ジンは滅多に泣かない。
もらい泣きをして目に涙を溜めている姿はあっても、涙を流しているのってほとんどないんじゃないかなぁ、と思う。
ひとつは2018年MAMAでの受賞スピーチですね。
あの年、辛い一年を過ごし、解散の言葉まで出たことを授賞式のあの華やかなステージで話してくれましたね。
あの涙はどっちだったのだろうか、と時々考えることがあります。
賞を受賞した喜びなのか、辛かった気持ちを思い出してしまったからなのか。
「解散」の二文字があまりに衝撃すぎて色々すっ飛んでしまうのだけれど、あの日、言いたかったのは「辛かったんだ」ってことではなく「もう一度奮い立たせてくれたメンバーへの感謝」だったことはジンの発言を聞けばわかります。
だから、あの涙はメンバーへの愛と感謝の涙だったのかなぁ、って思う。
あの時、わざわざあんな話をしたのはもしかしたらメンバーにもう一度ちゃんと言いたかったのかもしれないし、事務所に言いたかったのかもしれないし、この話を、この今の気持ちを、多くのアミに聞いておいて欲しかったんじゃないかなぁ、って思う。
この場に7人で立っていることの意味を。
あの時、辞めてしまったら今、ここにはいなかったっていう現実の大きさを。
ジンも出演したイヨンジのYouTubeに、SHINeeのキーが出演した時に話していたことで印象的なことがある。
ヨンジが「長くアイドルをしているとどこかでイメージチェンジをしなくちゃいけない時が来てそれに悩むけれど、どう乗り越えたのか?」という質問に対してキーは「あの時、辞めなかったこと」と答えていて。
彼らもあの時、辞めなかった。
そしてその後も辞めなかったし、今回も辞めなかった。
たぶん転機や機会はいくらでもあったと思う。
これからやってくる兵役もひとつの転機であると思う。
いよいよジンが入隊を迎える。
安全面を踏まえて一切非公開で、当日は挨拶することなく訓練所に入る、とお知らせが再々来た。
最後にひと目見たいと思う人はたくさんいるに違いない。
今まで見たことのないジンの短髪姿はセンセーショナルな話題として拡げられるだろうと思う。
私は、黙って行っても全然良かった、と思う。
来ちゃだめだよ、なんて可愛く言ってないで、来たヤツ全員引っ捕らえるで!くらいの勢いがあっても良かったと思うくらいなのに、まさか自ら姿をファンに見せてくれるとは。
しかも当日じゃなくて2日前に。
しかも報道陣にすっぱ抜かれる前にファンが集まるWeverseで。
なんなの?ホントに、ジンって人は。
「思ったより可愛い」じゃないわ。
思った通り可愛いよ、ソクジン。
思った通り可愛くて、思った通りあなたは素敵な人だよ。
心配されたくないんだよね?
とにかく周りの人に気を遣わせたくない人だもんね。
入隊前に髪を切らなきゃいけないこと。
いよいよ入隊が目前に控えていること。
そんな今、ファンがどんな気持ちでいるのか、その心境をよくわかっているんだろうな、って思う。
だから、自分から写真を見せてくれて、自分から面白ネタにして、自分で自分を笑って、そうやって周りの人が負担に思わないように先回りしてる。
ジンっていつも先回りしてるように思うんだよ。
お得意のWWHネタも、イケメンだからなんでも許される的態度も、全部そうなんだよな、って思う。
誰と共演しても、英語が話せなくても、どんなプレッシャーの掛かる場面にしても、ジンがそうやって言えば、みんながフッと笑顔になる。
もう参ったなぁ、ってジンさんには敵わないなぁ、って気が緩むんですよね。
自分よりももっとハンサムが世の中にはたくさんいることなんて全然わかってる。
でもそんなことはわかった上で、それを会話のきっかけとして上手く使ってる。
相手の緊張をほぐすための、相手の気遣いを減らすための手段。
心配されたくないからわざと明るく振る舞う。
心配されると、気遣われると、ジンは申し訳なく思ってしまうのだと思う。
いつだってジンは相手の負担にならないように、と行動しているから。
ファンにウットを残してくれたのも、仕事上のイケメンキャラも。
すでに決まっていた兵役のことを釜山の前には発表しなかったことについても、それを聞いたファンが何か心に抱えたままでは楽しめないのではないか?という心遣いだったはずで。
友達をたくさん持たないことも、アイドルという職業である自分が相手の負担になってしまうのではないか、と思うから。
とても素敵な人だと本当に思う。
あの明るさの中にそれだけの気遣いと思いやりがあるのだから。
でも逆に言えば、それだけ自身が負担に思うことがたくさんあるということにもなるような気がする。
だって「どんなことが負担になるのか」ということが理解できるってことは、その感情を自分も持っているからに他ならないから。
自分が持っていない感情に寄り添うことなんてできない、私なら。
たくさんの負担を抱えて今までBTSとして活動してきたし、プライベートでも完全にそこからは離れることなどできるわけがなく、どれだけの思いをしてきたんだろうなぁ、って思う。
とりわけここ数年のジンにとって長い間負担だったのは、兵役のことを話せなかったことなんじゃないか、って思う。
だって、発表になってからのジンの顔を見ていたら、あんなにもスッキリしていたのだから。
自分のせいなんかじゃないのに話がどんどん大きなものになり、いつしか口にするのも憚れるような話題になってしまったのに、でもあらゆる場面でなんとか聞き出そうとしてくる人たちの欲望の感情を真に受け続けていたジン。
人の欲望を受け続けることはどんなにか負担だったのだと思う。
だから、きっと今はその負担は無くなったはずだ。
体験したことのない訓練に対する不安は当然あるし、戻った後のこともそりゃ考えることだろうと思う。
でもきっと言えなかったあの頃よりもずっと心は晴れているに違いない。
だからあんな笑顔で私たちに安心をくれるのだろうと思う。
私たちファンにとって推しの存在が負担になることなど絶対に無い。
負担になるようなら辞めたらいいからだ。
でも、彼らにとってファンの存在が負担になることは大いにある。
ジンは誰にも負担を掛けたくない人だから。
だからファンにも「絶対にこうして欲しい」とか言わない。
自分はこうだから!っていう主張もしない。
だから私は私たちの存在がジンの負担にならないように願う。
私たちの過度な心配が彼の負担にならないように。
私たちの過度な愛が間違った方向に向かないように。
きっと私たちの間違った行動も彼らは丸ごと抱えてくれてしまうと思うから。
ジンが泣き顔を見せないのはそれが見ているファンの負担になると思うからだと思う。
それはたとえ嬉し涙だとしてもその場の空気を悪くしてしまうからだと考えるから。
ジンがステージ上で泣いたのはMAMAだけじゃない。
あれは確か花様年華の頃コンサートにご両親が来た時のメント。
ジンがまだ学生の頃。
いわゆるママ友との会話の中で、各々息子自慢をしている中、ジンの母は黙って聞いていただけだった、と。
「だから1度でいいから僕のお母さんに息子自慢をさせてあげたかった」と話していましたね。
ジンはきっと自分が自慢できるところなどひとつも持っていないダメな息子だから、お母さんは何も言えず黙っていたのだと思ったのでしょう。
でも私はこの話を聞いた時に思ったんだよ。
ジンのお母さんは張り合って自慢することを敢えて選ばない思慮深い人なんじゃないか、って。
自慢話大会に終わりなんてないから。
張り合えばその場の空気が悪くなる。
誰かに似てるよね。
「さぁ、カーテンコールの時間だ」
なんてカッコイイ台詞を吐いていいのは主役だけだ。
ゲームキャラから引っ張ってきてるのもまたジンらしいし、自分を堂々と主役にできるのもジンらしい。
「今日の主役は僕でしょ?」ってね。
ジンはきっとファンから心配されながら送り出されるよりも、カーテンコールの様に華やかに、盛大に、観ている人たちの満面の笑顔と鳴り止まない拍手の中にいたいのではないかと思う。
カーテンコールは最後に主役が登場する。
よく頑張ったね、と演者同士で労い合いながら会場に目をやれば、そこには思わず立ち上がらずにはいられなかった観客の、歓喜と歓声とで埋め尽くされている。
ジンのチャプター1のカーテンコール。
ジンが愛している弟たちからの労いと終わらないスタンディングオベーションを送るファン。
さぁ、私も立ち上がって笑顔で拍手を送ろう。
私はジンが大好きだ。
この拍手がジンに届くように精いっぱい送りたい。