2/18『マジック教室(オリジナルターベルコース・レッスン44)』終了しました。

化学的、機械的なマジックの特集です。化学的とは薬品などを使います。機械的とは道具自体に仕掛けがあります。どちらもほぼ自動的にできますが、演出などに留意することによって素晴らしいショーの一部になります。ですからぜひレパートリーにしてください、と述べられています。ターベル自身は今まで皆さんは充分に基礎を学んできました、だから今こそこうしたマジックを覚えて自身の手順に加えてください、と言うのです。これは裏を返せば、初心者が安易に簡単にできてしまう化学的機械的演目に手を出すべきではないと言っていることになります。

1.一風変わった煙の移動(A NOVEL TRANSMISSION OF SMOKE)
 有名マジシャンである英国のエリス・スタニヨン(Ellis Stanyon 1870~1951)の作品です。劇薬を使うためか、百科事典版では割愛されている幻の演目です。コップに注いだいっぱいの水にタバコの煙を吹きかけると徐々に乳白色になっていくという素晴らしい現象です。ここで使う薬品を数種入手して実験をしました。しかし実際に化学反応が起きず、再現には失敗してしまいました。今後の研究が必要です。

2.ワインと水(WINE AND WATER)
 私自身が20年以上演じている演目の原典がここにありました。最も美しい液体マジックの真骨頂だと思います。水がワインに変化し、また水に戻るというものですが、ここではクライマックスにミルクになる、というのが加わっています。最初どうしてもミルクになる、というのができませんでした。しかし実験を繰り返し、理屈が分かるようになったので、この実験は見事に成功しました。

3.さまよえるグラスとボトル(THE WANDERING GLASS AND BOTTLE)
 俗に言うパスパスボトルです。最近でもまたこの現象が流行しています。ターベルが子供時代にこれを見てとても印象深かったことが述べられています。彼の時代においても古典だったのです。しかし、ここで述べられている現象は今流行りのたくさんボトルが出てくるタイプではなく、観客から見た際にシンプルに1本のボトルと1個のグラスのみです。特に派手な現象が起きるわけではないのに見事にクライマックスを演出するのが素晴らしく、見せ方の勉強になると思いました。

4.コメディ版グラスとボトルの交換(COMEDY VERSION OF WANDERING GLASS AND BOTTLE)
 上記のパスパスボトルのバリエーションです。アシスタントが勝手にボトルを1本持って行ってしまい、マジシャンが失敗してしまうのではないか、という部分がコミカルに演出されています。椅子を使ったサーバントが登場しています。

5.ボトルよ、ボトル、どこにある?(BOTTLE, BOTTLE, WHERE'S THE BOTTLE?)
 さらに筒をもう1本加えたパスパスボトルのバリエーションです。ボトルがどこにあるか、というスリーカードモンテ現象です。ここで注目すべきは堂々とした態度を取ることで筒を改めることなくクライマックスになるということでしょう。

6.マジカル・トランスフォーメーション(A MAGICAL TRANSFORMATION)
 ブランベース(Bran Vase)と呼ばれる古典ですが、現在では入手が難しく、今回割愛させていただきました。手順構成が素晴らしく、道具ネタではあっても良い演目であることが理解できます。紙テープを床に落としてフィニッシュにする部分がすでに解説され、この時代から既に行われていたことがわかります。

7.クッキング・レッスン(A COOKING LESSON)
 マジシャンであれば知らぬ者はいないダブパンです。しかし実際にどのように使うかはあまり知られていません。今回、当時のやり方がわかり大変勉強になりました。鳩をどうやって作るのかということをテーマにまるで料理のように行う演出で、火を使うことによって効果が上がります。素晴らしい手順です。

8.ウェルシュ・レアビット(THE WELSH RAREBIT)
 このタイトルの意味がまさか英国ウェールズ地方の郷土料理とは思いませんでした。つまり洒落だったのです。この道具自体はダブパンよりも古く、全く同じものがホフマン教授『モダンマジック』にすでに記載されています。ダービーハット(山高帽)を一般的にかぶっていた時代にとっては強烈なマジックです。私自身はこれを演じている人も見たことありませんし、当然私も初めて演じましたが、素晴らしい手順だと思いました。しかし原案通り帽子を借りて行うのはまず不可能でしょう。

 次回は3月18日(日)にレッスン45を行います。スピリチュアリスティック・マジック(心霊奇術)の特集です。1930年代までは心霊現象のショーがとても流行していました。サーストンやブラックストーンといった有名マジシャンでさえそのジャンルをレパートリーにしていました。現在その多くの演目はメンタルマジックの分野に吸収されていってしまいましたがその原型と背景を勉強することになります。生者と死者のテスト、スレート(石板)トリックなど日本ではあまり知られていない演目をぜひこの機会に身につけてください。
 マジック教室終了後には飲み会(新年会)を行います。ぜひ皆様ふるってご参加ください。お待ちしております。