門脇先生

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やっと、2月までにやるべき事務処理が全て終わった。あとは決算を税理士にやってもらうだけだから気が楽だ。

 

で、帳簿が終わったら暇をみて、チマチマと某針灸書の翻訳でもしようかと思っていたが、先に自分のウェブサイトの北京日記をあと1つだけ完成させねばならぬことに気が付いた。今は5つ公開しているが、トップページの構成上6つないと見た目のバランスが悪いから、止むを得ずまた日記を追加せねばならない。

 

ハッキリ言って大して面白くない日記だと思うし、書くのも面倒だ。しかし、中には面白いと言う人もいるし、とりあえずは中国針灸事情を知らぬ日本の鍼灸師が中国を知るキッカケになるやも知れぬから、駄文をこねくり回した日記ながらも恥を承知しつつ公開している。

 

日本では中国語の針灸書さえ読めぬのに、「私は針灸の専門家である!」とか「我は針灸の大家である!」などと恥ずかしげもなく自称するようなゴリッパな御仁が未だに少なからず存在するけれども、そんな現状を憂えて、密かに一部の鍼灸師の救いとなるようにと願いつつ、針の本場である中国に親しみやすいような内容を心がけている。

 

とりあえず、この日記を読めば北京や上海のどこで針灸書を買えば良いかとか、北京の針灸用具店はどこへ行けば良いかなど、簡潔ながらも理解できるようにしてある。おそらく行動力のある鍼灸師であれば、この日記を読了後、一人で中国へ行けるようになるかもしれない。

 

日本鍼灸界の現状を鑑みれば、中国語が出来ぬ鍼灸師は将来的には効果的な現代中医の刺鍼法を取り入れることが出来ず、淘汰されてゆくであろうと予想している。なぜなら臨床が出来て、古典も読めて、中国語が堪能な若い中医翻訳家は、私が知る限り今の日本には存在しないからだ。これまででも、そういう翻訳家で該当したのは師匠(淺野周先生)くらいなものだろうと思う。とにかく、これから日本で鍼灸を業として世の中の役に立ちたいと思うならば、最低限、現代中医の針灸書くらいは読めるようにしておいた方が良い。

 

そもそも北京日記は、私の師匠以外に本場中国のそういう店を実際に知っている鍼灸師が日本にいないことを危惧したのがキッカケだ。で、師匠の北京行きに同行して、師匠が留学時代に集めた北京の有用な情報を可能な限り記録として残し、公開すべきだろう、と思いついた。とにかく師匠と北京へ行く機会に恵まれて、本当に幸運だったと思う。

 

东直门の北京中研太和药店や、人民卫生出版社の东单医药书店、王府井书店などは、鍼灸師として最低限知っておくべき重要な店だと思う。おそらく日本の鍼灸師でこれらの店を初めて開拓したのは、師匠くらいだろう。人民卫生出版社は中医の分野では中国で最も権威のある出版社で、多くの良書を出版し続けている会社だけれども、日本の鍼灸業界ではほとんど知られていないらしい。

 

まぁ、あんな日記は、もう6回も書けば十分だろうから、6回目を書き終えたら、ウェブサイトのコンテンツ関係を触るのは一旦止めにして、勉強がてら針灸関係の翻訳に時間を割かねばならぬと思っている。昨年くらいに、人民衛生出版社から出版された某シリーズ本は、薄い本だが中々良い。热敏灸疗法、靳三针刺法、刃针疗法 など12種の実用的な针灸技术方法をそれぞれ1冊ずつにまとめていて、価格は1冊25元(約500円)とお買い得である。残念ながら500円で買えて、実際に臨床で役立つ針灸関係の本が日本で売っているかと聞かれても、思い浮かばない。

 

そういえば20年ほど前に、当時手相の大家だった門脇尚平先生に、下北沢の自宅で鑑定していただいたことがあった。先生は「手相の世界では、本は書けても実際に観れる人はほとんどいないでしょ。私は書けるし観るのも巧い」と言った。確かに中医の世界でも似たような状況みたいだが、日本では書けぬし治せぬ鍼灸師が多すぎるように思えてならぬ。

 

門脇先生に手相を観てもらった時、私は確か20歳くらいで、生産性も将来性も微塵もないようなクズみたいな人間だった。鑑定時間は約30分で、奥様が出した柿の葉茶を飲みながら、部屋の片隅に置かれた西式健康法の器具について話したりしたが、20分くらいは先生の自慢話を聞かされたように思う。先生は手相の鑑定にも関わらず、何故か手相についてはあまり詳しく語らなかった。しかし、「君は将来、多くの人の面倒をみることになるよ」と断言したことは、どうやら当たっていたらしい。