わたしたちは、この縄文の中期という時代、この八ヶ岳裾野の高原に、日本最高の史前文化が繁栄するどういう理由があったのだろうかと考えながら、幻霊のようなハンの木の森をさまよったのである。

けれど、その風致林もいまはしだいに伐りつくされようとしている。

もうそんな手数のかかって効率の悪い肥料はいらなくなったし、ドングリしかならないミズナラ、クリは戦後繁殖したクリタマバチのために、ほとんど満足な結実もみられなくなってしまった。

クルミも、野生のオニグルミやヒメグルミは商品にはならないのだし、だいいち人々には、そんな堅い殻を割っている暇はもうないのである。