ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを(1969) | 日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

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ザ・テンプターズ 涙のあとに微笑みを
1969年 東宝(製作:東京映画)
監督:内川清一郎 主演:萩原健一、新珠三千代、聖ミカ、須賀不二男、堺正章

タイガースのついでに、テンプターズの映画も書いておく。彼らの唯一の主演映画であり、ショーケンの初出演映画といっていいだろう。当時の子供っぽい彼らはよくわかるのだが、音楽映画としては、あまり堪能できない一作である。まあ、作り手にリズム感がないということだろう。バックグラウンドにある新珠と須賀の恋物語や山岡久乃と名古屋章の復縁の話など、どうでもいい部分でいらない時間を使い、青春映画的なキレがまったくない映画である。ここのところはタイガースとスタッフの違いだったのかもしれない。テンプターズはスパイダースの弟分的な売り出し方をされたということもあるのだろう。その関係で堺正章がでてくるのだが、これも邪魔である。

ショーケンは高校生。明日の文化祭でクラスでものまね大会をする話をしているが、忙しいと母(新珠)の勤めているスーパーにバイトにいく。うるさいお客(横山道代)と喧嘩したりなかなかうまくいかない。その横山のお手伝いの聖はショーケンたちに興味を持つ。そんな日、ショーケンの飼っていた鳩が病気になる。次の日は文化祭。ショーケンは鳩の名医を紹介することとひきかえにモノマネ大会に出る。見事優勝するが、そのせいでライバルに鳩を殺されてしまう。そこにいた聖は神様から不思議な力をもらう。自分の思う通りに事が運ぶ能力だ。心をいためていたショーケンたちがグループサウンズをやろうという話をその魔力でかなえてしまう。そんな中、新珠にスーパーのオーナー(須賀)が求婚。ショーケンはショックで家出する。そんな中、ショーケンは新珠が自分の本当の母親でないことを聴いてしまう。新珠の結婚を許そうと戻るショーケン。鳩を殺した相手に復讐もできて、その結果、聖の魔力も必要なくなる。新珠と須賀の結婚式で歌うテンプターズがいた。

タイガースにくらべ、テンプターズはショーケン以外のメンバーの顔を知っている人は意外に少ないのではないか?そのくらい印象がないメンバーである。ただ、初期からメンバーが作曲などもしていたので、音楽性としてはなかなかのものがあり、そこにショーケンの当時の甘い声がうまくかみあって、タイガースのライバルという感じになったのだと思う。しかし、芝居はショーケンをはじめとしてへたすぎる。

この映画はたぶん、彼らのヒット曲「おかあさん」にインスパイアする形で脚本が作られたのだろうが、どうにもこうにも陳腐なものにできあがってしまったというところ。最初の30分は歌も歌わないし、実に退屈なのも難である。そして、音楽的なものが最初に出てくるのが、文化祭のモノマネ大会。ここでショーケンはピンキーのまねでパンタロンスーツで「恋の季節」を歌う。まあ、無理やりやらされていたのだろうが、今観ても不思議なシーンである。

そして、彼らにまとわりつく聖ミカという女優が魔力で彼らをテンプターズにするのだが、ここも唐突で困ってしまう。聖は後年、ロマンポルノにでていた女優とは違う。しいていえば、小山ルミを少し不細工にして暗くした感じの女の子である。タイガースの久美かおり的にしたかったのだろうが、ショーケンが振り向く感じもなく、なにか邪魔なだけである。

後半は、「エメラルドの伝説」などヒット曲もならべながら音楽映画的にはなっていくが、ワンコーラスもまともにきかせないようなシーンが多く、当時のファンも不満だったと思う。曲をちゃんときかせて、新珠と須賀の恋話などなくしてもいいと思うのだが、当時の作り手は何を考えてこれを撮ったのだろうか?謎である。

ショーケンやテンプターズを伝えるテレビ映像というのはほとんど残っていないので、とにかく貴重なフィルムではあるのだが、とにかく、GS映画の中でも出来の悪い陳腐な作品である。

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