人口の高齢化に伴い、アルツハイマー病の患者数は増加傾向にあるが、以下の議論は、性・年齢をそろえた後での発生率(つまり性年齢調整後の発生率)である。アルツハイマー病の発生率は、世界中で増えているはずであった。なおアルツハイマー病は、認知症の7割ほどを占める。

例えば日本の久山町研究においても、アルツハイマー病の発生率は、1985年から2005年まで、1.1→1.3→2.3→3.8のように増加している
http://www.hisayama.med.kyushu-u.ac.jp/research/disease02.html

しかし英国では、1991年から2015年までに、認知症の発生率は、20%ほど低下している。
https://www.alzheimersresearchuk.org/study-reports-20-drop-in-uk-dementia-incidence-over-two-decades/

米国のフラミンガム研究においても、1970年代後半から2010年代前半に、認知症の発生率は、3.6→2.8→2.2のように減少している。
http://n.neurology.org/content/78/19/1456

またオランダの同様のロッテルダム研究においても、1990年から2000年に、認知症の発生率は0.75倍に減少した。肥満と高血圧の有病率は増加している。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1504327

「世界アルツハイマー病レポート2015年」によれば、アルツハイマー病の発生率は、アジア、アメリカ、アフリカで増えているが、ヨーロッパでは減少している。
https://www.alz.co.uk/research/WorldAlzheimerReport2015-sheet.pdf