ekiden(2000) | 日本映画ブログー日本映画と時代の大切な記憶のために

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日本映画をひとりの男が見続けます。映画はタイムマシンです。そういう観点も含め多様な映画を解説していきます。範疇は作られた日本映画全てです。

ekiden

2000年 東映(製作:電通、TBS、東映、デスティニー、エンジン・ネットワーク)

監督:浜本正機 主演:伊藤高史、中村俊介、田中麗奈、別所哲也、野波麻帆


もう一本、駅伝映画。こちらは、実業団駅伝である。この映画では、昨日、私が非難した部分が少しは描かれている。走っている、筋肉、汗、疲労が感じられるのは基本である。そして、この映画の後味は悪くない。主人公の伊藤が走り続ける形のラストシーンは好感が持てるし、メンバーそれぞれの思いがそこに描かれているまとめかたは、なかなかうまい。なんとなく、観た後に走りたくさせる映画である。


大学最後の駅伝のシーンから始まる。伊藤と中村はライバルであった。そして、彼らは同じようにマネージャーの田中の事を思っていた。田中は2人に思いがあった。卒業後、中村は華々しく社会人ランナーとしてデビュー。伊藤は、小さい頃から、憧れだった造船会社に。しかし、そこの駅伝部はつぶれ、グランドも切り売りされたひどいものだった。しかし、伊藤は「自分で駅伝しませんか?」とビラを配り歩く。その勢いのままに、集まる10人。見た目は弱そうだが、なんとなくまとまってくる。すべて、伊藤のひたむきさにひきつられてという事だ。最初の市民駅伝の日、おなかをこわす者がでて、試合をあきらめかける。しかし、その尻をたたいたのは応援にきた田中だった。同じ時間に中村も初マラソンをしていた。両方が気になる田中。試合は3位という好結果に。マラソンを優勝した中村は田中の研究室を訪ねていた。不整脈で命にかかわる場合があるという判断。中村は迷う。田中に結婚を申し込む。伊藤の方は関東大会出場で盛り上がるも、会社が合併問題で、1位にならない限り存続は認めないといわれる。メンバーは燃えるが、中村の会社も出るということで必死だった。レースは中村たちが有利に進め、伊藤たちも接戦していた。しかし、ラストにつなぐランナーがけがをし、大きく遅れる。1位になった中村は倒れ、命をおとす。会社を追われた伊藤は、オリンピックめざし、マラソンのスタートラインにたっていた。


関東大会に続く、最後の30分は、実に引き込まれる。最後のみんなの身のふりかたもしゃれていて元気がでる。駅伝のタスキを持って、最後に皆を追い抜いていく伊藤のとらえ方は綺麗だし、こちらも一緒に走っている感が味わえるのは、とても心地よい。


中村が死ぬ前に、ゴールに伊藤の幻影を見る。つまり、中村が伊藤にタスキをつなぎ、伊藤がマラソンに挑戦するというラストなんだが、結局、駅伝のチームワークで伊藤はマラソンを走っているということなのだ。それが、シンプルに示されているのが映画を締めている理由であろう。


昨日の映画同様、言葉にはでないが駅伝は「努力とチームワーク」だということが描かれている。そのために、選手集めのシーンが大事なわけだ。そして、この映画の選手たちは、一番見た目で違う小倉久寛を含め、ロートルばかり、どう考えても強くならんだろうと思わせるが、何か、彼らの渋いやりとりだけで、なんとか映画になっているのは凄い!(セリフの重みは大事だということなのです)


結局は、この映画では目標を達成はできないが、つなぐ気持ちをうまく描いている。アンカーにつなぐランナーが倒れて、時間を過ぎても伊藤はつながれるのを待っている。勝つことよりつなぐことが大事だという伊藤の哲学なのだろう。さわやかすぎる。問題児だった人間がケガをし、何かをつかみ、次の会社でまた駅伝部を作ろうとするシーンがでてくるが、これが、あまりウザく見えないのは、演出のうまさなのだろう。


その主人公の伊藤はクールな中村と全く真逆に描かれ、セリフが思いのほか少ない。態度ですべてひっぱていく難しい役を伊藤はうまく演じている。そう、観客も、駅伝にチームメートとしてひきこまれていく感じなのだ。


田中は、特に重要な役ではないのかもしれない。でも、なよなよしてる男たちに葉っぱをかけるセリフまわしは気持ちいい。すごい繊細な表情をするかと思えば、強さも見せる。存在感のだせる女優さんだと私は思っている。


どちらかといえば、テレビドラマで、さえないわき役をやらせたらウマイ役者さんたちを臭い芝居にならないようにうまく使えている感じは、たぶん、全体の演出のバランス配分がいいからだ。自分の陸上経験も語らない根津甚八にしても、必要不可欠な存在としてうまくおかれている。


この映画、10年前の映画である。これを見ればわかるが、日本は全く10年間、前に進んでいない。ここにでてくるような会社員にはアゲインストが続いている。「努力とチームワーク」そしてつなぐ心がなかったからではないのかと、昨日、今日と感じてしまった・・・。ちょっと、疲れているそこのあなた、是非、観てください。元気でますよ、これ!


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