
大津屋。台東区小島1-17。1986(昭和61)年4月6日
この辺りでは珍しい蔵が今も残っている。角のモルタル仕上げの家に「㈱大津屋倉庫」の看板がかかり、蔵を倉庫に貸しているのかと思える。横丁を隔てた写真右の家も大津屋で、こちらは住居かもしれない。
『下町残照』(村岡秀男著、朝日新聞社、1988年)によると、大津屋は明治期には薪炭商で、大震災後に米屋に転業した。同書には昭和3年の「白米部開業」のチラシの写真が載っている。そこにある店舗の写真は上の写真と同じである。昭和3年に米も売り出したということだとすれば、建物は炭屋として建てたものらしい。チラシの配布元は「薪炭問屋大津屋精米部」だから本業はまだ炭屋である。チラシでは昭和3年10月1日より3日間の福引大売出しを宣伝している。福引の1等は炭5俵が3本。
明治時代の大津屋の写真も出ている。そこに蔵も写っているが、今残っている蔵がそれだろうか? 昭和になって写真のような蔵を建てるというのはあまりないように思うので、可能性はありそうだ。

2003(平成15)年11月16日
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