5/6『ニコラス・ローレンス師によるワークショップ』終了いたしました。

 ようやく興奮冷めあらぬニコラス旋風が落ち着きました。5/6は定員一杯のお客様にご来店いただき誠にありがとうございました。何度か当店でも外人マジシャンを呼んでのショー&レクチャーを行ってまいりましたが、あっという間に席が埋まり締め切ってしまったのは初めてのことです。
 近頃全米ナンバーワンのクリエーターと呼び声の高いニコラス師ですが、映像を見る限り、動画やテレビ用のマジックに特化しているように思えました。しかし、実際にはどれもが実践的で素晴らしい作品ばかりでした。日本を代表するプロやクリエーターも集まり、如何に注目されているかが再確認できました。数多くの現象を行ってもらったために、順番は違っているかもしれませんし、タイトルもわからないものもあります。ご了承ください。
 最初に余裕を持たせるために開場と開始に30分余分に時間をとったのですが、ほとんどの人が集まってしまい逆に時間を持て余してしまいました。そこで何か演じてくれないか?と頼んでみると快く引き受けてくれました。師を一躍有名にしたオンオフという指輪手順です。これは彼の師匠ともいえるギャレット・トーマスの影響を受けていますが、少年時代にこの手順の元となるアイディアを編み出したそうです。映像でご覧になった方も多いと思いますが、指が取れてしまうという現象です。続いて演じてもらったのはアンビシャスカード現象です。通常のアンビシャスとは違い、斜めに差し込んだカードがビジュアルにそして徐々に上がってゆき、最後にトップカードになるのです。このような現象はレイズライズなどが有名ですが、彼の手順はさらにクリアーに思えました。
 ワークショップが14時にスタートすると、彼はこう言いました。自分はパフォーマーではなくクリエーターだから演出やショーマンシップは関係なく、現象だけお見せして解説するとのことでした。
 最初に見せてくれたのは「ダウンロード」という作品でした。選んでもらったカードの上側に×印を書きます。下側にはお客にサインしてもらいます。どちらも油性ペンで書いたものです。それをデックのトップにインジョグして乗せます。ふっと息をかけただけで、なぜか×印だけが2枚目のカードに飛び移っています。一瞬目を疑いました。さらにパッとカードを取ると再び×印が元のカードに飛び移っていました。正直信じられませんでした。かなりの至近距離にいましたが、全然わかりませんでした。本当はすぐにでも解説したかったのでしょうが、それよりも他の作品の現象が見たいので、演技をリクエストしました。
 ただこの時すでにとても汗をかいて、常にペーパータオルで拭いていました。師はすぐに緊張し、汗も半端なく出る体質のようです。そんなこともあってパフォーマーではなくクリエーターの道を選んだそうです。
 次に見せてくれたのは、選んでもらったカードの角に小さく×印を書きます。そのコーナーを折ってから、破きます。その破片をデックの上に乗せ、お客には角の欠けたカードを持ってもらいます。その瞬間、保持していたデックの破片が消えて、お客は元に戻ったカードを持っているのです。まさに破片がジャンプしたようにしか見えませんでした。
 それから次の作品は「ブレード」として販売されているものです。これは単独で日本のあるマジックショップで5000円近くで販売されているものです。現象そのものはイリュージョンの「美女の胴切り」へのオマージュだとのことで、クイーンが示され、2枚のジョーカーは彼女を覆う箱だと説明されます。想像上のレーザーで美女が切られました、と言ってからクイーンを動かすと、まるでジグザグイリュージョンのように身体がずれてゆくのです。完全にずれてから元に戻します。カードを使ってこの現象を表現することは以前からもありましたが、驚いたのは使われた3枚のカードをお客に渡したことです。終了後がクリアーでした。
 続いては「カードアンダーボックス」です。この演目をプロが素人相手に演じたら、きっと皆さんは私に感謝するようになるでしょう、と言うだけあって一般向けのマジックです。現象そのものはもはやモダンクラシックとも言えるカードケースの下にあらかじめ予言カードを置いておくというものです。お客にその後カードを選んでもらいサインをしてもらいます。サインカードをデックに戻してどこに行ったかわからなくします。カードケースをどかして予言カードを見てみるとなんとお客のサインカードです! ジョン・ハーマンのサインド・カードやジョン・ケネディのミステリーボックスを彷彿させます。
 ここでニコラス師は今日はこの4作品を解説し、皆さんと作っていきましょう、と述べたので、これもまた解説よりも他の現象を見せてもらおうということになりました。
 ところが、軽装で来たニコラス師は他の道具を持ってきていないからできない、ということになりました。すると客席にいたRYOTA師がじつは先だってのレクチャーで覚えたり買ったりした道具を持っていることが分かり、それらを使って実演をしてもらいました。
 「パーフェクトリバイバル」は千円札のコーナーを破いて、ふっと息をかけるだけで瞬間に復活してしまうというものでした。これもまた復活したお札をお客に渡して改められることに驚きました。
 「スムース」はリップスティックを使った貫通現象で、これもまたすぐに改めることが可能でした。今までのこの手の貫通現象と違いゆっくりと溶けてゆくように入り、抜けていくのが不思議でした。
 四つ折りにした青と赤のカードの入れ替わり現象も信じられないものでした。目の前で起こる奇跡の数々に一同驚きの声を上げるしかありませんでした。動画で見てきた演技が実際に生で演じられるものであることもまた驚きを倍増させてくれました。
 これらを見ることができたのはRYOTAさんのおかげです。どうもありがとうございました。
 スリーフライ現象を師独特の手順で演じてくれました。普通に行われるような持ち方はしていないのに不思議とコインが移動してゆきます。ノーマルコインでこのような現象が可能なのかと驚きました。
 以上をすべて解説してもらいました。そして彼を一躍有名にした1枚のカードが空中でゆっくり消えてゆくという作品もリクエストに応えて特別に行ってくれました。
 どの作品もクリエーターならではのアイディアが満載であり、1つの素材やアイディアがいくつものバリエーションを生み出してゆくことを実感しました。しかも高度なテクニックだけではなく、すぐにでもできるような作品もあるところもすごいと思いました。
 まさに天才でしょう。かつてのポール・ハリスが世に出てきた時の驚きが今蘇ったように思えます。
 気が付けばあっという間に18時になっていました。通訳の寺澤さんもかなりお疲れでした。今回寺澤さんというマジックにも英語にも精通している方に協力してもらえたおかげでとてもスムーズに進行いたしました。どうもありがとうございます。
 打ち上げでは台湾から帰国したばかりの服部さんが、新鮮なパイナップルをお土産に持ってきてくれました。またいつも美味しいお酒を差し入れにくれます。ありがとうございました。じつはニコラスのレクチャーを勧めてくれたのも服部さんです。
 また日本を代表するクリエーターの野島さんも、ニコラス師に自身のオリジナルを見せてくれました。代名詞ともいえるダイスを使った貫通現象や輪ゴム、そしてニコラスがとても気に入ったのはカードボックスの中にあるカードが一瞬に変化するというものです。しかもそれがもう一度可能でした。しかし驚いたのはそのタネです。余りにもシンプルでした。ニコラスはさっそくこのアイディアで次のアイディアが閃いたそうです。野島さんありがとうございました。
 この日、来ていただいたプロの方やアマチュアの方々に改めて御礼申し上げます。そしてなによりも今回の立役者は手品屋の将魔さんでしょう。彼のおかげでこのような会を催すことができて本当に感謝しております。どうもありがとうございました。
 ニコラス師は大変日本を気に入り、また来年来るとのことです。驚くべきことに全部を新ネタに差し替えるそうです。これだけ強力な演目を全て変えてレクチャーできるなんて、なんて凄いことだろうと思います。ぜひ来れなかった皆様にはいつの日かニコラス師を体感してもらいたいと思いました。