2009-09-08 14:10:09

銀魂 夢小説 不夜城

テーマ:金魂

このお話は「スナイパー 」の続きになりますが、単品でも読めると思います。金魂の世界観で、女の子は刑事の設定です。





息をするのも辛い中、眠りにつくことを知らない街を彷徨する。


人があふれカラフルなネオンと喧騒に包まれたこの街は、まさに不夜城と呼ぶにふさわしい。


「おい、あんた大丈夫か? 足元フラフラだぜ」


路地裏の壁にもたれ、折れた腕の痛みに耐えかね胃に入っているものを全て吐き出していると、軽い口調で呼びかけられた。


視線だけすばやく送ると、すき放題に伸びた金髪がクルクルと頭の上でうねっている男が、賑わいを見せる歩道からこちらを伺っていた。


派手派手しいパープルのスーツに安物独特の色合いをした、鮮烈な赤色のシャツ。どうみても場末のホスト。


だけど紅い眼が半眼で隠されているものの、刑事としての直感がこの男が相当クセモノであることを知らせている。


「平気です……少し酔いがまわっているもので」


そういいながら自嘲する。


これほどに血の気がなく、青ざめながら酔っただけとの言い訳はかなり苦しいものに思える。


だけどここはかぶき町。うそが真実で真実が真っ赤な偽ものの町。だれも追及してきはしないだろうとたかをくくる。


「ふ……ん。店を探しているなら、この道の二本奥を右に角を曲がった店がおすすめだぜ」


「え?」


左腕を押さえながら肩越しに振り返ると、すでにそのホストの姿はなかった。






「土方さん……めずらしい客がきてますぜぃ」


かなり明るめの金色の髪をした大きな瞳の彼が、意味ありげに私を指し示していた。


暗い店内には華やかな装飾が施され、それをよりいっそうライトが煌びやかにみせていた。


さきほどの紅眼をしたホストが指摘したとおり、私の目指していた店はそこに在った。


どうしてあの男がそれを知っていたかは気になるが、いまにも遠ざかりそうな意識をなんとか手放さないようそれだけで必死だった。


入口近くの壁にもたれ伺っていると、客の接待をしていたらしくソファから立ち上がった見覚えのある顔がこちらを振り向き伺った。


「おまえは……」


一瞬二の句を告げれないでいるその人物が、目を見開いた。


さきほどのホストに負けず劣らずの派手なスーツと、フリルの入ったオフホワイトのシャツ姿。碧眼はカラコン、透けるようなプラチナのブロンドも染めているのだろう。


けれどむけられた眼光は相変らず鋭いものでこちらを射る。


「何でこんなところに」


「土方先輩――先輩の力を貸してください」


駆け寄ってきた先輩にうめくように思いを告げる。


防弾のベストと黒いつなぎ姿の私。そして額から噴出す汗と入り混じった血。それをみて先輩は眉根を寄せた。


「チッ、ひとまず奥へ入れ」


通されたスタッフルームのパイプ椅子に腰掛けるように勧められたが、ドアが閉まると同時に先輩のスーツにしがみつく。


「先輩、スナイパーの河上万斉をどうしても捕らえたいんです! 先輩の力をかしてください」


「おまえ……左腕が折れてんじゃねぇか!」


無理やり三人掛けの皮でできているソファにすわらされ、袖を捲り上げられるとすでに青黒く腫れた左腕があらわになる。


「そんなことより河上万斉をっ!」


「だまってろ」


上着から取り出した箱から煙草を咥え、なれた仕草で火をともし紫煙をくゆらせる。


「手当てが先だ」


先輩が一度言えば覆されることはなきに等しい。それは新人のころから身にしみてよく分かってる。


はやる胸のうちを押さえ、グッと唇を噛んだ。


薬が入っているらしき箱を事務机そばの棚からおろし、注射器をなれた手つきで用意する様子をじっと見つめる。


「鎮痛剤だ、これでだいぶん楽になる」


「どこで……」


「手に入れたかなんて聞くのは野暮だろ、ここをどこだと思っている。世界中のものが手に入る不夜城かぶき町だ」


返事をする前にさっさと注射を打たれ、つなぎのファスナーを腹までおろされる。


中にキャミを着ているとはいえ、その躊躇のないぬがせかたに照れているのは自分だけ。


相変らず女になれている先輩の私生活の片鱗がうかがえる。


そんなことを考えていると先輩は箒の柄を膝で適当な長さに折り、それを添え木代わりに左腕に包帯で巻きつけられた。


土方十四郎。自分の四つ上の先輩で、刑事に必要なことは全てこの先輩から習ったといってもいい。


検挙率は誰も達成したことのない、おそろしいほどの数字をたたき出しエリートコースをひた走っていた。


それなのに、ある日フイと「性にあわねぇ」と、警察を辞めてしまった。


あの時は置いていかれるショックで、署の通路を去りゆく先輩の背に「これは裏切り行為です」と、なんとも自己中な台詞を浴びせたことを思い出す。


その後先輩がホスト家業をはじめたと聞いたときには、心底驚いた。


あまりに先輩とイメージが結びつかなかったからだ。


興味がなかったといえばウソになるが、とにかく拗ねてしまっていたのと、追われる仕事で完全に先輩のことを頭から追い出そうと努めていた。


あれから一年。彼がホストをしていると聞ていた店をはじめて訪ねた。


「めずらしいじゃねぇか、いつも冷静なおまえがそんなに熱くなって」


腕と額の手当てを終え、箱に薬を戻しながら先輩はあたらしい煙草をくゆらせる。


「変わってないですね、ヘビースモーカー」


「そういやおまえにゃ喫煙が体に及ばす害を、とくとくと聞かせられたな。しかも毎日毎日あきもせず」


「それは先輩の体が心配だったからです。当然だといまでも思っています」


鎮痛剤が効いてきたのか、激痛はおさまり汗が引いていくのが分かった。


「おまえの説教が嫌で、オレは警察辞めたんだぜ?」


「わ、私のせいですか」


青ざめソファから身を乗り出せば、瞼を閉じて勢いよく煙を先輩は吐き出す。


「ったく冗談だよ、相変らず硬い脳みそだな。そんなんじゃ部署でも浮いてるんだろ、分析好きの頭でっかちってまだ呼ばれてるのか?」


その通りで反論もできず視線を泳がすと、クックと先輩はのどを鳴らせ「なつかしいな」と目を細める。


「おまえと話してると掛け合い漫才してる気分だ」


「私は……いつも仕事に対して手を抜いていないだけです」


「というより、手の抜き方を知らないだけだろう? どうせそのぶんだとまだ男も作れてないと見たな」


カアッと首筋まで赤くなるのを感じた。


やわらかい感触――先ほどの河上万斉から受けた口付けがありありとよみがえってくる。


「ん?なんだ恋人と呼べる相手ができたか?」


「い、いません! それより先輩にお願いに来ました。私に手を貸してください。 部署じゃだれも……」


「そりゃあ河上万斉相手じゃな。だれも自分の身は可愛いさ、検挙しようとすりゃその日のうちにヤツに狙撃され命を落としかねない」


灰皿に煙草を押し潰しながら肩をすくめる先輩に苛立ちを覚える。


「でも先輩なら――」


「悪いが刑事はとっくに廃業してんだ。よそを当たれ」


話は済んだとばかりに立ち上がる先輩に、いそいで体をおこそうとしたが、足がもつれソファに身を沈めてしまう。


「まだムリすんな、少し横になっとけ。ただし二度とここにはくるなよ」


「先輩……先輩は変わりました」


以前の先輩なら話の途中で、席を立ったりなんかしない。


以前の先輩なら、文句を言いつつも頼ってきた後輩を無下に放り出してしまったりなんかしない。


やはりこの不夜城の空気が人間性をも変えてしまうものなのか。そう考え悔しさに歯を食いしばる。


「フン。それを言うならそっちも変わったぜ? 一年前のおまえなら――私情を絡めて検挙しようとするなんざ、考えられねぇ。ずい分人間ぽくなったんじゃねぇのか?」


口端を上げ部屋の向こうに姿をけす先輩を、渾身の力を込めてにらみつけた。


けれど無常にドアは音を立ててしまってしまう。


「はっ!」


自嘲するかのように声を上げ、ズルズルと身を横たえた。


「私情を絡めて……か」


先輩は相変らず全てを見通している。それがくやしくてうれしくて複雑な気分だった。


あの鋭さ……どこにいようが先輩は先輩だ。一瞬でも疑った自分が恥ずかしい。


曇りガラスの窓にネオンの明かりが幾多も反射しているのを眺めながら、これから身の振り方をジッと考える。


せっかくスナイパーの河上万斉と遭遇できたというのに、取り逃がしてしまった。


まさに千載一遇のチャンスを、自分のつたない銃の腕で取り逃がしてしまったことが悔しくてしょうがなかった。


しかも私を女と見てあのような行為まで……。馬鹿にされるにも程があると手を握り締める。


熱くなってくる目頭を手の甲で拭おうとした時、左腕に巻かれた包帯に何か挟まれているものに気がついた。


「なにこれ――万事屋……晋ちゃん?」


そのメモ用紙の切れ端には、聞き覚えのない名前と住所が書かれている。


「これ――先輩が?」


ほころぶ口元をおさえられずに携帯を取り出し、ネットで名前を検索してみるがヒットする気配はない。時間の無駄のようで立ち上がる。


急いで体をおこせば、左腕に痛みが走る。だけどかまっていられないとつなぎに袖を通し、胸元までファスナーを引き上げた。


ここに行けばなにか解決の糸口が見つかるのかもしれない。


「かならず河上万斉、検挙してみせる!」


そうつぶやき、さらに宵のとばりとともに賑わいを見せる不夜城へと私は飛び出した。



終り

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おねがいしまっす!


椛さん、next頑張ってみましたw でも限界かも~~~~~~(*´Д`*)
いやでも、金魂ワールドって書いててかなり楽しかったです♪

前回の万斉へのコメをくださった皆様、ありがとうございます~~!自信がなかったのでウハウハでした!!( >艸<)





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2009-09-05 12:30:13

銀魂 夢小説 スナイパー

テーマ:金魂

金魂のなかにある万斉がスナイパーのお話。女の子は刑事の設定です( >艸<)






「動かないで!」


廃屋の屋上は風の音が唸り続け、もう隠れる必要はないとばかりに飛び出し彼に近づく。


「やっぱり現れたわね」


ダラリとさげた手にライフルを持ち、フェンスの向こうで振り向きもしない大柄の男の背に銃口を向けゆっくりと歩みを進めた。


一歩……また一歩。いまだ黙したまま不夜城を見下ろす背中に呼びかける。


「……おとなしく捕まりなさい、河上万斉」



河上万斉。それが本名かは分からないが、幻のスナイパーとして現実には存在しないのではないかと言われるほど一流の殺し屋。


今日しのびで訪れている他国の大統領を、万斉に狙撃するよう依頼が入っているいう情報が入った。


それは不確かなもので、課の誰もが信用しなかった。


「この廃屋からはなんの障害もなく、大統領が訪れるホテルまで狙えます」


そう主張してもみな肩をすくめていた。


「いくらなんでもムリだ。神業でもないかぎりこの廃屋から狙撃なんて」


「彼ならやり遂げます! 過去の資料が何よりそれを物語っています!」




結局賛同を得られずに、私は一人行動に出た。


防弾のベストを黒のつなぎの上に着込み廃屋のビルの屋上で張り込んだ。上にばれれば始末書ものだ。


だがその彼が今目の前にいる。ついに彼を追い詰めたのだと体が震えた。


日頃から感情の起伏が少ないといわれている自分でも、信じられないほど気分が高揚し、銃を握る手に汗が滲んだ。


まだ刑事になったころ、彼の資料を見て惹かれている自分に気がついた。


完璧なほどの仕事で彼の痕跡はまるで無い。


その完璧さゆえに彼の仕事だと分かってしまうのだが、気がつけば彼をずっと追っていた。 


彼が請け負うとすればどのような仕事か。


彼ならどのポイントで狙撃を行うか。


彼なら――そういつも考えていた。


「ライフルを捨てなさい」


眼下の不夜城を黙したまま見つめる河上が、クッとのどを鳴らした。


「さぁ?どうしたものか」


その瞬間、風が唸りをいっそう猛らせ漆黒の闇に彼のコートがフワリと浮いた。


フェンス上部に手を着き身軽に体を躍らせる万斉。


視線を奪われた。その隙に目の前に降り立った河上に、あせってトリガーを引こうとしたが銃を蹴り飛ばされ宙に舞う。


舌打ちしながら腰に隠したもうひとつの銃に手を伸ばすが、掴まれた腕をひねり上げられそのままコンクリートの足元に打ち付けられた。


「あぁっ!」


うつぶせのまま万斉に馬乗りにされ、鈍い軋む音と痛みで左腕を折られたことを知る。


「口ばかりでは寿命を縮めるだけでござるよ?」


薄く形のよい唇に冷たい笑みが浮ぶのを痛みに耐え睨みつければ、腰の銃を抜取られた。


カチリと安全装置がはずされる音と共に、こめかみにきつく押し付けられる。


「まったく……ぬしのおかげで標的に逃げられるとは……いかようにされても文句はあるまい」


穏やかな物言いだが明らかに苛立ちが言葉端に溢れ、色のついた眼鏡の奥にある切れ長の目がつり上がっている。


「これでアナタの評価は地に落ちた、あの河上が失敗したと噂が広まればザマないわね」


「子供染みた顕示欲の塊でござる。拙者に己が名前をそれほどに知らしめたいか?」


「だれがアンタなんかに――」


いきなり衝撃を感じ目の前に火花が散った。そして頬の横のコンクリートから硝煙が一筋立ち昇る。


「おもしろい……その自己顕示欲が吉と出るか凶と出るか見てみたくなった」


さすがに額から汗が滴り落ちると河上は、銃から弾を全て抜取り自分の口元に近づける。


何をするつもりだと、背後に体をひねる見つめれば、まるで華に口付けるように河上は銃のグリップにそっと唇を落とした。


「何をっ……」


「拙者の印をつけたのでござる」


さらに覆いかぶさってきた河上に、顎をつかまれると唇同士を押し付けられる。


抵抗しようと体をよじるが、そのガシリとした体に抱きしめられ、少しの抵抗も許されず苦しさに息が上がる。


「河上……」


折れた腕の痛みから冷や汗が頬を伝い、息を切らしながら名前を呼べばやっと離れた唇を耳もとに寄せられ「拙者の事は万斉と」と告げられる。


「またいずれ」


胸元に投げられたカラの銃を受け取る。命はないと覚悟していただけに、ライフルを片手に立ち上がる河上の背を信じられないと見つめた。


「待って……痛っ」


額から流れ落ちる血が目に入り、視界をぼやかせる。


「河上!!」


必死に起き上がるとすでに彼の姿は闇に飲み込まれ、ただ風の唸りだけが耳を震わせる。


彼の体温がまだ体に残っていて胸がジクジクと痛み、小さく吐息を漏らしそのまましばらく動けない。


「河上万斉……」


腕を押さえそうつぶやくのが――やっとだった。



終(のつもりでしたが微妙に不夜城 へ続きました)


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ポチッとお・ね・が・い( ´艸`)


ひっさびさの夢でございまする~~~~~!!

そしてなぜか万斉でございます~~~~~~~~~w

書きながらもっと万斉は色っぽいはずなのにぃぃぃぃ~~!っと、自分の筆力のなさに涙でございます~!


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