◆計算式が語る?



構造計算で、必ずお世話になってるのは
日本建築学会などから刊行されてる設計規準や設計指針です。

各構造体ごとに設計基準が整備されています。
鉄筋コンクリート構造だけで10冊以上あります。
鉄骨造でも10冊以上あります。

これらの設計基準には部材を計算する式が載っています。
カンタンな式から一見カンタンに見えない式までいろいろあります。

長く書かれた計算式の代数(アルファベット)表記は
読み手の私たちを時には眠りに誘うがごとく、、、。

私も計算を始めた頃には、この計算式を見るのが
得意ではありませんでした。

しかし、ある時紙に図を描きながら
計算式も書き写してみると、

その計算式が、まるで
『自分は、こういう値を出す為の式で、
ココを変えると大きくなりソコを変えると小さくなる。』

と、しゃべりかけてくるように感じとれたんですね。

計算式は、ただ眺めているだけでなく紙に書いて、
その成り立ちの概要図も写してみると理解が深まります。


 

◆RC梁のせん断力の計算式(1)



上段で設計規準の計算式が語りかけるような感覚と書きました。

でも、具体的にどんなことなのかは
あなたにはピンとこないかもしれないですよね。

そこで、一つの事例を引き出して
計算式を深読みしてみることにします。

ここではRCの長期許容せん断力の計算式を書きます。

RC計算規準2010 P.151の第15条の(15.1)式。

QAL=b×j×α×fs について。

代数(アルファベット)の説明です。
b:梁幅
j:梁の応力中心間距離
(7/8×d)
d:梁の有効せい
α:せん断スパン比の割増係数
fs:コンクリートの長期許容せん断応力度

15.1式を文字で書いてみます。

長期許容せん断力
=梁幅×梁の応力中心間距離
 ×割増係数×コンクリートの長期許容せん断応力度


と書けますね。

それで、許容せん断(耐)力を高めるには

1)梁幅:bを広げる。

2)梁成:Dを上げる。→梁の応力中心間距離:dを増やす。

3)コンクリートの強度:Fcを上げる。
→コンクリートの 長期許容せん断応力度:fsを上げる。

の3つの方法があると解釈できます。


部材断面サイズに制約があるならばコンクリート強度:FcのUPです。

梁成の制限だけならば梁幅:bのUPを行ってみて
それでもダメならFcをUPする。

という二段階の対策が考えられます。

以上が長期のせん断力に対しての対策でした。

次は、短期のせん断力への対策を同じように耐力式を用いて
深読みしてみましょう。


 

◆RC梁のせん断力の計算式(2)




RC計算規準2010 P.152 第15条の(15.5)式。
QAs =b×j×{α×fs+0.5wft(Pw-0.002)}について。

まずは、代数(アルファベット)の説明です。
b:梁幅
j:梁の応力中心間距離
(7/8×d)
d:梁の有効せい
α:せん断スパン比の割増係数
fs:コンクリートの短期許容せん断応力度
wft:せん断補強筋の短期許容引張応力度
Pw:せん断補強筋比

せん断補強筋は、STP:スターラップともいいます。
以降はSTPと書きます。

15.5式を文字で書いてみます。

短期許容せん断力
=梁幅×梁の応力中心間距離
 ×{割増係数×コンクリートの長期許容せん断応力度
 +0.5×STPの短期許容引張応力度×(STP比-0.002)

と書けますね。


長期許容せん断応力では、断面積×許容せん断応力度だけでした。


短期になるとSTPの効果を入れてよいという解釈になります。


それでSTP比=0.002の意味合い。

これは、0.002という数値が
「何を意味してるか?」を知っておく必要があります。


0.002というのは〈0.2%〉です。

なぜ、0.2%と解釈できるのか?。


それは、RC規準15条の(4)項で
〈せん断補強筋比は0.2%以上とする。〉という仕様規定があるからです。


計算した梁が最低量の補強筋比でしたら
短期の許容せん断力も断面積×許容せん断応力度(短期)のみです。


一方でSTPを0.2%以上配筋した時には、
最低量の0.2%を差し引いた追加した補強筋を
許容せん断力に加算してOKということになります。


RCの梁の許容せん断力は
せん断補強筋を長期と短期で考慮できるかが違うわけです。

 

 

この様に計算式を文字で書いてみると理解の仕方が

変わるのではないでしょうか。

 

やはり、「紙に書く」ことは上達への近道かもしれませんね。

それでは、また。

 

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