月島冬二の本。

まず一言。貧乏人の精一杯だったのか。

最近、インドにUS−2を売るとか売らないとか言う話を聞いていたので、興味を持って調べてみたのだが、ここまで色々あった飛行艇だとは思わなかった。
俺自身、US−1は実物を見ている。
横幅が無く、縦と長さがある胴体と、延々と続く翼、そして二式飛行艇から引き継いだ鰹節。
白とオレンジの色居合いも相まって、印象に強く残っている。
二十五年ほど前なので、改良型だろうと思うが。

まあそれは置いておいて。

俺はてっきり、金持ちの道楽的な雰囲気で世界に類を見ない救難飛行艇を作ったのだと思っていたのだが、全然違ったことに驚かされた。
US−2(US−1もだと思うが)の方は、確実に開発費を切り詰めるために、延々と苦労を重ねているし、そもそもの出発点が、ほかの選択肢がほとんど無かったところから始まっていた。
これはかなり驚きだ。

考えてみれば、日本の軍事予算は常に冷遇され続けてきたのだから、正面戦力の充実が先になってしまうのは当然だった。
せめて、国内総生産の二パーセントくらいは必要だと思うのだが、この辺は今も改善されていない。

まあ、これもおいておこう。

そんな冷遇され続けている環境の中でも、大型飛行敵を作るという情熱だけで走り続けられた、新明和の技術陣は勲章の一つや二つではすまない功績を挙げたと思う。
願わくば、技術の継承が続いて、もっと良い物を作ってほしい。

そのためには、海上自衛隊だけの装備ではだめだ。
もっと色々なところに売り込まなければ、改良型を設計製作する予算さえ確保されないだろう。
で、抜け道を考えた。

自衛隊の装備であることが、輸出にとって障害になるのだから、海上保安庁の装備に加えてしまえば良い。
もちろん、出来るだけ金がかからないように改良をして、US−2Aとでもして正式採用すればいい。
扱う人間が、海上自衛隊から出向していたとしても、人材交流という建前で切り抜ければ良いだろう。
と、ここまで考えてきたのだが、この手段は使えるのだろうか? 少し疑問だ。

さてもう少し。

この本を読むまで俺は、四発の大型飛行艇なのだから、プロペラの回転方向を変えて、余計な力が働かないようにしていると思い込んでいた。
だが、この本を読むと、違うらしい。
壁となっているのは、製造と維持の費用。
同じエンジンを四機積んでいる方が、確かに整備性は上がるから、維持費を抑えることはできるのだろう。
実際に操縦するときには障害にしかならないが。
で、同じエンジンを四機積んでいて、プロペラの回転方向を変える手段が無いかと頭をひねってみた。
一つ思いつけた。
前後を逆にすればいい。

内側二機を前向きに、外側二機を後ろ向きにすれば、同じエンジンでもプロペラの回転方向を変えられる。(前向きと後ろ向きは変えても問題は無いだろう)

とは言え、世界のどこを探しても牽引式と推進式のプロペラを同時に持った航空機など存在していないので、技術的に何か致命的な問題が有るのだろうことが分かる。(誰か詳しい人、教えてくれるとうれしい)

まあ、かなり話が横道にそれたが、何かが作られる過程や、世界に誇れる日本の技術について興味のある人にはお勧めだ。
是非一度読んでもらいたい。


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