果糖中毒」(ラスティグ、中里訳、2018年)を再度読みました。


「果糖は、肝臓だけで代謝される。少量ならばアセチルCoAに分解され代謝されるが、ある程度以上あれば中性脂肪に変換されて肝臓に蓄積される」

 

「肝臓に脂肪が蓄積されると、肝臓が不調になりインスリンが効きにくくなる(インスリン抵抗性)」

 

「肝臓に普段の役割を果たさせるために、膵臓がインスリンの分泌量を増やす。これによりインスリンのレベルはさらに高くなり(高インスリン血症)、これが皮下脂肪組織にさらなるエネルギーを蓄えさせる」

 

「肝臓のインスリン抵抗性が悪化して体脂肪が増えると、膵臓はより多くのインスリンを作り出さなければならなくなる。ついには、膵臓のベータ細胞が体の要求に追いつけなくなり、相対的インスリン欠乏に陥る。最終的に、ベータ細胞は働かなくなり、2型糖尿病に突き進む」

 

「ネズミでは、糖分には依存物質のあらゆる基準が当てはまることが判明している」

 

「(砂糖産業は)食べ物にそなわっている潜在的に依存性のある特性の問題を、依存症に苦しめられている個人の問題にすり替えてしまう」


 

(ラスティグ教授の説明は明快です。重要な点だけを分かりやすく説明して下さっています。これまでの私の疑問点が氷解します。お菓子のような加えられた砂糖がダメで果物なら良い理由も分かります。果物には食物繊維があり、果物の果糖はゆっくり吸収されます。わずかずつならアセチルCoAに分解できるのです。また最近「非アルコール性脂肪肝炎NASH」というようなことが言われますが、果糖もアルコールも、肝臓に中性脂肪を作る点でよく似ています。砂糖が肝硬変を作ることがあったとしても、むしろ当然です。肝臓に脂肪が蓄積したら、インスリンが肝細胞に効きにくくなることも理解できます。他の臓器も同時に同様にインスリン抵抗性を獲得するわけでは無いので、高インスリン血症が各臓器に弊害を起こすことが予想されます。また、すでに砂糖の依存症になっている人に、単に「砂糖をやめたらどうですか」とお勧めするだけではあまり効果が無いことも分かります。依存症としての対応が必要です)

 

(糖には毒性があります。糖は、蛋白と結合して蛋白を変性させます(メイラード反応)。ブドウ糖の血中濃度を高めないように、インスリンが即座に反応します。しかし、果糖にはこうした仕組みがありません。果糖の方がメイラード反応を強く起こします。果糖は、肝臓に脂肪を作ります。果糖はどうしてこのようにやっかいなのでしょうか。それは果物を作った植物の思惑であるという意見があります。せっかく果物を作って、自分の種をまいてもらおうとしても、その場で一匹の動物に全部を食べられては大損です。わざと、少量ならば薬になるが大量ならば毒になるようにしているのです。毒は作る方が勝ちです。毒を作る側は、ある毒を一つだけ作れば良いですが、毒を盛られる側はありとあらゆる抗毒素を作らねばなりません。それはできないことです。生物は、「毒対策」はできないのです。山に見える多くの植物を食べることはできません。毒があるからです。動物に食べられるのは嫌なのです。ニコチンもカフェインもモルヒネも植物が作った毒です)