5/12『マジック教室(オリジナルターベルコース・レッスン59』終了しました。

1.興行成績を上げるには(MAKING THE BOX OFFICE PAY)
 これまではマジックの演目をレッスンするということが主題でしたが、最終章は違います。プロになるためにはどうするのか?ということがテーマです。プロとは当たり前ですがお金が派生します。ですからマジックの商業的側面を解説してゆくのです。
 まずマジックでどのくらいお金が稼げるのでしょうか? それはあなた次第です。
 マジックで何を得たいのでしょうか? それを自問自答してください。単にお金だけではない人もいます。名声かもしれません。あるいは生涯教育としての側面もあるでしょう。そうしたことによって進むべき道も、今後得られるものも違ってくるのです。
 いずれにせよ、大事なのは常に自分を保つということです。ただ歩み続けるしかないのです。ターベルはここで苦言を呈します。身内や友人が劣等感を植え付けてくるときがある、と。でもそれを気にしていてはならないのです。他人は自分と違う何か個性がある人間を恐れているのです。そのため、自分のレベル以下に落としたいという欲求もあるのです。
 次にマジックで成功するために、成功者を模倣する必要はありません。当時のスターであったハーマンやケラー、フーディニになる必要がないのです。サーストンはケラーからすべてを受け継ぎましたが、同じように演じたのは2作品だけでした。サーストンはケラーになろうとしたのではなく、素晴らしいサーストンになるべく努力を重ねたのです。
 また自分の演技内容を固める上で、あなた自身が最も好きなことにベストを尽くして、魂を注ぎなさいとターベルは言います。他者の演技を見て心配する必要もないのです。あなたが何をするかではなく、あなたがどのようにして良くなろうとしているのか、ということが重要なのです。
 そこで鍵となるのが、個性なのです。人と違う何かが必要です。そこで例としてガス・ファウラーという英国のマジシャンが紹介されます。彼はあまたいる技術の優れたマジシャンと対抗しても無駄だということに気がついて、誰も演じていなかった時計という素材に注目し、ヴォードビルのスターへと上り詰めました。こうした題材も人と違うということも大事なのです。
 ターベルシステムを受講して、手紙が来ました。たった3回の演技で100ドル近い大金を稼いだというのです。全コースを受講すれば70ドルとなりますが、その人はもう元を取ってさらにはプラスにしたのです。ターベルはマジックによって稼げる可能性を述べているのです。
 カーディニの生い立ちも興味深いものです。アメリカに渡ってきて半年近くも無収入だったようです。そこでターベルとアボットが彼のコーチをかって出て、彼は変わりました。そして成功者となったのです。
 ターベルは続けて「あなたに成功が訪れれば訪れるほど人々から批判を受け、反対されるようになる」と忠告します。いつの時代も嫉妬や妬みがうずまき、その影響を受けてダメになっていく危険性を述べているのでしょう。

2.変化する世界(THE CHANGING WORLD)
 常に世界は刻々と変化し、気が付けば全体が変わっているものです。ブームが誕生し、そのブームが当たり前になれば、それそのものが消えてゆくか、あるいは普遍的なものになります。ショービジネスの世界も同じであり、マジックもそうです。基本的なことは何も変わりませんが、人々は常に刺激を求めて変化してゆくものでもあります。またそれは土地柄にもよります。田舎と都会では好みや流行が違ってくるでしょう。
 ターベルはラジオの到来によって、変化してゆくであろうことを予言しています。

3.マジックにおける居場所(YOUR PLACE IN MAGIC)
 マジックの分野は音楽や演劇と同様、多岐にわたります。ですからマジックの分野の中に自分の居場所を見つけなければなりません。自分をアピールする上で何度も実験を重ねて、観客が最も歓迎するあなた自身を見出さなければならないのです。
 ここでターベルが述べてくるのは資質についてです。もともと持っている才能に加えて環境が左右するというのです。音楽家の才能を持ちながら親の言う事を聞いて医者になった人の例を出します。優れた音楽家になる可能性が失われ、貧しい医者になってしまったというのです。またとある母親が息子がマジシャンになりたいと言っていることをやめさせてくれと訪ねてきます。ターベルは「魚に魚になるな、馬に馬になるな、と言いますか?」と言って諌めるのです。
 自分に最もあったマジック分野を見出すことが成功への近道です。

4.マジックの分野(The Branches of Magic)
 それではマジックの分野というのはどのように区分けができるのでしょうか? ターベルは26種類に分類します。これは現在では首をかしげてしまう部分もありますが、この当時の状況を知るには良い資料でしょう。
 またどのような場所で売り込むべきかも分類されています。それは16種類です。これもまた現在では仕事場とは言えない場所もありますが、参考になるかと思います。

5.あなたのショーの演出(DIRECTING YOUR SHOW)
 ビジネスの成功の要素は1つだけではありません。その人の積み重ねてきた様々な要因が重なり合ってでこそです。そのため一般的なことだけではなく、細やかなところにも気を配る必要があります。じつはこの細やかなところにこだわることで他者を上回るような成功が期待できるのです。大きく考えれば他の誰よりも良いサービスを提供すればよいのです。
 まずあなたのショーを作ってください。あらゆる角度から見て完璧に近づけてください。そしてプロとしてのフィニッシュをもつものを作ってください。
 ターベルが述べるマジシャンの問題点は、技術に労力と神経を集中させるがあまり、世の中に知られずに暮らしているということです。どんなに技術があっても一般大衆が求めているものでなければ裕福になれないと断言するのです。
 成功するためには当時成功を収めていた通信販売網の会社を例にとり、マジックも同様に各専門分野に助けを求めるべきと言います。それが売り込みのプロや広告のプロなどに依頼するということなのでしょう。
 そして自分のショーをどの分野で売り込むのか、ということも大切です。そのためには自分のショーの商品価値を考えることになります。ターベルはどのような場所でも対応できるオールラウンドプレーヤーこそがベストであると述べています。そしてその中であっても何が得意なのか、技術なのか、おしゃべりなのか、あるいはシリアスなのかコメディなのか、あなたの演技はどういった客層に評価されるのか、そうした様々な事柄を分析してください。
 ですからある場所で散々たる評価だったとしても、他所においては評判を取る可能性もあります。自分をより良い環境に導くという衝動がさらに高いレベルに引き上げてくれるかもしれません。

6.クラブ・エンターテイメント(CLUB ENTERTAINING)
 マジックのビジネス初心者はまずこのクラブで活動すべきだと述べられています。このクラブとは以前にも説明がありましたが、ロータリークラブ、ライオンズクラブ、ソロプチミストなどの団体および組織のことです。地域やその職種に根ざした団体は現在でも多く存在します。テレビもない時代であれば、こうした組織や団体は定期的に演芸などを主催し、会員たちを喜ばしていたのでしょう。現在でもこれら組織では講師を招いての勉強会や講習会を開いています。
 ターベルはこうした組織の演芸担当者に売り込みをかけなさいというのです。というのは個人的な売り込みが成立する仕事場だからです。そして新聞などの記事や紹介状などを作っていくきっかけ作りもなるのです。
 ここで読者からのお礼の手紙を紹介し、実際にどういったプログラムでどう成功したかが分かります。またターベルはこうしたクラブにおけるギャラ交渉についても書いています。そして観客によってどういったマジックが好みであるかも述べられていますが、バラエティに富んだものにしましょうとしています。
 まずはこのクラブでの仕事を手始めに、大きな世界へと羽ばたく可能性を見出してくださいとのことです。

7.教育的分野(THE EDUCATIONAL FIELD)
 現在で言えば、学校公演や芸術鑑賞会のことでしょうか。ただマジックを演じるだけではなく教育的側面を付け加えても良いでしょう。
 これは学校側から講堂や体育館を借りてショーを行うというスタイルも含まれます。その場合のギャラの取り分まで書かれています。
 学校側とブッキングの交渉をする際には切り抜き写真や紹介文がまとめられているスクラップブックが必要でしょう。

8.文化講習会と講堂(CHAUTAUQUA AND LYCEUM)
 当時はシャトークワと言われる文化活動が仕事場として存在していたようです。またレイジーアムも同様です。これらは現在でいう講演会と考えられます。緞帳付き舞台というよりは、もっとカジュアルなプラットホーム(演壇)で演じるスタイルです。ここではその代表的な事務所が紹介されています。また特殊なジャンルなため、クラブや普通のマジシャンはお呼びでないとのことです。

9.様々な他のエンターテイメント分野(VARIOUS OTHER ENTERTAINMENT PLACES)
 夏や冬であればリゾート地、教会やホテル、カーニバルなど様々なエンターテイメントの場所があります。ここでも読者からの手紙が紹介され、成功例が語られます。

10.ヴォードビルの分野(THE VAUDEVILLE FIELD)
 テレビもインターネットもない時代、エンターテイメントの頂点とも言えるのがヴォードビルでした。ヴォードビルに出演していることが一流の証であり、そのヘッドライナーともなれば超一流でした。この世界の場合はエージェントが重要な役割を果たします。
 現在のテレビ業界にも通じるものがあり、常に新しさが求められます。ですから良い商品であるとなれば、新人でもベテランでも関係ありません。面白く素晴らしければ良いのです。またそれだけに生き馬の目を抜くような世界でもあります。ですからよほどの覚悟と準備が必要とのことです。そこでターベルは最初からニューヨークを目指すな!と忠告します。田舎町で修行を積み、自分の演技のブラッシュアップを心がけ、より良いものを作り上げなさいとのことです。
 またヴォードビルでは自分がどのランクやどのジャンルに属するのかを見極めることも必要だと述べられています。

 次回は6月30日(日)にレッスン60を行います。ここではレッスン30で学んだ広告と宣伝の続きです。写真やチラシなどについて述べられます。このレッスンは議論のみで演目解説はありません。ご了承ください。
 今までの中から重要部分を抜き出して復習を行います。もう一度ターベルシステムを勉強し直したい方もぜひご参加ください。
 マジック教室終了後には飲み会を行います。ぜひ皆様ふるってご参加ください。お待ちしております。