日経ビジネス2007年10月1日号の特別企画2010年日中逆転という特集は非常に興味深かった。その中で、中国政府の政策ブレーンの一人、フー・アンガン氏のインタビューはさらに興味を引いた。
 彼によれば、「日本人の多くは、中国のGDPが、日本の大体6-7割の経済規模だと見てみます。私に言わせれば、コレはある種の錯覚です。(中略)購買力平価で換算した中国のGDPは1995年には日本を抜き、既に米国につぐ世界第2位になっています。2013-2015年には米国を追い抜く可能性があります。中国の経済学者が目下議論しているのは、いかに米国に追いつくかであって、日本に追いつくとではありません。」
 このコメントは日本人の感情的には認めたくない点かもしれない。しかし、日本が中国に抜かれたか、抜かれないかという点を議論するよりも、むしろ抜かれるのは時間の問題であり、むしろ日本人はこれからどうやって生きていくのか、を議論した方が懸命であろう。
 フー氏が言うように世界の目は日本を通り抜け、その先の中国、インドを見ていることは変え難い事実である。事実をきちんと受け止め、その上で今後世界の政治・経済においてどのような役割を果たしていくかを政策として考えなければ、これから30-50年後の日本は誰も相手にしない国になってしまうかもしれないであろう。