11/4『マジック教室(オリジナルターベルコース・レッスン53』終了しました。

●脱出&入れ替わりイリュージョン(ESCAPE AND SUBSTITUTION ILLUSIONS)
 この時代最も人気が高かったイリュージョンはエスケープ(脱出)です。それはまぎれもなくフーディニの影響でしょう。この時代においてもスピードが重要視されています。

1.サブスティテューション・トランク・ミステリー(THE SUBSTITUTION TRUNK MYSTERY)
 これは日本では人体交換と呼ばれ、欧米ではメタモルフォシス(Metamorphosis)として今でも現役マジシャンが演じている素晴らしいイリュージョンです。その原点こそがここに書かれているやり方です。
 この演目を編み出したのはフーディニと言われています。それが真実かはわかりませんが彼の代名詞の一つであったことは間違いありません。元々は妻のベスとコンビを組んでスピリットキャビネットを演じたり、ツーパソンテレパシーを演じていました。しかしフーディニ夫妻がメンタルアクトよりもダイレクトに脱出したほうがキャラクターにあった演出であることに気がつき、そこからこの演技が誕生したと言われています。
 その演技は実弟のセオドール・ハーディン(Theodore Hardeen)に受け継がれました。
https://www.youtube.com/watch?v=97F8vryo8Sw
 現代との相違点としてはなんといってもカーテン付きキャビネットの存在です。このキャビネットはスピリチュアルアクトの際にも使われたもので、系譜としてはその進化系と考えられます。しかし持ち運びや、ステージの場所を占領してしまうなどの弱点もあり、今では手持ちのカーテンを使うのが普通です。また手持ちカーテンのために更なるスピードアップが可能となったのも要因と考えられます。現代を代表する人体交換といえばなんといってもペンドラゴンズ(Pendragons)でしょう。その速さとかっこよさは絶品でした。憧れたのは私だけではないでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=_wmHQ0s7cgU
 しかし速さが全てではないと思います。100年前の人体交換も趣きがあると思います。客席から募った見届け人によってすべてが調べられるというのは良い演出ではないでしょうか。そういう意味では私はダグ・ヘニング(Doug Henning)の人体交換も大好きでした。
https://www.youtube.com/watch?v=zuXdfuSkJus
 カーテン付きキャビネットは使われていませんが、コンセプトとしては古典としての演技かと思います。
 今でこそ人体交換の箱は怪しいものですが、当時はごく普通の荷造り用あるいは旅行用のトランクとして用いられていたのです。その箱に閉じ込められて脱出するというのは大変リアリティがあったと思います。
 この人体交換用トランクもターベルは詳しく寸法なども記し図面化しています。これを見ると仕掛け部分が現代とは全く違います。これならばいくら調べられてもタネは見破れないでしょう。今回もダンボールで模型を製作してみました。いつか実寸できちんと木で作ってみたいと思いました。
 カーテン付きキャビネットですが、今回発見したのはその製造方法です。なんとガス管が使用されていました。これならば丈夫であり、なおかつ分解も組立も容易なのではないかと思われます。今はガス管DIYというジャンルがありますので、これも復元することが可能かも知れないと思いました。

2.キャンバスボックス・ミステリー(THE CANVAS BOX MYSTERY)
 キャンパス生地(帆布)が木枠に張られており、それが6枚あります。演者をこの板状の帆布で取り囲み、太いストラップで固定します。その周りをカーテン付きキャビネットで覆います。女性がカーテンに入ると一瞬で入れ替わります。これは一見簡易的な人体交換に思えますが、実際に演じたら大変不思議ではないでしょうか。これも見届け人によって全てを調べさせることができます。この演目はターベルの友人であるパーシー・アボットが得意にしていたことがのちのターベルコースに書かれています。

3.梱包箱からの脱出(THE PACKING BOX ESCAPE)
 コンセプトは上述と変わらないのですが、宣伝広告用として優れていると述べられている点が違っています。当時の梱包箱は身近なものであり、全く仕掛けを感じさせなかったのだと思います。その箱にスポンサーとなる会社などのロゴを入れておけば、スポンサーが喜ぶというのです。あるいは劇場の前に置いておき、何日か後にマジシャンがこの中に入って脱出すると予告をしておけば、街ゆく人が興味を持ち、チケットの売り上げが上がるでしょうという役目なのです。以前学んだパブリックスタントなのです。

4.紙袋からの脱出(THE PAPER BAG ESCAPE )
 何がすごいって人一人が入ってしまう紙袋を作るということでしょうか。そのアイディアもすごいのですが脱出する方法も斬新です。袋の口をリボンテープで縛りますが、現代であればセロテープで行えるのではないでしょうか。等身大の紙袋の作成という困難がありますが、ぜひ再現してみたいと思いました。

5.ボンボン紙袋からの脱出(THE BONBON PAPER BAG ESCAPE)
 これは上述の紙袋からの脱出のバリエーションで、まるでキャンディのように紙筒の両端を縛ってしまうからこのようなタイトルとなりました。これもまた等身大ということを考えるとハードルが高いように思えます。

 次回は12月16日(日)にレッスン54を行います。次回はイリュージョンというよりは中ネタです。メインテーマとなるのはマジックテーブルです。マジックテーブルには様々な仕掛けがありますが、本当の使い方がやっと分かりました。このターベルのテーブルは実寸で製作中です。その他、がっくり箱、中国式鳩だし用フレーム、セイヤーの鳩消しカゴを解説します。一部再現することが不可能な演目もあります。ご了承ください。
 また第一期の中から重要部分を抜き出して復習を行います。もう一度ターベルシステムを勉強し直したい方もぜひご参加ください。
 マジック教室終了後には飲み会を行います。ぜひ皆様ふるってご参加ください。お待ちしております。