弁護士はこうやっている。交渉を上手く運ぶための3つのポイント
交渉妥結に向けた3つのポイント
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
交渉の目的は、利害の異なる当事者双方が、納得する落としどころを見つけ、何らかの合意点を見出すことです。そこで今回は、交渉を決裂させず、妥結にもちこむために心得ておきたい3つのポイントを紹介します。
1.自分の要求を貫徹しようとしない
理想として、自分が求める100%を得たいと思うことは当然です。しかし、とかく忘れがちなのは、相手も同様に100%を目指しているという事実です。互いの要望がぶつかり、譲らなければ、妥結できなくなる可能性が極めて高くなります。
「なんとしてでもすべての条件を通す」という決意をもって交渉を行うのではなく、100%はあり得ないということを前提として、「この条件ならここまでは譲れる」といったように、諸条件についてどこまで譲歩できるかを事前に細かくシミュレートして交渉に臨むことが大切だと思います。
2.2者択一ではなく第3、第4案を模索する
相手にイエスかノーかを突き付けられても、第3案、第4案を提案できるようにすることが大切です。
身近な例で説明するとわかりやすいでしょう。門限を破りがちな息子に怒り心頭の親がいます。たまりかねたある日、息子に「22時の門限を厳守するか、家を出ていくか」と強硬姿勢で迫りました。
ここで息子が「22時は早すぎる。0時にして」と頼むだけでは聞き入れてもらえないことが多いでしょう。しかし、「基本は22時で良いけど、どうしても22時より遅くなることもある。そのときは、21時までに、帰る時間、誰といるかを電話すればいいよね」と、第3案を提案すると、比較的通りやすくなります。
なぜこれが有効かというと、門限を設けることによる親のニーズが、時刻そのものより「安全でいてほしい」「悪い友達とつるんでほしくない」など、時間以外のことにあることが多いためです。親は、そのニーズを満たすためのベストな選択肢が「門限を22時にする」と信じているわけです。そこで、「他の方法でも、そのニーズを満たすことはできるよ」と提案をするのが、この第3の選択肢です。
交渉では、相手が突きつける二者択一に乗らず、相手のニーズを満たすための別の案を考え出すことがとても重要です。