発した折に鉱山事故で死亡したカシュエロ、サントスの女房が妊婦で産み月だったサントスの遺児を訪ねる償いの旅であったが、息子達には、話さなかった。

「止めなさいよ。心筋梗塞で死ぬところを助かったばかりだろ」二男の息子の激しい口調の後だった。

「それに、格好の良い親父でも、歯の無くなった男は、南米では誰からも相手にされないのだよ」と厳しい表情のまま追い被せるような声で、真吾を悄然させた。

「男としての値打ちがないということだぜ」またかという表情で黙り込む長男を押しのけて、二男が辛らつに言い放った。

息子の執拗にも取れる、歯の値打ち論に意表を衝かれた表情だったが、老人扱いされ出したと知ると、大陸への夢の決意が萎えていく不安を感じて心が動揺した。それに、すべての歯を失ったことを落胆して、なにやら淋しくなった。

二ヶ月ほど前のこと、医者の勧めにしたがって、残っていた前歯を含めて五本の歯を抜いて、総入れ歯にしたのは軽率ではなかったかと悔やまれた。

「父さんの歯だけの問題ではない」長男が、ぼそぼそという感じで口を挿んだ。

「でも、日本の社会では俺を必要とはしないようだ・・仮に」と真吾は、いつものように主張を立証するのに仮説を立て、その仮説を証明しようと、話し相手の正面に常に据わり直すので、それを煩わしいと思われて、また息子たちに無視された。

「父さん、主治医に専門の設備のある病院まで二時間以内で行ける住まいで暮らすように警告されていただろう」

「それなのに、突然に大陸に行きたいとは、自殺と同じで無謀だよ、少しは自分の年齢のことを考えなよ」

「こんど大陸に渡れば、きっと日本に戻れなくなるぜ」

「子供が七人、それに八人の孫までいる親父なのだから、誰のところでも気に入った所で静かに暮らしたら良いと思うよ」二男だけが、立て続けに話しかけて、持論を展開した。

真吾の病後の暮らしは、夢や希望ばかりか存在感さえも失っていくほどで、そんな状況に戸惑いながら、諦めることで辛さを耐えようとした。

身体の老いるのは、いたしかたない覚悟のことなのだが、人間としての責任の軽減から、生きがいを見失うのは耐えられないものがあって、それは淋しさや哀しさが原因ではなく、生きていることを実感できる家族と社会への責任の喪失にあって、望まずして世の中の責任から解放されるという、老いゆえに許される立場に置かれかねない辛さだろうと思っている。

老いの心の耐えがたい辛さとは、人々から見捨てられていくように感じる存在感の喪失のことだった。それは、人々のわずかな不用意な言葉や行為から老いの心を傷つけられて、次第に欠けるように失っていった。 

「歯の話は理解できたから、もう一度考え直して見よう」その場を取り繕ったのだが、大陸行きを反対されて、息子たちを説得できなかったことから、娘たちにまで相談する気はなくなっていた。それは誰と話しても渡航の計画を変わらないものにしたいからだった。

「何処で暮らそうが、この病とは生涯の付き合いなのさ。入れ歯のことは、朝晩の洗顔を、見られないようにすれば、誰にも知られることもないだろう」と、密かに納得したのだが、情けなくても泣けない気分だった。そして、家族の説得にも関わらず、高齢な自分でも必要だといってくれるところで生涯を終わりたいと、大陸への想いは日増しに募った。

  

幸せですか

        (二)

・・中略・・

 

      幸せですか

        三)

・・中略・・