伊藤孝の本。

まず一言、少々不親切じゃないかい?

さて、本屋を徘徊していて見つけたのがこの本だ。
本当は違う本を探していたのだが見つからなかったので、これを買い込んで読んでみた。
地球科学的な立場から日本列島を解説している本だ。

さて、いきなり出てきた地球科学という単語だが、これが何を意味するのか全く書かれていなかった。
概ね地質学のことらしいのだが、地質学と地球科学は何か違うかも知れない。
いや、一応気象とか植物とか動物についても一緒に書かれていたから、その辺を一緒くたにした学問の体系なのかも知れないが、断言は出来ない。
出版社の人が注意して、著者に一言書いてくれるようにしてもらえなかったのだろうか?
似たようなことが何カ所か有って一瞬疑問に思ってしまった。
小説ならばこの辺問題は無いのだろうがこの手の本としてはやや致命的だと思う。

さて日本列島。

石油と鉄が少ない理由と、金と銀が多い理由が書かれていた。
ついでに地球全体で、鉄などの重い物質が地球の核付近へ落ち込んでしまって、地表は出がらしだとも書かれていた。
だけれども、後期重爆撃期という隕石がやたらに降り注いだおかげで、比較的浅い場所に重金属が存在しているという話は無かった。
これは俺の記憶違いなのか、著者が知らない、あるいはこの説を否定しているのか、どれだろうか?

特に面白かったのは、日本列島の誕生と移動につられて変わって行く海流の話だった。
氷河期と温暖な時期とで海水面が上下するために、海流が変わるという話も、なかなか面白かった。
もう少し書くならば、石油の誕生過程が書かれていたのだが、その生成過程を当てはめれば、東京湾が油田になる日も来るのだろうかと妄想して楽しんだりもした。(まあ、出来たとしても数万年後なんだろうが)

いささか不親切なところはあるのだが、それでも日本列島の成り立ちなどを知ることが出来たのは良かったと思う。
気楽に読んでみてはどうだろうか?


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