三が日も明けて(伊藤さやか) | 新宿梁山泊BLOG

三が日も明けて(伊藤さやか)

明けましておめでとうございます!
「YEBI大王」で、三女とか亡霊とか兵士とか三男の嫁とかをやらせていただいたり、英語版の舞台字幕をやらせていただいている、伊藤さやかです。



あっという間に三が日も明けてしまいましたが、皆さまはどんなお正月を過ごされましたでしょうか?
私が今年、唯一やったお正月らしいことといえば、これ。



紅白のかまぼこを食べたことくらい?
このかまぼこは、私の悲しい食生活を見かねた事務所社長の奥様が恵んで下さったものです。

3年ほど前にロンドンでお世話になった演出家が、こんなことをを言ってました。
「趣味を仕事にすると、毎日が”ホリデーみたい”になる。
でも、本当のホリデーはなくなる」
だよねえ!!とつくづく思う今日この頃です。

私は物心ついた頃から、どういうわけかお芝居をしたり、歌ったり、踊ったりするのが好きで、私の青春時代はミュージカル一色でした。中でも、「オペラ座の怪人」や「レ・ミゼラブル」みたいなイギリス産のミュージカルに恋してまして、そうなるとやはり、イギリスでそういうの勉強しちゃおうかな、みたいな夢を持つわけです。そして、ずいぶんと実現までに時間がかかりましたが、まあ、なんとか、ロンドンの大学院でミュージカル作りのリサーチも出来ましたし、パフォーマーとしてロンドンとパリの舞台に立つことも出来ました。



ただ、皮肉なことにロンドンで学んだのは、日本人が欧米のミュージカルと同じようなものを作ろうとしても、劣化コピーにしかならないってことです。欧米のミュージカルは欧米人に合うように作られていますから。日本人である私がいくら金髪のカツラかぶって青いカラコンつけて鼻にハイライト塗って「Wow」と言ってみたところで、国際的には悪い冗談にしかなりません😭
じゃあ日本人がミュージカルをやるのは無理かと言うと、決してそんなことはないのです。神楽も能も歌舞伎も、ミュージカルじゃないですか。
いつの頃からか西洋のミュージカルの方が主流になってしまって、日本のミュージカルの作り手までもがアジア人の体やアジア人の感性にあったミュージカルの作り方を忘れているだけなのです。

でも!

もちろん例外もあります。
新宿梁山泊の「YEBI大王」は、日本と韓国の美学に基づいて、アジア人の体の中から生まれる感情やリズムで作られたミュージカルだと、言えるんじゃないでしょうか。



流れるような殺陣はダンス。
めくるめくモノローグはメロディのない歌。

もちろん、メロディのある歌や神秘的な舞もあります。
たとえ、紅白のかまぼこ以外、お正月らしいことができなくても、
「ああ、やっぱり舞台やれるって幸せ!」
と思わせてくれるくらい、「YEBI大王」は面白い作品です。
どうかお見逃しなく!!

 

伊藤さやか