---------------------------------------
きょうの記事は、
●禁煙やダイエットでつまずきがちな方
●お酒を減らしたい、浪費癖をなくしたいけどうまくいかないなあという方
にとって素晴らしい思考のヒントになるかもしれません
---------------------------------------
1985年、事件はトリニティー大学の心理実験室で起こりました。
17名の学生はある考えに憑りつかれ、頭から離れなくなってしまいました。
考えてはいけないことだとわかっていますが、圧倒的な魔力で意識に入ってきます。
そう、「シロクマ」の事がどうしても頭から離れなくなってしまったのです。
これは現在ハーバード大学の教授であるダニエル・ウェグナーの心理実験においてこんな指示があったからです。
「これから5分間シロクマのことは考えないでください」
今日のこのブログの題名にも関わらず読んでしまったあなたにも当てはまるかもしれません。。
シロクマのことが頭から離れないくらいで。。。と思うかもしれませんが、これから見ていく通りどんなことでも「考えてはいけない」と思うほどかえって頭から離れなくなります。
これは憂うつ、依存症、ダイエットの最新の研究でも明らかになっています。
今回はスタンフォード大学教授のケリー・マクゴニガルの著作「The Willpower Instinct」の中の一部の紹介と僕なりに考えるコーチング的アプローチをご紹介したいと思います。
🔶皮肉なリバウンド効果
ウェグナーはシロクマのほかでも実験を繰り返しました。
いずれも「考えないように」すればするほど(なにも考えていないときより)そのことばかりを考えてしまうという結果がでました。
ウェグナーはこれを「皮肉なリバウンド効果」と呼びました。
他にも、
演説で適切な言葉を使わなくてはと考えすぎた政治家にとびきり差別的な言葉が浮かんだり、面接で好印象を残そうとして返って鼻に付く言葉を口走ってしまとたり。
面白いのは同性愛嫌悪の男性はゲイのポルノを見たときの下半身の反応率が高いそう。。
皮肉なリバウンド効果は枚挙に暇がありません。
ウェグナーはある日、取り乱した女子学生から電話を受けます。
「ある時ふっと自殺のことが頭に浮かんで以来、ずっと頭から消えないんです。いくら消そうと思っても消えないので、わたしの本心は自殺を望んでるに違いない。だから頭に浮かんでくるんだ」と。
ウェグナーは皮肉なリバウンド効果の話をしました。
その女学生はそれを聞いて、じぶんが頭から消そうとしたことで、かえってそのことばかり考えてたことがわかりホッとしました。
自殺のことが頭から離れないからといって、本心から自殺を望んでいる訳ではなかったのです。
🔸コントロールしなければコントロールできる
ダイエットしなきゃ!と思えば思うほどチョコレートのことを考えてしまう。。
どうしたら、こんな悩ましいジレンマから抜けだせるのでしょうか?
ウェグナーは皮肉なリバウンド効果に対して、〝皮肉な〟解毒剤を提案しています。
それは、あきらめること。
好ましくない考えや感情をコントロール、抑圧することをやめれば、感情に振り回されることも少なくなるというのです。
🔶思考の抑圧が自己コントロールにとって危険なワケ
ロンドン大学セント・ジョージ校のジェームズ・アースキンはウェグナーの実験に興味をもち、さらにこんな実験を行いました。
実験室に同じような味の2種類のチョコレートを用意し試食テストを行いました。
そして、チョコレートが運ばれる前にこう指示しました
●Aのグループ「チョコレートに関することを何でも自由に口にだしてなんでも言ってください」
●Bのグループ「チョコレートのことは一切考えないでください」
この結果、チョコレートの事を考えた回数は
Aグループ 52回
Bグループ 9回
でした。思考の抑圧に効果がでたようです。
ただ、その後運ばれてきたチョコレートを食べたのはBグループの方が2倍以上多かったのです。
なかでもダイエット中の女性のリバウンド効果が最も激しく、誘惑をはねのけようと思考を抑圧する人はその反動に最も弱いことがわかりました。
ある考えや欲求を頭から振り払おうとしてはいけないのなら、私たちはどうすればいいのか?
ここでは3つの提案が示されています。
🔶3つの提案
⑴欲求を受け入れる
ハーシーズのキスチョコを100名の女子学生に渡し、48時間持ち歩くように指示します。
キスチョコはもちろんほかのチョコレートも一切食べてはいけないルールです。
一つのグループには「食べたいと思ったら他のことで気を紛らわせなさい。そしてそんな自分を戒めなさい」と伝えます。
もう一方のグループには「食べたくなったらその気持ちを認め、すべてを受け入れなさい。ただ、感じたとおりにふるまう必要はない」と伝えます。要するに思考はコントロールしなくても、行動はコントロールしなければいけないのです。
この結果、コントロールしなかった学生はチョコの事を考える回数が最も少なく、そして最も効果があったのは普段から食べ物への誘惑に弱い学生たちでした。
そして、戒めなさいと指示したグループには改めて「コントロールしないように」指示したところ、ストレスは軽減したのです。
この結果、次の事を試してください。
①欲求や誘惑を感じていることに気づく
②その気持ちを否定せず受け入れる
③思考はコントロールできなくても行動はコントロールできると気づく
④大事な目標を思い出しましょう(キスチョコの学生が最初に食べないと決心したのを思い出すように)
⑵「やらない力」を「やる力」に
単純ですが「~しない」を「~する」に変更すると効果的です。
●コーヒーを飲むのではなく紅茶にする
●遅刻しないではなく、5分前に着く
などです。
これまでの実験を思い出してみてください。
⑶「欲求の波」を乗り越える
ワシントン大学のセアラ・ボーウェンの実験で、
喫煙者に12時間の禁煙ののち実験室に入ってもらいます。
たばこの箱を手渡し、まずは眺めてもらいます。それから手に取りフィルムをはがし、たばこを手に取り、ライターをつけて。。。でも吸ってはいけません。
この手順を時間をかけて行うのでまさに拷問ですね。
ボーウェンは吸いたくなった衝動を感じてどういう反応がでるか感じてもらいます。
胃がむかむかするか?のどがひくひくするか?おなかがきゅっとなるか。。
そしてその衝動は消そうとしなくも、波のようにいずれ去っていくと説明します。
その後喫煙者を開放し、1週間たばこの本数と衝動を記録することだけ依頼します。
直後の24時間は喫煙量に変化はありませんでした(解放直後はみんな喫煙しました)が、7日目にはなにも指示していないグループより37%喫煙量が減ったとのこと。
欲求の衝動を分析することが有効であるとわかります。
🔶コーチング的アプローチ
非常に面白い内容だなあと個人的に感じました。
より実践的にするためにコーチング的なアプローチをご紹介します。
コーチング的に考える最も大切なことは、⑴で書いた大事な目標です。
禁煙するにしても、ダイエットするのしても「なぜ」するのかがとても大切です。
なんとなく体に悪いから。。ではなかなか成功しません。
あなたがいちばん目標とすることにきちんとなぞらえてください。
たとえば。。
なぜ、ダイエットするのか?
↓
結婚相手を見つけたい
↓
なぜダイエットは結婚相手を探すことに有効なのか?
↓
見た目がよくなるから
↓
やせた体で異性と出会うとどんないいことがあるのか?
etc...
書き出すと無限にありますし、なんでそんな面倒なことを。。。と思われるかもしれません。
脳は本当に望んでいないことは実行しにくいのです。
あなたが心から望んでいることを確認するために様々な自問自答をしてみてください。
大事な目標を明確にする助けになるとおもいます。
アットホームな合コンと婚活恋愛コーチングをやっておりますマスカレードのきんじょうです
