「自然選択は、老人を犠牲にして若い人の適応度を高め、老化という現象を進化させてくるだろう」(p207)
「進化的洞察の助けを必要としない医学の専門分野は一つもないだろう、と私は思っている。精神障害、アレルギー、癌、性的機能不全、不妊、不眠症、日焼け、そしてあらゆる種類の中毒や外傷などがそうである」(p252)
「たとえ足の速さは若者に及ばなくても、狩りの成功には年長者の追跡スキルが不可欠なことが分かった」(p163)
「幼年期の成長と生存を助ける遺伝子はどれも、たとえのちに病気を増やすとしても、自然選択で非常に有利なはずだ」(p265)
(3)「砂糖と加齢:糖化との戦い方 Sugar and Aging: How to Fight Glycation」(Long、2012年)を読みました。
http://www.elle.com/beauty/makeup-skin-care/tips/a2471/sugar-aging-how-to-fight-glycation-614621/
「糖化による悪影響について知られていることの多くは、糖尿病の研究によって得られたものである。すなわち、糖尿病による高血糖の持続によって引き起こされる結合組織障害や慢性炎症は、白内障、アルツハイマー病、血管硬化症、膵臓病、肝臓病などの病気を引き起こす」
「喫煙は、皮膚の抗酸化物質を減らす。喫煙者のビタミンCやビタミンEは、喫煙に由来する酸化にほとんど費やされてしまうので、糖化のような通常の過程に対処する抗酸化物質はほとんど残っていない」
(4)「ブドウ糖と加齢 Glucose and Aging」(Cerami、Sci Am. 1987 May;256(5):90-6.)の要旨を読みました。
http://clasfaculty.ucdenver.edu/bstith/glucoseaging.pdf
「体内に豊富にある糖は、かつては生物学的に不活性であると考えられていたが、一部の蛋白質を恒久的に変化させる。これにより、細胞や組織の機能において、加齢に伴う衰えが引き起こされる」
(5)「砂糖の害:皮膚老化における栄養の役割と糖化反応 Sugar Sag: Glycation and Role of Diet in Aging Skin」(Nguyen、Skin Therapy Letter、Number 6, 2015)
http://www.skintherapyletter.com/2015/20.6/1.html
「我々はこの論文において、皮膚老化において、糖化が重要な役割を果たしていることを示す証拠を要約した。また、この糖化反応を減らすことを可能にする栄養上の戦略について、予備的な研究を行った」
(6)「酸化物質、抗酸化物質、加齢による退行性疾患 Oxidants, antioxidants, and the degenerative diseases of aging」(Ames, PNAS, 1993)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC47258/pdf/pnas01474-0015.pdf
「正常の代謝の副産物である酸化物質は、DNAやタンパク質や脂肪に広範な障害を引き起こす。この障害は、放射線による障害と同じである。この障害は、加齢やそれによる退行性疾患であるがんや心臓病や免疫機能低下や白内障の主な原因となっている。この障害から身を守る抗酸化物質には、アスコルべート、トコフェロール、カロテノイドがある。食事の野菜や果物は、アスコルべートとカロテノイドの主要な摂取源であり、トコフェロールの一つの摂取源である」
(7)「炎症と加齢:免疫老化学における進化論的な見方 Inflamm-aging: An Evolutionary Perspective on Immunosenescence」(Franceschiら、Annals of the New York Academy of Sciences、July 2000)
https://www.researchgate.net/profile/Maria_De_Luca2/publication/12407780_Inflamm-aging_An_Evolutionary_Perspective_on_Immunosenescence/links/5758612a08aec913749f046e/Inflamm-aging-An-Evolutionary-Perspective-on-Immunosenescence.pdf
「アテローム性動脈硬化症やアルツハイマー病や骨粗鬆症や糖尿病は、臓器特異的であり、炎症によって発症し、加齢に伴って進行する疾患である。こうした疾患が発症するには、屈強な遺伝子が働かず、脆弱な遺伝子が働くことが必要である」
(8)「がんの原因と予防 The causes and prevention of cancer」(Ames、PNAS、1995)
「疫学的な証拠によれば、喫煙を避け、野菜と果物の消費を増やし、感染をコントロールすれば、がんに罹る割合を大きく減らすことができる。がんを減らすその他の要因として、強い日光照射を避けること、身体的な活動を増やすこと、アルコールの消費を減らすこと、赤身の肉の消費を減らすことなどが挙げられる」
(9)「A Theory of Human Life History Evolution: Diet, Intelligence, and Longevity」(Kaplanら、Evolutionary Anthropology、Volume 9, Issue 4, 2000, Pages 156-185 )(既出です)
http://www.dl.icdst.org/pdfs/files/0f1e02cdd6376291dc1b5d6f1e179f31.pdf
「ヒトの生活史は、他のサルや哺乳類と比較して、少なくとも4つの際立った特徴を有している。それは、寿命が長いこと、依存的な子ども時代が長いこと、生殖期を終えた個体によって生殖活動のサポートが行われること、メスやその子どもへの援助を通じてオスが生殖活動をサポートすることである」
(10)「農業:人類の歴史の中で最悪の失敗 Agriculture: "The Worst Mistake in the History of the Human Race"」(Burrows、Return on Now、May 29, 2016)
http://returntonow.net/2016/05/29/agriculture-worst-mistake-humans-ever-made/
「農業は、次の3つの理由で、ヒトの健康に悪い影響を与えた。
1.穀物やその他のデンプン作物に強く依存するようになった
2.単一の作物の栽培は、収穫失敗や大規模な飢餓を引き起こした
3.人口の集積は、流行病を起こりやすくした」
1.穀物やその他のデンプン作物に強く依存するようになった
2.単一の作物の栽培は、収穫失敗や大規模な飢餓を引き起こした
3.人口の集積は、流行病を起こりやすくした」
(11)「ビタミンD:平衡点を見つけること Vitamin D: Finding a balance」(Harvard Health Blog, Ruiz, July 21, 2017)
https://www.health.harvard.edu/blog/vitamin-d-finding-balance-2017072112070
「十分なビタミンDが無ければ、骨はもろくなり、容易に折れる。ビタミンDは、体の他の組織にも役に立つ。研究によればビタミンDは、高血圧、呼吸器疾患、がん、心臓病、うつ病を減らし、死亡全体の減少に貢献する」
(12)「充分な量のビタミンDを摂りたいですか。それならサプリメントや日光浴を試みて下さい。 Want to get enough vitamin D? Try supplements - or sunshine」(Merz, Harvard Health Blog, August 07, 2015)
https://www.health.harvard.edu/blog/want-to-get-enough-vitamin-d-try-supplements-or-sunshine-201508078174
「英国政府の『栄養に関する科学的な助言を行う委員会』は、以下のように主張しています。『英国における日照は、ビタミンDの供給源としては、あてにならないので、全ての国民は、ビタミンDの10μg(400IU)のサプリメントを毎日服用すべきです』」
(13)「高血糖は、皮膚老化の外観と関係する High serum glucose levels are associated with a higher perceived age」
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs11357-011-9339-9
Leiden長寿研究に参加している被検者の中から602名を選び、うち糖尿病のない被検者569人を血糖値によって3つのグループに分け、糖尿病のある被検者33人を4番目のグループとした。また顔写真から年齢を推定した。性、暦年齢、喫煙習慣、肥満度、インスリンの値などをそろえて比較した。血糖値の一番低いグループは、平均59.6歳と判定された。糖尿病のグループは、平均61.3歳と判定された」
(14)「加齢の進化 The Evolution of Aging」 Fabian
http://www.nature.com/scitable/knowledge/library/the-evolution-of-aging-23651151
「生命体が年を取って死んで行く理由を説明する学説は、2つにまとめられている。1つは、突然変異集積説であり、もう一つは、相反する多面発現遺伝子説である。前者によれば、加齢が進化するのは、年を取ってから発現する有害な突然変異を、自然選択が充分には除去できないからである。後者によれば、加齢は、若年期における増加した適応度のための自然選択の悪い副産物として進化する。後者によれば、一生の早期における良い効果は、遺伝的に、一生の後期における悪い効果と対になっている」