加藤和彦→テデスキ・トラックス・バンド | なるべく猟奇に走るなWHO'S WHO

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いや、すごい夫婦でございます・・・もともと、デレク・トラックススーザン・テデスキそれぞれが

やってたバンドが合体して出来上がったわけですが、夫婦だからというんじゃなく、そのサウンドの一体感たるや。

ホーンセクションを含む大所帯で、とにかく音が厚い。で、もう今の時代にこれやるか?みたいな王道サザンロック

であります。ちょっと虚を突かれた。奥様もかなり達者ですが、とにかくデレク、ギター上手!スライドギターの名手

でもあり、デュアン・オールマン直系でしょう、これは(実際オールマン・ブラザーズ・バンド

メンバーだったこともあり)。血筋としてもデレクは、ABBのオリジナルメンバーの甥であり、その命名の由来が、

デレク&ドミノスからであった、というのもイカしてますね。余談ですが、デレクはジョン・メイヤー

ジョン・フルシアンテと共に「新三大ギタリスト」なんて言われてたりしてるわけですが、他のふたりに比べると

いまいち華がないんすよねー。ただまあ、旧三大ギタリスト?の皆様のルーツがブルーズであったことを考えると、

ギターマニアの方々は、いろいろとご意見もおありでしょうが、今回のラインナップというのも、まあ妥当ではないか

と思われ(あーフルシアンテはちょっと違うね)。



僕が初めて彼らの音を耳にしたのが、彼らにとって2作目となるライブ盤

2枚組「エヴリバディズ・トーキン」でした。アルバムタイトルは

まさかと思ったけど、ニルソンのあれなんですね。で、それがなんと

オープニングナンバーだったりするんで、驚きました。つかみいいすね。

他にもブルーズ・R&Bの名曲カバー多数で「おおっ、渋いぜ!」と思わず

コブシを握ったりして。即興にも優れた彼らのことなんで、とにかく一曲一曲

が長いんですが、聴き応えあります。スライドギターを弾きたおすデレクも

いいし、ホーン・セクションもカッコいい。ことにスーザンのボーカルは

(歌い方にちょっとケジメがない、というきらいもあるにせよ)ハスキーで

華があるし声量も十二分。ド迫力。声質がシェリル・クロウぽいという

話もありますが、僕としてはホワイト・ブルーズ・レディつながり、ってことで

久々にボニー・レイットを思い出しました。すばらしい!


これがあまりに良かったので、急ぎタワレコへ走り、彼らのデビュー作

(もともとキャリアあるから新人バンドってのがはばかられるんだけどね)

「レヴェレイター」をゲットし、聴いてみたのですが、これがちょっと

意外。基本、レイドバックしたスワンプミュージックって感じなんでしょうが、

一種のルーツ・ミュージック集といった趣でもあり、アレンジはけっこう

凝ってて完成度高いです。悪く言えば方向性が定まらないとも言えますが

決して一本気ではないのがよくわかるデレクのギターといい、バラエティは

豊かで、バンドとして懐が深いってのがよくわかります。なにしろアフリカや

アジアなテイストのものまであるし。ただ僕は、ライブのときみたくガーッと

いうやつをスタジオ盤でも期待してたんでアレだったんですが、非常に

優れたアルバムであることは間違いない。ふたりのバンマスが主導する

というのでなく、いかにもバンドという雰囲気もいいと思います。



そして、待ちに待った、満を持しての最新作(つっても一昨年だなー)の

「メイド・アップ・マインド」は、そのタイトル通りバンドの方向性が

定まったというか、ストレートにサザンロック、というかまさにブルースロック

であり、始めにも書いたように、今の時代にこういうものが作られるので

あるなあ、すげえなあ、としみじみいたしました。一口で言ってしまうと、

真面目な音楽。ちょっと地味?とはいえ、力みがちだったスーザンの

ボーカルが、今回は肩の力も抜けイイ感じだし、いつもは弾きたおしてる

デレクのギターは、よりタイトになり(物足りないというファンも多かろう)、

リラックスして聴けます。それでもなあ・・・一度ライブを観てしまった人間に

とってはなあ・・・というわけで結論として、私はライブ盤がいちばん好きだ。

他の多くのジャムバンドにも言えることではあるのですが、とにかく彼らには

延々と演奏してて欲しい、なんて思います。



さて、彼らがレパートリーにしているカバー曲の中で、一番盛り上がったのが、次のこのひとたちのメドレーです。

2作目の国内盤のみ、ボーナストラックになってて、それだけのために輸入盤の3倍近い金額を払うかどうか、

激しく躊躇いたしました。日本のレコード会社ってヤクザな真似をしますね。糞ですね。

それはさておき、その曲がかかると、いつも私は思わず「♪ウーラカラカラカ ウーラカラ~」と唱和いたします・・・