こんなこともあるかも 7 | 伽藍堂は開店休業中

伽藍堂は開店休業中

いらっしゃいませ
取扱い商品:ドラッグストアでパートのおばちゃんをやっているばるたんの日記や昔々に書いた小説など
店休日:不定休…となっております

食事を終えて店を出た

何となく気まずい雰囲気が
漂っているような気がする

駐車場で車に乗り込むと
「少し先に景色のいい公園があるんだって
 行ってみようよ」と声をかける

彼女は
「そうですね
 お腹いっぱいですから
 お散歩するのもいいですね」と
乗り気になってくれた

だけど
公園までの短い間
車中は沈黙に支配されることとなった

公園に着いて車を降りると
彼女は大きく背伸びをして
「空気がとても美味しいですね」と
飛びっきりの笑顔を見せてくれた 

俺は黙って彼女の手を握ると
さっき洋食屋の店主に教えてもらった
”絶景ポイント”を目指し歩き始める

彼女は黙って着いてくる

(今繋いでいるこの手から
俺の決意は伝わっていないかい?)
心の中で問いかける

”絶景ポイント”に着くと
彼女は突然走り出した

「こんなにたくさんの紫陽花を見るのは
 生まれて初めてです!」
言葉の端々から彼女の興奮が伝わってくる

紫陽花が好きなのはリサーチ済みだよ

だから
ここなら絶対に喜んでくれると思ったんだ


一株一株吟味しながら紫陽花の間を進む
時折
「これ 持って帰っちゃダメ…だよね」と
残念そうに独り言を言ってるのが聞こえる


結局この日は俺の決意を伝える事なく
なんとも健全な1日を過ごしてしまった



こんなこともあり…なんだろうか?


「明日は絶対に決めてやる!」
風呂の中で自分自身に固く誓った俺であった



【続く】