寫眞繪畫#春の海 | 春夏秋冬✦浪漫百景

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季節の移ろいの中で...
歌と画像で綴る心ときめく東京千夜一夜物語

寫眞繪畫

春の海

初旅の 菜の花の沖 春の海/松風

紫に 夜は明かゝる 春の海/几董

 

灯台や 手毬のやうな 春の海/松山足羽

限りなき 日本領や 春の海/尾崎紅葉

 

春の海 岩はひ上る 遊び波/山口青邨

 

舟歌に 月こそ出づれ 春の海/正岡子規

春の海 岬の月夜 赤き塔/花輪

 

春の海 潮甘かれと 思ひけり/巌谷小波

島々に 灯をともしけり 春の海/正岡子規

吹風や 故郷の匂い 春の海/松風

 

海の駅 君見送りて 春の海/花輪

 

春の海 竜のおとし子 拾ひけり/露伴

子の声の 溢るる春の 渚かな/原昭二

 

午後からは 岩の現れ 春の海/岡田耕治

 

 

 

 

 

春の海ひねもすのたりのたりかな

 

俳句を詠めば芭蕉、一茶と並び、
画は池大雅と双璧をなすと讃えられる。
ついには俳句と画が渾然一体の
独自の新境地を拓いた与謝蕪村。
生涯の大半を旅に明け暮れ、
漂泊を創作の糧とした。
なかでも、丹後で過ごした日々は、
蕪村に大きな転機をもたらした。
そこは亡き母を偲ぶ郷愁の地、
友と交わり、画と俳句に励んだ丹後に
蕪村の足跡がある。


白砂青松の天橋立が横たわる与謝の海。
蕪村は丹後の各地を訪れ、句や画を残した。

柔らかな日ざしのなか、波穏やかな与謝の海が広がっている。
白砂青松を海上に連ねる天橋立、彼方の丹後半島の山々もうす墨で描いたように霞んでいる。つい、うとうとと気持ちよく眠ってしまいそうな風景だ。
そして、頭に浮かんだのがこの一句。


  春の海 終日[ひねもす]のたり のたりかな