こんにちは!皆さまいかがお過ごしでしょうか。今回は10月3日に配信開始となる『HEARTSTOPPER ハートストッパー』のシーズン3を前に、これまでのお話を振り返り予習しておきたい方に向けて、これを読むとドラマの感動がちょっと増すかもしれない、そんな情報をお届けしたいと思います。

 

以前に『ハートストッパー』に隠された様々な仕掛け、イースターエッグを紹介した過去記事にて、本ドラマはサウンドトラックも素晴らしい!という話をしました。(イースターエッグについては下のリンクから)

 

 

『ハートストッパー』のサントラは、劇中歌として使われている楽曲のひとつひとつが、ただ単に「いい曲」であるだけじゃなく、それぞれの歌詞がストーリーや登場人物の心情なんかとも絶妙にリンクしてて胸熱なんです!

 

というわけで、今回は『ハートストッパー』に使用されている挿入歌を、さすがに全曲とはいかないのですが、中でも特に印象的に物語を彩っている、また歌詞を理解することでエモさが何倍にもアップする、そんな曲たちをピックアップして、シーズン1とシーズン2に分けて紹介していきます!


表記は「(歌手名)-(曲名)(話数)」となっています。またページの読み込みが遅くなる恐れがあるので、こちらに楽曲の動画は貼りませんが、ぜひ気になる曲があったって方は、YouTube等で(Spotify等の音楽サブスクサービスでもプレイリストが公開されています)聴いてみてくださいね。

 

この記事にはドラマ『ハートストッパー』のシーズン1と2のネタバレが含まれています。必ずドラマを一度以上ご覧になった上で、その後に読んでいただけると嬉しいです。それでは早速、まずはシーズン1からどうぞ!


長文&画像をたくさん貼っているので重くなってたらすみません





Baby Queen - Want Me(1)



まず物語の幕開けを飾るのは、この人の存在なくして『ハートストッパー』のサントラは語れない!というほどに本作への貢献度が高く、ドラマファンの間でも今やお馴染みの人物となっている、イギリスを拠点に活躍する歌手のベイビー・クイーンこと、本名アラベラ・ラサムが歌う『Want Me』です。


I wish I thought that I was pretty so that I could turn you on

(自分を可愛いと思えたら  あなたをその気にさせられるのに)

I had a dream you called me pretty and I told you you were wrong

(夢の中で  あなたに可愛いねって言われた  でも私は  嘘つきって返した)

 

...そんな歌い出しから始まる同曲に綴られているのは、片思いの相手を一途に想う、想うがあまりに若干重めとも言える恋心。そして上記のような自身のルックスを卑下する言い回しの歌詞も特徴的で、それがまるで、このオープニングシーンに映るチャーリーの性格や心情を表しているよう。



ちなみに、ベイビー・クイーンは自身のセクシュアリティーを公にはしていませんが、この曲の歌詞はドラマ『キリング・イヴ』の女優、ジョディー・コマーのことを想って書かれたものであるとベイビー・クイーン本人が明かしています。またジョディー・コマーも恐らく、そのことを周知済みだそう。

 

そんなベイビー・クイーンの楽曲はドラマの他の箇所でも使われていて、同じく第1話で流れる『Dover Beach』、第4話で流れる『Buzzkill』(ボーリングのシーン)と、いずれもキャッチーなポップロックサウンドに、恋愛や友情において若者が抱える不安気鬱な感情を捉えたリリックが並ぶ『ハートストッパー』にピッタリな曲となっているので、ぜひ聴いてみてくださいね。



Peace - Lovesick(1)



I wanna get lovesick

(恋煩いしたい)

I wanna get lovesick with you

(君と恋煩いしたいんだ)


...学校の体育の授業でチャーリーが校庭を颯爽と駆けるシーン。上記の歌詞と重なって、チャーリーを見つめるニックの視線も印象的な同シーンで流れるのが、イギリスのロックバンド、ピースの『Lovesick』という楽曲。こちらも視聴者やファンから人気の一曲となっています。




Wolf Alice - Don't Delete the Kisses(1)



そして第1話のエンディングを飾るのが、イギリスのオルタナティブロックバンド、ウルフ・アリスの『Don't Delete the Kisses』です。日本語にすると「キスを消さないで」とタイトルが付けられた同曲と共に映し出されるのは、チャーリーがニックに「ありがとう」とメッセージを送るシーン。

 

学校でベンに襲われたところをニックに助けてもらい、そのお礼を伝えようとするチャーリーなんですが、どんな文章を送ろうかと悩んで、なかなかメッセージを送れずにいることが伺えます。勢いに任せて告白しちゃいそうにも...



What if it's not meant for me?

Love

(もし  これが運命じゃなかったら?)

 

...そう繰り返して歌われるサビ部分の歌詞も、なんだかチャーリーの心情を表しているよう。その後、チャーリーは悩んだあげく「ありがとう、キスを」というメッセージをニックに送るのですが、この「キスを」という表現もまたチャーリーを悩ませたであろうことが想像できます。



友だち同士でならカジュアルに伝え合える「キスを」という表現。しかしチャーリーとニックは、まだ知り合ってそう経っていない間柄。またゲイ同性の相手から「キス」なんてメッセージが届いたら、ニックは怯んでしまうかな、なんてチャーリーは深く考え込んでしまうんじゃないかとも勝手に推察できますが、チャーリーは結局「キス」と最後に付け足してメッセージを送ります。そう、つまり「キスを消さないで」送るんです!


Me and you were meant to be

(僕と君は  運命だったんだ)

In love

(恋に落ちる運命)


...2回目のサビでは、こんな風に上記の歌詞が変わっているのにも注目!そして「キスを」のメッセージを受け取ったニックは、チャーリーのことを想って車の窓から空を見上げ、軽く微笑みます。このニックのシーンは同曲のアウトロー部分とちょうど重なるのですが、その部分の歌詞がこちら。

 

I see the signs of a lifetime, you till I die

(未来が見えた気がしたんだ  君と死ぬまで一緒にいる未来が)



今度はニックの想いを表した歌詞のようにも聞こえませんか!?さらに同シーンにはかもめのようなアニメーションが登場するんですが、これはシーズンフィナーレのチャーリーとニックのビーチへの小旅行を暗示しているようでもあり、そんなことも頭に入れながら見返してみると、とっても胸が熱くなるシーンとなっています。もう演出がニクい、ニックすぎますぜ!




girl in red - girls(2)


...突然のダジャレ、失礼致しました。気を取り直して第2話に参ります。トランスジェンダーをカミングアウトして女子校へと転校したエル。しかし転校して最初のうちは、なかなか友だちが作れずに不安な日々を過ごします。そんなエルの姿が伺える第2話のシーンで流れるのが、ノルウェーの歌手ガール・イン・レッドこと、マリー・ウルヴェン・リングハイムが歌う『girls』です。



I've been hiding for so long

(ずっと隠れてきた)

These feelings, they're not gone

(でも  この気持ちは消えてなくならない)

Can I tell anyone?

(誰かに打ち明けてもいいのかな?)


Afraid of what they'll say

(みんなに何て言われるのかが怖い)

So I push them away

(だから遠ざけてきた)

I'm acting so strange

(今の私ってスゴく変だよね)


They're so pretty, it hurts

(みんなスゴく可愛くて  ツラい)

I'm not talking 'bout boys, I'm talking 'bout girls

(男の子のことを言ってるんじゃないの  女の子のこと)

They're so pretty with their button-up shirts

(ボタン留めのシャツを着ていて  みんなスゴく可愛い)

 

...そんな歌詞からお察しがつくかな?こちらの曲は自身もクィアであることを公言する彼女が歌ったサフィック・アンセム。同曲のYouTubeの動画のコメント欄を見てみると、この曲を部屋で大音量でかけていたら母親にレズビアンがバレた、なんて投稿をしている人もいるぐらい、コミュニティー内では広く親しみのある曲となっています。この曲のようにクィアなアーティストの楽曲を多く使用しているのも『ハートストッパー』サントラの特徴です。


ちなみに「ボタン留めのシャツ」と歌詞にありますが、英語圏では「レズビアンはチェック柄のネルシャツを着ている」というステレオタイプ的(もしくはシンボル的?)なイメージがあるそう。


左がガール・イン・レッド




beabadoobee - Dance with Me(2)



シリーズ全体を通しても特にファン人気の高いシーンのひとつが、チャーリーとニック、そして愛犬のネリーが、ニックの家の裏庭で戯れる第2話のシーン。雪が降るなか、そこには2人+1匹だけの誰にも邪魔されないロマンチックな世界が広がっていて、幸せな空気を観ている側にもおすそ分けするような、そんな素敵なシーンとなっています。そこで流れるのがイギリスを拠点に活躍する歌手ビーバドゥービーの『Dance with Me』です。



儚げで可愛らしい歌声と深く共感を得るような歌詞から若者の間で絶大な人気を誇り、テイラー・スウィフトのワールドツアーの前座も務めたというビーバドゥービー、本名ベアトリス・イレジェイ・ラウス。またバイセクシュアルを公言するクィアアイコンでもある彼女が歌った同曲の歌詞がこちら。

 

If you wanna dance then

(ダンスがしたいなら)

Dance with me

(私と踊ってよ)

It's pretty fast but

(ちょっと速いけど)

This is what you do at parties, right?

(パーティーって  こんな感じじゃないの?)

And I know it's hard to tell

(伝わりにくいかもしれないけど)

But I think I really like you

(私ね  あなたのこと  すごく好きだよ)



ビーバドゥービーの曲も、ベイビー・クイーンと同じようにドラマの中で複数使われています。第4話のボーリングのシーンで流れる『If You Want To』、そして第7話で流れる『Tired』は、映画館での出来事の後、暗く塞ぎ込んでしまったチャーリーの心情と曲が重なって、より苦しく胸が締め付けられるようなシーンになっています。その歌詞の一部もご紹介。

 

You haven't been good for long

(ずっと長いこと  調子が良くなかったみたいだね)

Is it the sound of your own thoughts

(頭の中で考えがこだまするの?)

That always keeps you up at night?

(それで夜も眠れないの?)

Maybe it's time to say goodbye

(もう  さよならを告げる時なのかも)

'Cause I'm getting pretty tired

(だってなんだか  ちょっと疲れてきちゃった)




Orla Gartland - Why Am I Like This?(2)



チャーリーに対して芽生え始めた気持ちに困惑し、おもむろにパソコンを開くニック。現代のLGBTQ+の若者の自己探求の過程を巧みに描写し、このシーンも深く胸に残るシーンとして多くの視聴者の心をとらえました。ここで流れるのがアイルランドの歌手オーラ・ガートランドの『Why Am I Like This?』。



Why am I like this? Why am I like this?

Why am I like this? Why am I?

(なんで私って  こうなんだろう)

 

...そう繰り返し歌われるフックが、自分は何者なのか、と自身のアイデンティティーに葛藤するニックの心情と重なるようで、涙を誘われます。また、ニックとチャーリーが冗談交じりにお互いに問いかけ合う「Why are we like this?(なんで僕たち、こうなのかな?=僕たちって変だよね」という、これまたシリーズを通しての印象的な台詞を彷彿とさせるようでも。




Ezra Williams - My Own Person(3)



第2話のラストから続く、第3話のオープニングシーン。自身のセクシュアリティーを初めて意識したニックは、同時にLGBTQ+コミュニティーが置かれる困難な現実をインターネット上で知ることとなり、目に涙を浮かべます。



第6話で語られるように、また人は誰しも時にそうであるように、「こうあるべき」とされるイメージに自分を近づけようと、周りから期待される自分を演じようとして、知らず知らずのうちに無理をしていた、そんな自分の姿に気づき始め、自己の在り方や友人関係にも疑問を覚え始めるニック。

 

ハリーなどの友人の前では、チャーリーと一緒の時とは違った振る舞いを見せるニックですが、母親にも指摘されたように、チャーリーの前では「素の自分」でいられる、そして、それがとても心地いいことだとも思うようになります。このシーンで流れるのがエズラ・ウィリアムズの『My Own Person』。



I just feel like some other version of me

(何か別バージョンの自分でいるみたい)


...ニックの物鬱げな表情と重なって、このように歌われる同曲の歌詞は、ノンバイナリーを公言するエズラ・ウィリアムズが、自身のジェンダーアイデンティティーについて、また世間では一般的とされるジェンダー表現(服装、髪形、言葉遣い、しぐさ、行動などによって、人が自分のジェンダーを世間に示す方法。例えば、スカートを穿いて女性らしさを表現する、青い服を着て男性らしさを表現する、といったこと)の在り方に居心地の悪さを感じる、そんな自身の気持ちを綴ったものであると本人が明かしています。




Waterparks - Telephone(3)


ハリーの誕生日パーティーに来たチャーリー。この時パーティー会場で流れているのが、アメリカのロックバンド、ウォーターパークスの『Telephone』です。その歌詞もまたチャーリーとニックの恋心を綴ったよう。


I know we only just met, so why do I feel invested?

(出会ったばかりなのに  なんで僕はこんなにも夢中なんだろう?)

Do you feel it too? Do you feel it too?

(君も同じ気持ちかい?)




Rina Sawayama - LUCID(3)



洋楽好き、特に洋楽ポップス好きという方には、今さら説明する必要もないであろう、あのエルトン・ジョンやレディー・ガガもお墨付きを与えた次世代のポップアイコン、リナ・サワヤマのヒット曲『LUCID』が、これまたハリーの誕生日パーティーのダンスフロアで流れています。


日本の新潟県に生まれイギリスで育ち、パンセクシュアル(男女といったジェンダーの枠組みにとらわれず、またあらゆるジェンダーの人を好きになる)であることを公言していて、LGBTQ+に関する歌詞も楽曲に綴るリナ・サワヤマ。ハリーが彼女の曲をプレイリストに選曲したとは思えないけれど...




CHVRCHES - Clearest Blue(3)


ハリーの誕生日パーティーといえばタラダーシーキスシーンも忘れてはいけません!それを目撃したニックの、なにかひとつの確信を得たような表情も印象的。これもまた多くのファンから愛される同シーンで流れるのは日本でも人気のエレクトロポップバンド、チャーチズの『Clearest Blue』です。


Tell me, tell me you'll meet me

(お願い  私を分かって)

Tell me, tell me you'll keep me

(お願い  私を離さないで)

Tell me, tell me you'll meet me

(お願い  私を分かって)

Will you meet me more than halfway up?

(あなたの方から  もっと歩み寄ってくれないかな?)






Shura - What's It Gonna Be?(4)


そして僕(当ブログ筆者)がシーズン1の挿入歌で、これが流れるシーンも含めて一番に大好きな曲が、シュラこと、アレキサンドラ・ライラ・デントンが歌うアップビートな片思い応援ラブソング『What's It Gonna Be』です!



パーティーで初めてキスをしたチャーリーとニック。しかし、ハリーに呼ばれたニックは、その場を去ってしまいます。ニックに嫌われてしまったと誤解するチャーリーですが、次の日、チャーリーの家を突然訪れたニックが、そこでチャーリーに自分の素直な気持ちを打ち明けます。

 

この曲が流れるのは、ザーザー降りの雨のなか家路につくニックを、チャーリーが「忘れもの」を渡すために走って追いかけるシーン。そしてチャリーはニックと傘の下で三度目のキスを交わします。これも超絶胸キュンシーン!



ちなみに、シュラも自身がレズビアンであることを公言するアーティスト。そんな彼女が歌った同曲のミュージックビデオも、とってもキュートでハッピーでクィアな内容になっているので、ぜひ見てみてほしいです!



Do I tell you I love you or not?

(愛してるって伝えた方がいいのかな?)

'Cause I can't really guess what you want

(だって  あなたがどうしてほしいのか  わからない)

If you let me down, let me down slow

(もし断るなら  優しく言ってね)

 

If you got feelings for me

(私に気持ちがあるなら)

You just gotta speak honestly

(正直に言って)

If you let me down, let me down slow

(でも断るなら  優しく言ってね)


I'm on my own

(私はひとりぼっち)

You're at the beach

(あなたは遠くのビーチにいて)

Hundreds of miles away

(何万キロも離れてる)

I don't wanna be that girl

(そんな風には  なりたくないの)

 

I don't wanna give you up

(あなたを諦めたくない)

I don't wanna let you love somebody else but me

(あなたに  私以外の人を愛してほしくない)

So what's it gonna be?

(これから  どうなるの?)

 

I don't wanna give you up

(あなたを諦めたくない)

I don't wanna make it out like it's no big deal

(大したことないよって感じで  ごまかしたくない)

So what's it gonna be?

(だからあなたは  どうするつもりなの?)




flor - heart(4)


ニックに誘われてラグビー部に入ったチャーリーですが、他の部員についていけずにフラストレーションが溜まる日々を過ごします。それでも、少しでもチームメイトの力になろうと、またニックの足を引っ張らないようにと努力するチャーリー。そんなチャーリーの姿が映し出される第4話のシーンで流れるのが、アメリカのインディーズのシンセロックバンド、フローの『heart』です。ここで注目なのは、この曲の歌い出しの部分。



Call me by name

(名前で僕を呼んで)

 

...そんな風に始まる同曲ですが、この一節を聴いて、もうピンと来たって方もいらっしゃるのでは?さらに、この部分の歌詞とちょうど重なるように、チャーリーを下から見上げるようなアングルで撮られた画面の構図も特徴的であることから、これは近代の名作ゲイ映画『君の名前で僕を呼んで』にオマージュを捧げたシーンであるとファンの間では解釈されています。





Matilda Mann - Paper Mache World(5)


ボーリング場でチャーリーの誕生日を祝った後、ゲームセンターで思い思いに遊ぶ仲間たち。あるクレーンゲームの前でチャーリーとニックは再びキスを交わします。またタオとエルの間にも何やら恋の火花が散り始めた、そんなシーンで流れるのが、マチルダ・マンの『Paper Mache World』という曲です。



Cause I’d find you in any world

(どんな世界に生まれても  あなたを探し出すよ)


...なんてエモい歌詞が歌われる同曲。ちなみに曲のタイトルにあるのはペーパーマシェ(パペルマシェ)=紙で作られた人形ですが、チャーリーたちが通うトゥルハム校の美術室には、チャーリーとニックを模したペーパーマシェが棚に飾られています。よく目を凝らして探してみてくださいね。


さらに作品を何度も見返している海外の目ざといファンが、このゲーセンのシーンで注目したのは、先述のクレーンゲームでニックが取ろうとしていたドーナツのぬいぐるみ。ニックが同じ色のぬいぐるみを2つ同時に狙っていることから、チャーリーとお揃いのぬいぐるみをゲットして、この日の思い出を一緒にシェアしようとしていたのかな?なんて想像したりもできます。



また、この時にはゲットしそこねたぬいぐるみですが、シーズン2ではチャーリーの部屋とニックの部屋に1つづつ置いてあるのが確認できるんですよ。あの後、何度かチャレンジしてゲットできたのかな?


こちらはシーズン2第8話のワンシーン




Sir Babygirl - Flirting with Her(6)



第6話の演奏会のシーン、ホモフォビックなクラスメートに陰口を言われ、その場を飛び出してしまうタラ。そんなタラを呼び戻そうとダーシーも会場を飛び出しますが、ふたりは練習室に閉じ込められてしまいます。そこでタラは、カミングアウト後の正直な胸の内をダーシーに打ち明けることに。


その後タラとダーシーは、ふたりを追いかけてきたチャーリーやニックの助けで練習室を抜け出し、走って無事に演奏会に間に合います。このシーンで流れるのが、アメリカの歌手サー・ベイビーガールの『Flirting with Her』。



She left her name on my lips

(彼女の名前が唇に残ってる)

I don't think I'll ever get over her hips

(あのお尻は  もう忘れられない)

Or ever feel like anything else exists

(他のことも手につかない)

When she texts me "hey"

(彼女が「ヘイ」ってメールしてくると)


...ドラマ内で流れるブリッジ部分の歌詞にはそんな風に綴られ、また「女の子とイチャつく」とタイトルが付けられた同曲を歌うサー・ベイビーガールこと、本名ケルシー・ホーグも、he/sheの代名詞を使うノンバイナリー、またバイセクシュアルであることを公言するアーティストです。




Montaigne - Because I Love You(8)



第8話の運動会(スポーツデイ)、タオに代わって、かけっこに出場したチャーリー。レースの後、チャーリーはベンと対峙することになるのですが、このシーンで流れるのが、モンテーニュの名前で活動するオーストラリアのアーティストで、バイセクシュアルとノンバイナリーであることを公言する、本名ジェシカ・アリッサ・セロが歌う『Because I Love You』です。


My parents feel that

(両親は感じてる)

This is a waste of time

(恋愛なんて時間の無駄だって)

I tell them go away ‘cause

(でも私は  もう出てってよって言う)

Everything is just fine

(すべて順調だから)


My friends all feel that

(友だちは  みんなが感じてる)

I’m different around you

(あなたといる時の私は  まるで別人だって)

I tell them all that they are wrong

(でも私は  みんなは間違ってるよって言う)

Because I love you

(あなたを愛しているから)


My friends all feel that

(友だちは  みんなが感じてる)

I’m carrying us two

(あなたは私のお荷物だって)

I tell them all that they are wrong

(でも私は  みんなは間違ってるよって言う)

Because I love you

(あなたを愛しているから)


...そう綴られる同曲。その聞きようによっては、周りに反対されながらも愛を貫くロミジュリ的なドラマチックなラブソングにも聞こえる歌詞は、一見すると同シーンには不釣り合いであるようにも思えますが、モンテーニュ本人が語ったところによると、この曲は、その当時は自分が幸せだと思っていたものの、後に不幸せだと分かった過去の恋愛、また恋に盲目になるあまり、その関係が有害なものであると気づかなかった過去の自分について歌ったものなんだそう。うん、そう聞くとしっくりきますよね。




Sunflower Bean - Moment In The Sun(8)


ニックはチャーリーを連れてラグビーの試合を途中で抜け出します。学校の廊下で「君と一緒にいたいんだ」と、また素直な気持ちをチャーリーに伝えるニック。それを聞いたチャーリーは「君の言葉を信じるよ」と答え、ふたりは廊下の窓から降りそそぐ明るい太陽の光に照らされて、キスを交わします。



Winter, spring, summer, fall

(冬、春、夏、秋)

A moment is fine, but I wanna feel them all

(ひとときもいいけれど  四季のすべてを感じたい)


...と、好きな人と過ごす、かけがえのないひとときを歌ったサンフラワー・ビーンの『Moment In The Sun』が、ここで流れます。その後、休日にチャーリーとニックは電車に乗って(この電車には原作者のアリス・オズマンも乗ってます)ビーチへと旅に出ます。そこで流れる同曲のサビ部分の歌詞がこちら。


Everything I've dreamed about is coming on

(ずっと夢見ていたものが  手に入りそう)

Trade it for a moment in the sun

(そのすべてを  お日様の下のひとときのために差し出すよ)

All that other noise is just a waste of time

(他のノイズはどれも  ただの時間の浪費)

You're the only music on my mind

(あなただけが  私にとっての音楽)

I don't need money, I don't need to be cool

(お金なんて要らない  クールになれなくたっていい)

I'd trade it for a moment in the sun with you

(すべて  お日様の下のひとときを  あなたと過ごすために差し出すよ)





Chairlift - I Belong In Your Arms(8)


シーズン1の最後を飾るのは、ニューヨークを拠点に活躍するシンセポップデュオ、チェアリフトの『I Belong In Your Arms』。お母さんにバイセクシュアルであることをカミングアウトするニック。優しい言葉と抱擁で受け止めてくれた母親の反応にニックは、ひとつ肩の荷が降りたよう。そこでニックの脳裏には、チャーリーと出会ってから過ごしてきた日々がフラッシュバックします。



ニックとチャーリーの思い出を視聴者も一緒に振り返る、そんな胸熱なラストシーンで流れる『あなたの腕で抱かれたい』との邦題も付けられた同曲のサビ部分の歌詞がこちら。ちなみに、この曲は「日本語バージョン」なるものも公開されています。なんだかとっても可愛い仕上がりになっているので、そちらも気になる方はYouTubeで聴いてみてくださいね。


'Cause the world goes on without us

(私たちの存在に構わず  世界は回ってゆく)

It doesn't matter what we do

(私たちが何をしようと関係なく)

All silhouettes with no regrets

(すべての影に  後悔はなし)

When I'm melting into you

(あなたと溶けて  ひとつになれるなら)

'Cause I belong in your arms

(だって  あなたの腕の中が私の居場所だから)



さて、いかがでしたでしょうか。かなり長文記事になってしまいましたが、ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます。『ハートストッパー』のサントラが素晴らしい!ということを、どうしても叫びたかったので、こんな記事を書いてしまいました。誰かの何かのお役に立てればいいのですが...


まあともかく、ストーリーやキャラクター、また別の記事にて紹介した「イースターエッグ」なんて細かな演出とも合わせて挿入歌BGMにも注目して観てみると、ドラマ『ハートストッパー』が心を動かす作品であることに、その音楽も大きく貢献していることを改めて実感できると思います。


というわけで最後に、シーズン1の挿入歌として使われた楽曲、全34曲をリスト化しました。(すべてこの耳で聞いて確認しました。聞き逃しがあれば教えてください!)また全曲ともYouTubeにMVや音源が上がっているので、印象に残っているシーンで流れていた曲を聴いて、思い出したりしながら楽しんでみてくださいね!シーズン2の記事は少し間が空いてしまうのですが、シーズン3の配信までには公開します。それではまた会いましょう!



第1話『出会い』

Baby Queen - Want Me

Peace - Lovesick

Baby Queen - Dover Beach

Wolf Alice - Don’t Delete the Kisses


第2話『恋心』

Frankie Cosmos - Sappho

girl in red - girls

beabadoobee - Dance With Me

Orla Gartland - Why Am I Like This?


第3話『キス』

Smoothboi Ezra (Ezra Williams) - My Own Person

Waterparks - Telephone

Rina Sawayama - LUCID

HMLTD - Don’t Leave Me (Chapter 1: Despair)

CHVRCHES - Clearest Blue

Maggie Rogers - Alaska (Toby Green Remix)


第4話『秘密』

Shura - What’s It Gonna Be?

flor - heart


第5話『友達』

ella jane - nothing else i could do

Thomas Headon - UrbanAngel1999

beabadoobee - If You Want To

Baby Queen - Buzzkilll

mxmtoon - fever dream

Matilda Mann - Paper Mache World

chloe moriondo - I Want To Be With You


第6話『女の子』

SOAK - Knock Me Off My Feet

Sir Babygirl - Flirting With Her


第7話『いじめ』

Lauran Hibbert - Bang Bang Bang

beabadoobee - Tired

Tomberlin - Any Other Way

Lincoln - Smokey Eyes


第8話『恋人』

Noah and the Whale - Our Window

Montaigne - Because I Love You

Dayglow - Close To You

Sunflower Bean - Moment In The Sun

Chairlift - I Belong In Your Arms (Photek Remix)