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2010-05-28 09:13:01

銀魂夢小説 歩む彼

テーマ:夢小説 坂本

「いつまでそげに膨れとらんと、機嫌ばなおすぜよ」


そう言って語尾に、あははは。と大げさに笑ってみせるのは、もっじゃもじゃの髪をゆらす辰馬。


私はわざと聞こえないふりで、窓の外の景色を凝視する。


船特有の円形窓から見えるのは、漆黒の闇にほの明るく浮かぶ惑星と、遥彼方に見えるいくつもの銀河。


その景色に似合わない畳敷きに床の間まであるしつらえは、ここが宇宙の真っ只中という事を忘れそうだった。


「のう? おまんに土産も買うてきたきにぃ」


猫のように指先で着物の袖を引っ張ってくる辰馬をにらみつける。


「なおさない。ずーっとこうやって膨れてる」


畳に座ったまま辰馬に背を向け、フンと鼻を鳴らせば、にじり寄ってきた大柄な彼に後ろから抱きしめられた。


「かまってほしいうゆて、おまんの背に書いとるぜよ?」


「書いてないし!」


ぎゅううって手加減無く腕に力を込められるから、息苦しさに耐え返答する。


「姿が見えないと思ったら、すぐ地球にいってキャバクラ通いなんて……もう辰馬なんて嫌いだよ!」


「あははははは。すまんのぅ、まっこと辛抱が足りん男で」


「全然反省してない!」


快援隊の中でも頭ひとつぬきんでた身丈に、鍛えられた筋肉をまとう身体。


その腕の中にすっぽりと納められているため、視線のみ肩口に寄せられた彼の瞳へおくる。


そこにはいつもかけている赤味の強い色つき眼鏡ははずされ、ひとえのつりあがった彼の裸眼があらわになっていた。


能天気な笑顔でカモフラージュされているけれど、案外人見知りで交渉などが苦手だったりする辰馬。


それを隠すための眼鏡だと知ったのは、私とふたりきりのときだけ、そのカモフラージュが外されていると気づいたから。


――だから裸眼で見つめられれば、今でもどうしようもなくうれしくなってしまう。


「……お土産ってなによ?」


ぶっきらぼうに尋ねれば、私の機嫌が直ったと確信した辰馬がニカリと笑った。


「おまんの好きな和菓子と、最近うまいちゅうて評判の、ろーるけぇきっちゅうもんも買うてきたんじゃ」


「葛きりは?」


「買うちょる」


「黒蜜も?」


「もちろん飛び切りうまいやつぜよ」


「……じゃあお茶入れるから」


甘い。


やっぱり私は辰馬に甘すぎる。なんて自覚していても結局惚れてるほうが弱いのだ。


お茶を用意するため立ち上がろうとすれば、なおさら辰馬の腕が体にくいこんできてふたたび座り込む。


「辰馬?」


「ちくっと、このままで」


スンと鼻を鳴らせ私の髪に顔をうずめてくる辰馬から、小さなため息が聞き取れた。


「地球へ帰るよりおまんといるほうが、安心できるようになったんは、いつの頃からじゃったかのぅ」

いつも笑顔で全てを隠してしまう辰馬。


懸念、憂い、孤独、過去の悲しみをもすべて、笑い飛ばし誰にも気付かせないまま歩んでいく彼。


以前辰馬と江戸へ行ったとき、彼の友人にこっそり告げられたことがある。


「大漁めざすのもたいがいに、あんまひとりで抱えむなって大将に言っとけ」


辰馬に負けず劣らずのモジャモジャ銀髪さんの口調は、冗談めかしながらも熱が込められていた。


落ちてきちまったらそん時は、また宙へリリースしてやっから。


なんて言っていたその人の、微笑みは辰馬と同じ人種のもの。


きっと彼も抱え込んじゃう人。


だから辰馬の気持ちが分かるんだろうと、そんなことを思い出しながら苦笑をこぼす。


「なんき?」


「銀時さんには会えた?」


「いや。あいつも急がしか男じゃけぇのぅ」


ああ、だから元気がなかったんだと合点した。


おなごは地球産にかぎるなんてふざけたことばかり言って度々地球へと帰る辰馬だけど、やっぱりそれもカモフラージュ。


本当は何物にも変えがたい昔の友人の顔をおがみに行っているのだろう。


「妬いちゃうな」


「なんにぜよ」


「秘密!」


彼の腕をつねれば「うぎゃ」なんて大げさな声が発せられる。


「ひどいのぅ~」


「ねぇ辰馬?」


ようやく解放され彼に向き直った私の呼びかけに、辰馬は首を傾げて見下ろしてきた。


大儀という思想はけして生易しいものではなく、時に自分の身を犠牲にしてそれを遂行しようとする辰馬。


攘夷戦争をともにかいくぐってきた銀時さんほど、私は辰馬を分かってあげられないかもしれない。


だけど。


「好きなだけ漁をしてね」


「ん?」


いまここで力になれるのは、傍にいる私。


いつまでもいじけてるわけにはいかないと、ニッコリ笑って見せる。


「落っこちたら、私がつりあげてあげるから」


キョトンとしたあと、すぐに満面の笑みを浮かべた辰馬に抱きしめられた。





「ああ。おまんがおれば安心して漁を続けられるぜよ」




果てしない宙に、辰馬の大儀が広がっている。


彼は途方もない自由人だから、私も時には迷い、泣きたくなることもあるだろう。


けれどそんな未来を私は……辰馬とともに歩んでいく。




終り


☆*゚:・.*.:。.o。.○:☆*゚・゚*☆・:゚。*::....・。゚o:○☆*゚ ゜

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久しぶりの辰馬。
全てを笑い飛ばし進んでいく彼が好きです。


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2010-01-30 11:50:18

銀魂 夢小説 十年の天秤(後

テーマ:夢小説 坂本

十年の天秤(前 の続きになります。

☆*゚:・.*.:。.o。.○:☆*゚・゚*☆・:゚。*::....・。゚o:○☆*゚ ゜


「よぉ」


店が閉まるすんぜん、銀色の毛玉がふらりとやってきた。


「どうしたの、定春君の料金ならもうバカ毛玉からもらったわよ」


「久々に会っても可愛くねぇな~」


あいかわらずの半眼の眠そうな瞳を向けられる。


いや、十年前はもう少し精悍な目つきをしていた気がするけれど……。


「たしかに久しぶりだけど、抱擁して号泣って間柄じゃないでしょう?」


「なんだ? 抱擁してもらいてぇのか?」


鼻で笑えば「やっぱ、かわいくねー」と、銀時は小指で耳をほじっている。


「愛ちゃん?」


店長が店奥からやはり辰馬のときと同じように、不安そうな様子で覗いている。


「あ、昔の同級生です」


「はっ、同級生ときたか。たしかにおまえ鼻水たらした、小汚ねぇガキだっ――」


これ見よがしに口端で笑う彼の脇に肘鉄を食らわせ、涙目でうずくまる銀時を見下ろす。


「何言いにきたか知らないけど、辰馬ともう会う気ないから」


結局、定春君の世話を済ませた後、上乗せ料金をふんだくって辰馬を店から蹴りだした。


大量の塩をまくというオマケつきで。


「まだあのこと怒ってるのか? ガキ」


「なっ」


座り込んだままの銀時は紅眼をじっと向けてくる。


「昔のこと振り返ったままで、自分に罰を与えるのはやめとけ」


「……それ自分のこと?」


波模様の入った着物の裾をはたきながら銀時は立ち上がって、銀色の毛玉をガリガリかく。


「あんまり可愛くねぇことばっか言ってっと、さすがのあいつにも見捨てられっぞ」


厳しい声音に頭に血が上った。


「だれが辰馬になんか!」


「だれも辰馬とは言ってねぇよ」


「! このドS馬鹿!」


「お~いいねぇ、おまえみたいなドM馬鹿に言われるのが快感ってもんよ」


本当に何でも頭突っ込んでくる、おせっかい。


「ちょっと! 定春くんもう少しまめに爪切ってあげなきゃダメだからね!」


銀時は肩越しに片手を挙げ「あいつは俺のところで今夜飲むそうだ」と、去っていく。


「店長塩下さい! 残ってるぶん全部ぶち撒きますから!」


銀時に聞こえるように大声で怒鳴ってやった。


   *


「辰馬……」


自分のつぶやきで目が覚めた。


闇に沈んだ景色に、ここはと首を傾げる。


松陽先生の塾で過ごした幸せな夢をみていたが、いまが攘夷戦争の真っ只中だと思い出す。


辺り伺えば見覚えのある様子にどうやら陣営に使っている、古寺の部屋に寝かされているらしい。


陣営といっても戦争で傷つき、疲れ果てたものが集う場所に成り果ててはいたが……。


ほんの少し指先を動かそうとしたとたん、全身に痛みがはしった。


そして焼かれるような痛みを腹に感じ、思わずうめき声が漏れる。


「愛。気がついたか」


「辰馬?」


自分の腹のあたりをそっと触れば、幾重にも包帯が巻かれていた。


「……陣営につれて帰ってくれたの?」


耳も聞こえにくいが、さきほどよりは枕そばに座す辰馬の声がなんとか判別でき、とりあえず命はつながったんだと深く息を吐いた。


「晋助は? 状況の説明を受けないと。ここは大丈夫? 撤退命令が出てるなら、私にかまわず……」


「愛」


低音の声で辰馬が囁く。そんな風に名前を呼ばれたことなんかなくて、急に心臓が跳ねた。


返事が出来ないまま辰馬を見つめれば、闇が濃くなってきた部屋では彼の表情がよく見えない。


良かったと思うのは、おそらく自分の表情も辰馬には分からないだろうと思ったからだ。


じゃなきゃきっと首筋まで赤らめてる自分に、気づかれてしまうだろう。


「愛、わしと……」


考えるより先に口を開く辰馬にしては、ゆっくり思案するように言葉をつむぎはじめる。


まさかお嫁さんになんて言われたら、どうしようなんてことが頭をよぎった。


まって、まだ心の準備が……!


「わしと宇宙ば行かんかのぅ?」


「………………は?」


あまりの唐突さに、半身を起こそうとし、腹の痛みに思わず悲痛な声が漏れる。


「いたたたたた」


「無理ばせんことぜよ!」


「だっていきなりなんだもん、宇宙って……それネタ?」


だけど辰馬は重苦しく口を閉じ、頭を左右に振った。


宇宙へ行く? この国を捨て、いま戦ってる天人たちがやってきた場所へ?


「わしはこれからの時代、経済っちゅうもんが発展の鍵になる思うちょるぜよ」


辰馬は何を考えているの?


いったいどれだけの仲間が死んで行ったと思ってるの?


松陽先生だって天人に殺されたんだよ、それとも門下生じゃない辰馬にはそんなこと関係ないの?


「宇宙は広いきっと収穫も大きいはずじゃ、愛もいっしょに天秤棒かついで商売ばする――」


仲間のかたきをとりたくないの? 


「だめ……。行けない」


ピシャリ言い放つと、辰馬は一瞬ひるんだ。


「私はまだ戦う。辰馬みたいに逃げ出したくない」


「わしは逃げ出すんじゃのぅて……」


「逃げ出すことと一緒だよ」


腹の傷がズクズク痛む。


「愛! ちゃんとわしの話ば聞いてくれんか」


「ごめん、いまは休ませて」


まだ話しかけてくる辰馬を制するため、私は目を閉じた。


そして。


翌朝、辰馬は陣営から姿を消した。


置いていかれた喪失感。裏切りと取れるほどの行為への憎しみ。


「辰馬は戦が怖くなったんだよ」


包帯の上から傷をさすりつぶやけば、辰馬と同じ毛玉の頭をかきながら銀時は肩をすくめていた。


きっと銀時は違うといいたかったのだろうが、私には受けいられないことだった。


あの日から私は辰馬のことを、いまだに許せていない。


   *




「お疲れ様でした」


店の明かりを落とし、スタッフルームにあるロッカーから着替えを取り出した。


肌寒さを感じながらシャツを脱いでいると、そばのデスクでパソコンに向かっていた店長が顔をあげる。


「愛ちゃんって、お腹に大きな傷があるわよね、それどうしたの?」


けして悪い人ではないけれど、なんでも知りたがる癖には少し参ってしまう。


「交通事故にあったことがあるんです」


こうやって私はウソを重ねて生きていく。


攘夷戦争に参加したことも、爆撃の傷跡も、仲間の死も。誰かを想う気持ちもすべてなかったことにして、私は生きていく。


これでいいんだって自分に言い聞かせながら。


店を出れば吐き出す白い息が風に流される。鼻の奥が痛かったのは刺すような冷たい空気のせい?


あの時も風が吹いていた。


辰馬がいなくなった日、強い風の中私は空を見あげ続けた。


庭先で野良犬が寂しそうに座り込んでいた。


茶色の毛玉みたいな犬で、辰馬が可愛がってた犬だ。


雲が速い流れで消えていったようすを、布団のなかから眺めていた自分は、己の存在の小ささに涙したこことを思い出す。


犬もそのうち姿を消し、散々さがしたけど見つからなかった。辰馬のように。


「あれ?」


ポタリと涙をこぼれた。


「なんで」


久しぶりに会った辰馬は元気そうだった。あの頃とまるで変わっていなかった。


変わったのは私のほうだ。ウソばかりで過去と向き合うことを恐れ続けている。


そう認めてしまえば涙が止まらなくなり、行き交う人の視線が向けられる。


だけどかまわなかった。


あのとき辰馬についていけば、私の人生は変わっていただろうか、なんて幾度も考えた。


きっと変わっていただろう。すくなくとももう少し、かわいげのある女になっていたきがする。


「ふっ……ふぇ……辰馬ぁ」


なさけない声まであふれ出てきた。


「呼んだかのぅ」


唐突に頭に大きな手のひらを感じて、嗚咽を飲み込んだ。


「へ? な、なんで辰馬が」


「ちくっと宇宙ばもどらにゃいかんようになってな。愛にもういっかい会っとこうと思ったんじゃが」


目の前にいたのはこの寒い中素足にはいたゲタの先でガリガリと路上を蹴る辰馬。


辰馬は、私が泣いてることに少し戸惑っているようだった。


「行くの? 宇宙」


「ああ」


変わらない笑顔が向けられるが、やはり十年前とは違う。


ずい分大人っぽくなった表情だ。おたがいそれなりに歳をかさねたんだと、さびしい気持ちになった。


こうして私はまた十年後、同じような気持ちを辰馬に抱くのだろうか?


そんな未来は……哀しすぎると、ギュっと両手を握り合わせた。


「どうしたがか? 黙りこんで。腹でも壊したんかいのぅ」


そんなわけあるか!


「――……辰馬……また来て。それまでには少しは素直になってるから」


私にとってはかなり勇気のいるひとことだった。なのに辰馬は大きくない目を見開いたかと思うと、大口を開け笑い出した。


「愛はそのままでよかよ。そのままのおまんに惚れとるんじゃき」


「どうせ他の子にも言ってるんでしょ」


どうしても憎まれ口しかたたけなくて、自分が情けなくて視線をそらしてしまう。


「わしは照れ屋さんじゃき」


「ひゃあ?」


気がつけば辰馬に抱きしめられていた。


路上の、しかも店の前。どんなにもがいても辰馬の力にはまるであがなえない。


「くやしい、腕が鈍った」


昔の私なら跳ね飛ばすか、背負い投げくらいしてやれたはずだ。


「あっはっは。戦う必要がなかったちゅうことじゃ。戦争は終わったんぜよ」


「――私……十年前に辰馬からそう言ってほしかった」


戦争は終わったのだと。


もう戦い仲間を失わなくてもいいのだと。


「そうすれば私はこんなに引きずるようなことなかった。なのに辰馬一人で行っちゃうんだもん、ひどいよ」


上ずる声をとめられなくて、八つ当たりだと分かっていても辰馬に思いをぶつける。


「どうして今頃会いに来るのよ、忘れさせてよ」


「忘れんでほしか。愛には一生覚えて生きてほしいきに。わしのことも死んだ仲間たちのことも」


昼間かけてあった色つきの眼鏡ははずされ、ひとえで切れ長の瞳が私を見下ろしていた。


自分に罰を与えるのはやめとけと言った銀時。


一生覚えて生きてほしいと言う辰馬。


「私……生きてていいのかな。生き残っちゃって皆怨んでないかな」


「あんまり情けないこというとると、わしでも怒るぜよ?」


辰馬を涙目で見つめれば、彼の顔が寄せられる。唇が触れる――その直前。


「本当に勝手!」


「おわわわわわわ?!」


辰馬の胸倉をつかみ、半身をひねって投げ飛ばした。


「痛いぜよ~! なにするがかぁ~」


手をはたき、背中から路上に倒れたなさけない辰馬を見下ろしてやった。


「忘れないでいてあげるから、宇宙飛び回っておいで。それが辰馬らしいよ」


言えた。


やっと言えた。この台詞を言えるまでに十年もかかったのだと思うと、なんだかばかばかしくなった。


「なに笑っとるんじゃ、人を投げ飛ばしておいて?」


「あははは、ゴメンゴメン。やっぱあのころの私は青かったんだなって」


辰馬の考えが理解できなかった。そして理解しようとも思わなかった幼き日の自分。


「私は一緒に宇宙には行かないけど、ちゃんと辰馬のことみててあげる」


「こげにおまんが好きちゅうとるに、なんで一緒にこれんがか?」


だって宇宙ではトリマーの仕事できないでしょ? と、問えば辰馬は犬に負けたと肩を落としていた。


「愛らしぜよ」


「きゃっ! 辰……」


まだ座ったままの辰馬に手をさしだし引き上げようとしたが、反対に抱き寄せられた。


そして顎をつかまれ唇を重ね合わせられる。


路上の突然のバカップルに周囲の人が引いているに違いない。もしかしたら店長だって見てるかもしれない!


だけど――。


私は反抗するでもなく、辰馬の腕におさまり甘い口付けを受け入れた。


   *


十年前に失ったもの。この十年で手に入れたもの。


天秤にかけられるわけではないけれど、もし量ることができたとしても、それは同じ重さのような気がした。


そしてこれからの十年。


私は辰馬と何を得ることができるのだろうか?


だけど天秤で量るには、大きすぎる十年になるのかもしれない。




終り


☆*゚:・.*.:。.o。.○:☆*゚・゚*☆・:゚。*::....・。゚o:○☆*゚ ゜

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はう~~~長~いお話しにお付き合いくださり、ありがとうございます!

辰馬に振り回されるのはいつものことですが、たまには辰馬を振り回してみたいなぁと思ったのにこの結果。

辰馬を振り回す女の子が、私には書けそうにもないと痛感したのでございました。

やっぱ自由人な彼でしたw

ぁぃさん! こんなんですがもらってくださいませ!





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2010-01-29 10:40:44

銀魂 夢小説 十年の天秤(前

テーマ:夢小説 坂本

私が以前からストーカーしていた、辰馬スキーの、ぁぃさん。
このたびご縁をいただき、うちの辰馬を贈らせていただきます( ´艸`)
女の子の名前は「愛ちゃん」です。


☆*゚:・.*.:。.o。.○:☆*゚・゚*☆・:゚。*::....・。゚o:○☆*゚ ゜



十年前に失ったもの。この十年で手に入れたもの。


天秤にかけられるわけではないけれど、もし量ることができたとしたらそれはどちらが重いのか。


そんなことを最近よく思う。


   *


「愛ちゃん!」


シャンプーを終えた仔犬にドライヤーをあてていると、店長の悲鳴に近い声で名を呼ばれた。


「はい?」


お客さまかと振り返れば、ガラスの扉の向こうに白い毛玉が見えた。


「ひぃ!?」


驚いたのはその大きさ。


大人の身丈より大きな巨体がガラスの向こうに張り付いている。


「な、なんなのおぉぉぉぉぉ!?」


青ざめ叫ぶと馬鹿っぽい笑い声が聞こえてきた。


「あっはっはっは! やっぱここにおったがや!」


白い毛玉に埋まっていた茶色い毛玉が、ぴょこんと下から現れた。


赤味のサングラスを押上げながら、大口あげた男が立ち上がる。その姿には見覚えがあった。


「……もしかして……辰馬?」


おそるおそる彼の名を呼んだ。


   *


私はペットショップでトリマーとして働いている。


店のかわいい子たちを世話するのが私の仕事。


毛や爪を整えシャンプーでしっかり洗い上げる。


動物全般だいすきだけど、中でも一番好きなのは犬。


かしこいし、懐っこいし、尻尾をふりふりしながら真ん丸おめめで寄って来て、短い脚をばたつかせておねだりされたら……思い切り抱きしめたくなる。


そりゃあ気性の荒い子には噛み付かれて、全治三四週間の傷を手に残されることもあるけどやっぱり犬が好き。


「金時にここにおまんがおるっちゅう聞いてのぅ。懐かしくて会いにきたぜよ」


突然の訪問者は、ニシシと両口端をあげて笑う。十年前とその笑顔はまるで変わっていなかった。


「愛は昔から犬ば好いとったからのぅ、天職じゃ」


「……で、何しにきたの?」


ガラス扉を開け放ち、仁王立ちで辰馬の前でかまえた。


「お? おお、この定春の手入ればしてもらおうとおもったんじゃ。金時の犬じゃがあいつはいつもおけらじゃきぃの」


「銀時でしょ。ふ~んこの大きな子、銀時の犬なの」


たしかに何か飼ってるって言ってたことを思い出す。まさかこんな大柄な犬だとは思わなかったけれど。


にしても銀時も余計なことを辰馬にしゃべるなと、舌打ちしたい気分だった。


大柄な辰馬にのしかかる真っ白な犬を見あげた。麿眉のしたに黒目がちの瞳が瞬きながら私を見ている。


「かわいい子ね、綺麗になろっか」


「アン!」


一歩近寄ったとたん、あたりが真っ暗になった。


突然の夜の訪問にわけが分からずにいると、店長の悲鳴が聞こえてきた。


「きゃああ! 愛ちゃん~~~~~~!?」


「あっはっは、定春~愛は食い物じゃないきにぃ」


自分の頭まるごと白い犬に噛み付かれたと、気がつくのにしばらくかかっていた。


    *


「大丈夫がか?」


控え室のソファに横たわり、覗きこんできた辰馬をにらみつける。


「いつこっちに帰ってきたの?」


濡れタオルで額の傷を押さえながら聞くと、辰馬は今朝という。


「金時とひさびさに飲もう思うたが、あいつはすでに二日酔いじゃった」


「相変らずダメダメ毛玉コンビね」


「お~! それじゃ! 愛には、ようそう言われちょったな。毛玉じゃなきゃもっともてとったとか、まっことひどい言い草ぜよ」


嫌味と気づいていないのか、辰馬は膝をポンと叩き大声で笑った。


そういう鈍感なところに、よく晋助が切れていたっけ。


「やっぱり変わってないね、辰馬は」


高い鼻にのっかた、色つきの眼鏡をおしあげる辰馬を見つめた。


あのころは着物に括り袴姿でいまの洋装とは違うけど、抜けるような笑い声と笑顔は変わらない。


「たかが十年で変わるわけなか! いまでもおまえに惚れちょるきに!」


「あーはいはい、そうですか」


攘夷戦争時代、私は彼らと行動をともにしていた。


女だてらにと言われたが、この国の未来を憂いじっとしていられなかったから。


いまでは伝説にまでなっている、白夜叉とよばれた銀時。


狂乱の貴公子として整った顔から、天然オオボケをかますヅラ。


鬼兵隊をひきいて、ゆるぎない信念で突き進んだ晋助。


そして……いつも笑っていた辰馬。


たかが十年と辰馬は言った。だけどたった十年前なのに、世界はずいぶん変わってしまった。


「さて……と」


濡れタオルをテーブルにおいて立ち上がると、しゃがんでいた辰馬が私を見上げる。


「もう少し横になったほうがええんじゃなか?」


「平気だよ。それより定春だっけ? しっかり洗い上げてあげるからね」


「おうおう。そうじゃ今夜はぱーっとやらんか? 金時もヅラも呼んで……」


「むり。仕事があるから」


そう言い残し、不平の声を上げる辰馬を置いてドアの向こうに姿を隠した。


「愛ちゃん、大丈夫なの? あの人不審者じゃないの?」


店長が心配そうな様子で廊下にたっていた。


まさか攘夷戦争に参加していたときの仲間ですとは言えず、首を横に振った。


「昔の知りあいです。ご心配かけてすみません、すぐに帰りますから」


「お金たかりにきたのなら、私がちゃんと言ってあげるからね!?」


辰馬が年商、億単位を稼ぎ出す快援隊の頭(かしら)だなんて店長には想像がつかないだろう。


「大丈夫、懐かしくて寄っただけですから」と当たり障りなく答えておいた。


そう懐かしかっただけだ。


惚れてるなんて簡単に口にするぐらいだから本気なわけがない。だってあれから十年もたっている。


別に深い意味は無いはず。口の中でつぶやき、自分に言い聞かせるようにうなずいた。


   *


十年前この国は滅びの危機にあった。


突然来襲した天人。その力に屈した幕府。


国を護らんとしたのは侍といわれる人々。


そしてその侍たちの行く末を待っていたのは、煙る大地で屍と成り果てること。


もう仲間が幾人死んだかなんて、見当がつかない。


気のいい奴も、年端もいかない子も、大切な家族を残し次々と散っていった。


そして私も――いよいよ最期を迎えようとしていた。


気がつけば戦場で一人残され、天人に囲まれていた。


我ながらよく斬ったとは思う。


だけどこぼれた刃の刀を握りさすがにもう動けないと、膝を地に付け覚悟を決めた。


「愛っ!」


「辰馬……? 来ちゃだめ!」


そこへ現れたのは辰馬だった。


大柄でありながら風のように舞い疾走する彼は私にむかって叫ぶ。


「惚れちょるおなごをば、ほっとくほどわしゃぁ大人じゃないぜよ!」


刀を自由自在にあやつり、私を囲んでいた天人をなぎ倒す辰馬の姿は誰よりも頼りに見えた。


「惚れちょる、惚れちょるって、皆に言ってるじゃないのよ! このあいだは飯炊きの婆様にまで!」


私もなんとか立ち上がり、長刀を振り下ろしてきた猿似の天人を払いのけた。


「そうじゃったかのぅ」


少し息の乱れてきた辰馬と背を合わせた。一体ここへ来る間にどれだけの危険を冒したのか。


辰馬はこの戦争で知り合った仲間だ。


松陽先生の元でともに学んだ銀時たちとは違うけれど、いつしか昔からの知り合いのようになじんでいた。


きっとその天真爛漫な明るさゆえだろうけど、するりと人の心に入り込んでしまう。


そしてその心をつかんで離さない力があるやつだった。


きっと撤退命令をだした晋助の目を盗んで来てくれたのだろう。


「誰にでも言う奴は信用できないよ!」


助けに来てくれてありがとうと、いう事も出来ない私。可愛げないとよく銀時に言われている。


分かってはいるけど自分ではどうにもできないことってある。


だけど辰馬はいっこうに気にしていないようだ。


「わしは恥ずかしがりやさんじゃき。皆に言う惚れちょるは照れ隠しじゃ」


倒しても次々現れる天人を前にしつつも、辰馬はあっはっはと、愉快そうに笑う。


本当に能天気なヤツ! だけど――。


「そんなところが好きだよ」


こっそりとつぶやいた。


「はぁ? いま何て言うたか?」


一瞬。ほんの一瞬辰馬が肩越しに振り返った。


「辰馬!」


突然の砲撃は地をえぐり、私たちは天人もろとも吹きとばされる。鋭い痛みが脳天を突き抜ける。


岩肌に二人して叩きつけられ、私は動けなくなった。


「愛?!」


「辰馬にげて」


鼓膜がやられたのか辰馬の声が聞こえない。


朦朧とする意識の中、見たこともない真剣な表情で覗き込んでくる辰馬。


痛む手を伸ばして彼の頬に手をやった。


茶色の天パが武具からはみ出し頬にかかるのを耳によけてやる。


「毛玉じゃなきゃ、もう少しもてたかもよ?」


「しゃべるな、おまん腹から血が……」


「辰馬の声が聞こえない……もう……」


視界が額からも流れ落ちる血で真っ赤に染まる。感じたことのないほどの寒さに、身を縮ませた。


「いかん! 行ってしもうてはいかんぜよ!」


「こんな血すぐに止まるきに」


「愛っ!」


辰馬の悲痛な叫びが、聞こえないはずの鼓膜にこびりついた。


  
十年の天秤(後 に続きます。


☆*゚:・.*.:。.o。.○:☆*゚・゚*☆・:゚。*::....・。゚o:○☆*゚ ゜

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あまりに長くなったので、前後に分けました。

愛さんすみません、愛情詰め込みすぎました(*´Д`*)

にしてもやっぱり辰馬のストレートさって、書いてて楽しいなぁと思いました。作文( ´艸`)




















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