会社の撤退は思いのほか早く片付いた。
悔しさもあったが、変な言い方かもしれないが自分の体が動かなくなったことで、他の人達に対しての心配事が一つ減ったことで、その時は肩の荷が一つ降りたような気もした。
しかしその代償が次には、僕にまわってきた。
会社を閉鎖した後、2~3日たったある
朝、体がまったく動かなくなってしまった
確かにMの話を聞いた時、僕は退院してからそんなに時間が経っておらず
熱も下がらない状態だったし、決して体も調子良く動く状態じゃなかったが、そんな事を言っている場合じゃなかった。
1日目の朝に自分の体が悲鳴を上げているのがわかった。
熱も37.5℃を越していた。
体中にだるさと痛みが襲い掛かり、まるで金縛りにあったかのように動かなくなった。
(やばいな。。。)
入院中にもそんな症状は起きなかったら不安はあった。
が、だるさできちんと物が考えならなったのと、確かに急激に動きすぎたので少し疲れたのだろうと、いつもの癖で1日寝てれば何とかなるだろうという安直な思いでいた。
しかし、その症状は2日経っても3日経っても変わらなかった。
初めて今までに感じた事のない孤独と恐怖が僕を襲った。
その時のベッドは高さがあったので、トイレに行こうと無理やり体を動かすと30㎝以上は軽く落下した。
そして、なんともいえない痛みが僕の体を支配した。
(完全に今までとは何かが違う。)
何も受身を取れないでただ落下するのだから、ただでさえ痛い体にムチを打たれるような激痛が走った。
その時、はじめてトイレに這いつくばって行く事の大変さを身にしみた。
何かをやりたいと思っても何も出来ない
どんなに叫んでも誰も助けには来ない。
(一対、どうなってしまうんだよ。。。)
自分の体がこんなにも何も出来なくなってしまうものなのかという本当の恐怖を始めて感じた。
トイレに行って帰ってくるのも、もの凄く体力を使うし、両足に本当にまったくといって言い程力がはいらない。
どうにか電話をとりT大病院に電話をした所、「今すぐ来てくれ」との事だったので、弟に頼もうと電話をしたが、
「今は仕事中でそれどころじゃない!そんなの勝手に行け!」
と一方的に電話を切られた。
(自分で行けたら、お前に頼みはせんわ! ちきしょう。。。!)
こっちは、めちゃくちゃ辛くて電話でお願いしたのに、はらわたが煮えくり返る思いだった。
(ちきしょう! ちきしょう! ちきしょう...)
( どうしたらいいんだよ )
そのうち1度目の退院の時に、
「うちは自営だから、なんかあったらいつでも飛んで来られるので使ってください」
って言ってくれた後輩のOJの事を思い出した。
彼に電話をかけてT大病院に連れて行ってもらった。
OJにはその後、今でも何かといろいろお世話をしてくれる。
彼の存在がなかったら、今頃どうなっていたかわからないと言っても過言ではない。
T大病院に着くと軽く症状を診られた後、直ぐに再入院の手続きをとらされた。。。
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