市民総合体育館での修行は、今日が年内の最終日。

〝修行〟とは僕の場合、体育館内の清掃のパート仕事のことで、本業のグラフィックデザインの仕事がうまくいかなくなってから幾つかのバイトをしたが、いちばん長く続いている仕事である。

今朝も冷え込んで、車の窓ガラスは氷の結晶で覆われていた。

いよいよ本格的な冬なのだろうか。

車はスタッドレスタイヤにしてあるので、多少の雪が降っても対処出来るが、降らないにこしたことはない。

今朝も名残りの月が、西の空に浮かんでいた。

清掃の仕事を〝修行〟と呼ぶようになったのは、初めて経験する仕事だったから《学ぼう》という気持ちで〝修行〟と称した。

加えて、体育館の利用者に相対することで、人間模様の修行の意味もある。

ほとんどの利用者は「おはようございます」などの挨拶を交わしてくれるし、掃除していると「ご苦労様」と声掛けもしてくれるが、《最低！》と思った利用者もいた。

「お客は神様なんだぞ！」「お前の給料は、俺が払う利用料金なんだからな」などと時代錯誤なことを叫ぶ利用者がいて、流石にまともに対応する気にはなれなかった。

僕とさして年齢が変わらなそうな男性が、居丈高に言う姿はみっともなくて、まさに人間修行だと思った。

この体育館での修行は、多分六年目、七年目？　くらいになるが、様々な人や場面を見てきたし遭遇してきて、勤め始めた頃よりは、自分の感情がコントロール出来てきたように思いながらの今日の散歩、8.3km。

今年もあと数日。

落語の『芝浜』ではないが、拾った財布が夢となるか自分の精進の源となるか、人間模様という名の財布を拾ったつもりで、相変わらずの修行を来年も地道に続けていこう。

自分に「ふぁいと！」と、小さく呟きながら。