3/18『マジック教室(オリジナルターベルコース・レッスン45)』終了しました。

 テーマは心霊奇術です。生きている人が死んでいる人と会話または交信するというのは古代ギリシャの時代から行われ、しかもそれには機械的装置が使われてきました。それによって一般大衆を欺くことに成功していたのです。ターベルの生きていた時代にはスピリチュアリズム(心霊主義)が盛んになり、これに伴い大衆を食い物にする偽霊媒師たちも現れました。
 アメリカにおける心霊主義は1848年のフォックス姉妹に始まります。人間の持つ亡くなった人と話がしたいという純粋な気持ちを利用してお金を儲けるというビジネスが誕生したのです。そのブームは20世紀初頭まで続きました。そして様々な現象が生まれました。霊の肉体具現、トランペット(ラッパを吹く)、スレート・ライティング(石版に文字を書く)、テーブル・ティルティング(テーブルが動く)そしてラップ現象などです。これらは科学者たちの前でも行われ、彼らの論文が結果的にそれらを裏付けるような形となって一般にも浸透してゆきました。特に第一次世界大戦によって霊媒師立ちの需要はピークを迎えました。
 ところが、1915年頃からデビットPアボットら、偽霊媒師たちの手口を暴露するようになり、フーディニらの撲滅運動キャンペーンによって徐々にその数を減らしてゆきました。1926年頃にはほぼ絶滅状態となってきたのです。
 すべての人たちが霊の存在を本気で信じているわけではなく、興味本位の人たちもたくさんいました。刺激を求めていたのです。そこでマジシャンたちもサーストンやブラックストーンなど一流マジシャンたちがこぞって心霊現象を演技に取り入れるようになりました。
 この時代のターベルはマジックを3つに分類しています。1つ目は、コインを消す、カードが出現する、あるいはイリュージョンなどの身体を使うフィジカルなマジック、2つ目は、心を読む、予知をするなどのメンタルなマジック、そして3つ目が、自分ではない第三者、もしくは目に見えない他の力が何かを起こすというスピリチュアりスティックなマジックです。今回のレッスンでは以下の7つの現象を覚えることになります。

1.生者と死者のテスト
2.心霊写真
3.サイキック・ペーパー
4.ダブル・スレート・ライティング
5.シングル・スレート・ライティング
6.交霊術会におけるテーブル・ペンシル・ラッピング
7.タッチ・オブ・ミステリアス・フィンガーズ

1.生者と死者のテスト(THE LIVING AND THE DEAD)
 基本的な現象は何人かの客にメモを渡します。生きている人の名前か、死んでいる人の名前を書いてもらいます。それを各自折りたたんでもらい、帽子等に回収します。演者はメモを開ける前にそれが生きている人なのか、死んだ人なのかを当てるというものです。即席のやり方から、ある程度準備の必要なもの、少人数に見せる場合や大人数の場合など現象は同じですが、7種類のやり方を覚えます。以下に解説するスレートマジックと組み合わせるとさらに素晴らしい現象となります。

2.心霊写真(SPIRIT PHOTOGRAPHY)
 何も現像されていない印画紙に、お客の選んだカードが写真として浮かび上がってくるというものです。2つの方法が紹介されます。1つ目はダブルエンベロップを使う方法。2つ目はヴェロックス(Velox)という印画紙を使うやり方です。残念ながら現在ではこの印画紙を入手することができませんので再現は諦めました。しかしこの現象がのちのポラロイドカメラを使っての念写として進化するのでしょう。

3.サイキック・ペーパー(THE PSYCHIC PAPER)
 この時代にすでにサイキックという言葉があったことになります。現象としては、シガレットペーパーを1枚出して、丸めます。お客に4色から好きな色を選んでもらい、さらには3桁の数字を言ってもらいます。丸めた紙を選ばれた色の紙の上に乗せます。霊が降りてきたと感じたら紙を広げます。すると選ばれた色の鉛筆で自由に言ってもらった3桁の数字が書かれているのです。クロースアップマジックとしては秀逸な作品です。現代でも通じます。ネイトライプチッヒの作品で似たような演目がありますが、これはその進化系と言えるでしょう。道具を作成するのが少し手間ですがその価値は充分あります。

4.スピリット・スレート・ライティング(SPIRIT SLATE WRITING)
 当時使われていた学校用の黒板を使います。ここでは2枚使う「ダブルスレートライティング」を2種と1枚だけの「シングルスレートライティング」3種が紹介されます。これらも道具製作がたいへんですが、とても素晴らしい現象ですから絶対に演じるべきでしょう。この道具の場合はマジックショップで入手することも可能です。ここでは新聞紙を使いますが、今まで私はなぜ新聞紙を使うかをよく理解していませんでした。また1面ごとに数字を書いてゆきますが、これもまたきちんとした理由があり、それによってさらなる不思議を生み出すことに成功しています。「生者と死者のテスト」と組み合わせると、選ばれた死者の名前が黒板に書かれているというとても良い現象となります。

5.ペンシル・ラッピング(PENCIL RAPPING)
 これ以降はパーラー・セアンスとなります。セアンス(SÉANCE)とは交霊術会のことです。ここでは幽霊が来た証拠としてラップ音が聞こえるという現象です。ラップ音を作り出すために鉛筆が使われます。結構難しかったですが、音が出るようになりました。コンディションに左右されます。

6.タッチ・オブ・ミステリアス・フィンガーズ(THE TOUCH OF MYSTERIOUS FINGERS)
 これこそが、最もイメージするセアンスとなります。観客数人がテーブルの周りで円陣を組み、互いの小指がくっつく状態にします。テーブルの真ん中にはロウソクが灯され、他の明りを消します。幽霊が降りてくるとそばにあるタンバリンや、ベルが鳴り出します。あまりにも大胆なやり方であり、果たしてこれで本当に霊が降りてきたと感じるかどうかは疑問です。当時の人々の気持ちや状況によっては可能ではないでしょうか。しかし現代においては難しいというのが正直なところです。

7.ジセル・メソッド(GYSEL'S METHOD)
 ロバート・ジセルはこの種のマジックの第一人者です。その彼の上記6のやり方です。大胆すぎる上記のやり方にきめ細かな配慮があります。プロであればこちらのやり方で演じる方が良いかと思います。

 次回は4月15日(日)にレッスン46を行います。スピリチュアリスティック・マジック(心霊奇術)の特集の続きです。その他のセアンス(交霊術会)のやり方を学びます。ステージ用のスピリットキャビネットやシベリアン・チェーン・エスケープ、ロープ・タイなどの縛られた状態からの抜け方などを勉強します。
 マジック教室終了後には飲み会(新年会)を行います。ぜひ皆様ふるってご参加ください。お待ちしております。