いつの日か購入したもののおそらく一生聴くことはないだろうと思われるCD再発見。

本日はアクロンという作曲家のCDを聴いています。ヴァイオリンを弾く方であれば多少馴染みのある作曲家なのかもしれませんが、自分には馴染みがないです。

 

このCDを買ったきっかけは、カップリングの組曲「ゴーレム」とベルシャザルの劇場音楽の指揮が自分の気に入っている指揮者であるジェラード・シュウォーツだという理由のみ。協奏曲含め3曲とも演奏しているオーケストラがそれぞれ、ベルリン放送、チェコ・フィル、国立カタロニア響と1枚のCDで3つのオケの演奏が楽しめます。

 

アクロン自身もヴァイオリニストでユダヤ系ということなので、CDにもデカデカとMilken Archive American Jewish Musicのマークが。そういう意味での価値があるのでしょう。なので、解説書にもMilken Archiveの宣伝と賛辞が入っています(サイン入り)。協奏曲のソリストはエルマール・オリヴェイラという方でチャイコフスキー国際音楽コンクールのヴァイオリン部門で優勝したことのある奏者とのこと。

 

作曲家の知名度の割には演奏する人々が良いという点で珍しい部類に入るCDですが、肝心の曲はおそらくヴァイオリンにもユダヤにも縁遠い自分には、あまりピンときませんでした。協奏曲というよりは常にヴァイオリンソロが鳴っていて、オーケストラはほんのあいの手をうっているような感じです。おそらく超絶技巧のソロパートなのでしょうが。

 

組曲「ゴーレム」のゴーレムというのはユダヤ教で伝えられる泥人形のこと。5つの楽章に書き直し、全体で15分もいかない曲ですが、どうも響きがと思ったら、編成にはヴァイオリンとヴィオラが含まれておらず、ピッコロ、フルート、オーボエ、コーラングレ、クラリネット、バスクラリネット、ファゴット、コントラファゴット、ホルン2、トランペット3、トロンボーン、チューバ、パーカッション、ハープ、ピアノ、チェロ6、コントラバス6とのこと。なかなか珍しい響きがしておもしろいです。やはり最後は泥だけに石になってしまうわけですね。

 

ベルシャザールの饗宴はたまに耳にする言葉ですが、調べてみると、バビロン捕囚からのユダヤ人の解放のお話のようです。これもユダヤにとっては重要な逸話です。Allegro Energicoとベルシャザルの饗宴の2曲が入っています。なぜこの2つのカテゴリー違いのネーミングなのかは?ですが、Allegro Energicoの後半にきてはじめて静かで美しい世界が訪れる感じです。これはそのあとの神を冒涜する騒々しい饗宴につながっていくものなのですが、饗宴はいさましい冒頭に始まり、ややコミカルな感じで旋律の繰り返しが変容していきます。この終わり方もなんだかな。

 

★★☆☆☆