「自分のことが嫌い!」という人がいます。誰だって自分の嫌いな部分というのはあるでしょうが「自分なんていないほうがいい」と考えるくらいに極端に自分が嫌いとは、普通は思いません。ですが、それくらいに自分のことが嫌いな人もいて、そこには自己否定が大きく影響しています。そこで今回は、自己否定について、一緒に考えていきましょう。
1:自己否定の意味は?
自己否定とは、専門的には「自己否定感」と呼んでいます。その意味は、「自分に対する否定的な感情」。そして、ひと口に自己否定といっても、「自分にはこういうダメなところがある」という部分的な否定もあれば、「自分はダメな奴だ」「自分は情けない奴だ」というふうに、自分のすべてをまとめて責める、全体的な自己否定もあります。
ちょっとここで、次のテストをやってみてください。
1.私は、幸せになる価値がないと思う。
2.私は、何をやっても失敗ばかりする。
3.私は、生きているべきじゃないと思う。
4.私は、いつも後悔ばかりしている。
5.私は、何をやってもうまくできない。
6.私には、良いところがない。
7.私は、自分に満足していない。
8.私には、欠点が多い。
9.人は、私のことが好きではない。
いくつあてはまったでしょうか。これは、自己否定を測るテストです。あてはまる数が多ければ多いほど、自己否定の感情が強いといえるでしょう。
2:自己否定する人の特徴3つ
自己否定する人の特徴について考えていきましょう。
(1)自信がない
自己否定感が強い人の最大の特徴は、自分に自信がないことです。誰だって失敗が続いたりすれば、自信がなくなることはあります。ですが、それが慢性化してしまうと、どんどん自己に否定的になってしまいます。「私には無理」「できっこない」といったような言葉をすぐに口に出してしまう人は要注意でしょう。
(2)他人と比較してしまう
なぜ自信がないかといえば、それは他人と比べてしまうからです。そして比べた結果、自分は他の人よりうまくできないだろうとか、失敗するだろうと考えてしまいます。あまり好ましい言葉ではないかもしれませんが、これは「負け犬根性」。「負け犬根性」というのも、自己否定感と深く関係しているんです。
(3)他人のマネをしてしまう
自己否定感が強い人は自分に自信がないので、「自分の決断や選択が間違っていたらどうしよう」という不安が常にあります。そのため、何かを選ばないといけないときに、周囲の間園をしてしまう傾向があるかもしれません。人とおそろいの服を選びがちだったり、ランチでの注文時に「私も同じもので!」なんていつも言っている人が、それにあたります。
3:うつ病のおそれも?自己否定してしまう原因3つ
では次に、自己否定してしまう理由について考えていきましょう。自分に自信がないことが最大の理由ですが、どうして自信をなくしてしまったのでしょうか。
(1)幼いときの家庭環境や学校でのつらい体験がある
先ほど、あまり好ましい言葉ではないかもしれませんがと前置きをしながらも使ってしまった「負け犬根性」という言葉。では、どこでそんな根性が身についてしまったかと言えば、例えば、幼いときの家庭環境や学校でつらい体験をして、そこで「負け犬」扱いさせられてきたことで、それが身についてしまうということが考えられます。
例えば、家庭環境。親や周囲の大人から無償の愛を受け、「世界でいちばん」という扱いをされて、実際そのように育てられることが多いでしょう。すると、自分は愛される資格があるかけがえのない存在だと考えられるようになります。ですが、育児放棄や虐待、また過保護や過干渉を受けてしまうと、自分は愛される資格のない人間なんだとか、生きていても仕方がない人間なんだと思うようになってしまいます。
その結果、自己否定感が生まれます。学校でいじめられる、無視されるといったつらい体験も同様です。
(2)トラウマとも言える失敗経験がある
トラウマになるくらいの大きな失敗経験をしてしまうと、次の同じ失敗をしたらどうしようと不安になって、自信をなくしてしまうということがあります。恋愛もそうかもしれませんね。
(3)ハードルを下げて達成感を味わいたい
自己否定することによって、ささいな成功でも自分を高く評価しようという意図もあるかもしれません。いわゆる「ハードルを下げる」ということです。「自分には無理かも」と考えて挑戦した結果、その成功がちょっとしたものでも、大きな喜びになりますよね。それを味わいたくてまず自己否定から入ってしまうという人もいます。
4:すぐ自己否定してしまう癖を改善する方法3つ
自己否定してしまう癖を改善するには、どうしたらいいのでしょうか。
(1)自分を褒めてあげる
人間誰しも、自分の評価を自分ですることは難しいものです。ですが、自分を自分自身の目で客観的に見て、ちゃんと評価してあげましょう。つまり、自分のことを自分で褒めてあげるのです。
例えば、寝る前に今日の自分の良かったところをひとつ、ふたつと挙げていく、ということから始めてもいいでしょう。
(2)自分も含めて誰も完璧ではないとことを知る
自己否定感が強い人は、自分だけがいつも失敗するとか、自分だけができないと考えてしまいがちです。ですが、そうではなく、誰でも失敗するんだとか、誰だって自信がないときくらいあるものなんだということを理解することが必要です。それができれば、少しは気がラクになるかもしれません。
(3)自分に自信をもたせてくれる人と一緒にいる
自分のことを自分で褒めてあげるようにしましょうとは言いましたが、それは簡単なことではありません。そういうときには、自分を褒めてくれるような友達や仲間と一緒にいるようにしましょう。
5:自己否定型ナルシズムとは?
今回、自己否定を解説するにあたり、編集部から「自己否定型ナルシズムについて、教えてください」というリクエストがありました。しかしながら、これは学術用語ではないので、説明が簡単ではありません。
一般的には、ナルシストだからこそ自己否定をしてしまうというふうに解釈されているようです。先ほど、自己否定している原因として「ハードルを下げている」という点を指摘しましたが、まさにこれです。
褒められたいという欲求が強いために、ささいなことでも褒めてもらっていい気持ちになるように自己否定をしてしまうということなんです。そう考えると、こういう人は確かに周りにいますよね。
6:まとめ
自己否定感が強い人は少なくないでしょう。それが悩みになっているという人もいるはずです。ですが、必ず解消することはできます。焦らず、少しずつ自分に自信をもつところから自分を変えていきましょう。