楮蒸し | ア-ルの写真記

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四国の山間(主に石鎚山系)で「人と自然」をテーマに
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楮やミツマタの木が和紙の原料になるというのは知ってるけど、刈りとられた木がどのような工程を踏み紙になっていくか、蒸してから皮を剥ぐ作業工程は見たことがなかった。和紙の原料となる楮を、蒸したあと皮を剥ぐ作業が、昔ながらの手作業で行われると聞いたので、まずは撮影許可をお願いしに現地を訪ねた。許可をいただき、作業日時や工程、大まかなスケジュールを聞いて帰った。楮蒸し作業工程を写真で見たことはあったけど、実際に作業するところを見るのは初めてで、とても楽しみ。

1.2m程に切り揃えたコウゾの枝をカズラの木で巻いてしっかり縛り束ねる。皮を剥がしやすくするために蒸した後、集まった何人かの住民が1本ずつ丁寧に手で皮をむく作業が始まる。こういった光景は山間の主産業のひとつとして、かつてはいたるところで見ることが出来たが、価格の低迷や高齢過疎の波が押し寄せて、作業を続けているところは年々減っているという。

 

水が入った大きな釜に束ねた楮を立てて置き、甑(こしき)という高さ2メートルほどの木おけを上からかぶせ、2時間半ほどかけて蒸していた。

 

楮の枝は束にして両端をカズラで縛ってある。

 

 

 

蒸し上がると柱に吊した天秤棒で甗(こしき)と呼ぶ木樽を持ち上げるといった具合だ。上げていくと蒸しあがった楮が見えてくるが、楮の上には竹かごにが載っている。まずは竹籠を取り出してから、束ねた楮を取り出す。かごの中は、サツマイモがいっぱい入っていた。タイモも入っていた。楮と一緒に蒸したサツマイモなどは、昼食時や一服の時にみんなで食べるという。サツマイモの味は格別で、楮蒸し作業の楽しみのひとつのようだ。

         芋のはいった竹籠を取り出し中。

 

 

取り出した芋は湯気がたち上がり暖かく、寒い冬の作業にはありがたい。大きなのをひとついただいたが、とても甘くて、しかも柔らかかった。クリーミーな食感でとても美味しかった。

 

 

 

 

 

 

手分けして、一本一本皮をむいていく作業が始まる

 

 

 

 

 

 

剥がした皮、とりあえずは束ねて竿に吊す。

楮から剥がした皮は、茶色い皮がまだ付いている。このままでは白い紙は漉けないので、楮の表皮の茶色い部分を皮はぎ専用の包丁「へぐり包丁」で削って白皮にするという。この作業工程を「へぐり」という。楮の木を育て、切って集め束ねて蒸した後は、皮剥作業。なかなか地道で手間暇が掛かる作業。これだけおおぜいの人たちが集まり作業しても、出来る量はしれているなと思った。和紙の値段が高いのに、納得。