野口悠紀雄教授の文章「『高齢者は働かないほうがトク』という制度は見直すべきだ」を読みました。
以下は、この問題に関して、私がこれまでに読んだ文章(再録)です。以下の(1)~(7)のように、運動(働くこと)により、健康・長寿が可能になります。
(1)世界保健機構World Health Organizationの「加齢と人生Ageing and life-course」(事実ファイル:加齢と健康についての誤解Fact file: Misconceptions on ageing and health)という文書は、次のように述べています。
http://www.who.int/ageing/features/misconceptions/en/
・介護を要する老人は、老人全体のうちの少数である
・人口が高齢化すると医療費が増大する。しかし思ったほどではない
高所得の国では、一人当たりの医療費は70歳ごろより、かなり減る
・お年寄りにかけるお金はコストではなく投資である。
お年寄りは納税する(社会経済に貢献する)
お年寄りは消費する(社会経済に貢献する)
・定年は、若い人の雇用を生み出さない
働く人の生産性を判断するためには、年齢は良い指標ではない
この差別的な制度は廃止されるべきである
・人口が高齢化すると医療費が増大する。しかし思ったほどではない
高所得の国では、一人当たりの医療費は70歳ごろより、かなり減る
・お年寄りにかけるお金はコストではなく投資である。
お年寄りは納税する(社会経済に貢献する)
お年寄りは消費する(社会経済に貢献する)
・定年は、若い人の雇用を生み出さない
働く人の生産性を判断するためには、年齢は良い指標ではない
この差別的な制度は廃止されるべきである
(2)世界保健機構WHOの「加齢と健康についての世界報告書World Report on Ageing and Health」(2015年)は、「人口の高齢化に関して、現在の公衆衛生的な対応は、うまくいっていない」(p18)と述べています。
http://apps.who.int/iris/bitstream/10665/186463/1/9789240694811_eng.pdf
この世界保健機構WHOの文書によれば、お年寄りの寿命は伸びたものの、身体を十分には動かさないお年寄りが多く、栄養不良のお年寄りが多いとのことです。これは、最も富裕な国でも同様であるとのことです。また、お年寄りの自己決定権が尊重されず、お年寄りの学習など、幸福感を高めて生きがいを感じるような活動があまり行われていないとのことです。この文書の中でWHOは、国家レベルで行うべき対策を掲げています。
(3)厚生労働省「健康日本21」の「身体活動・運動」という文書は次のように述べています。
http://www1.mhlw.go.jp/topics/kenko21_11/b2.html
http://www1.mhlw.go.jp/topics/kenko21_11/b2.html
「身体活動量が多い者や、運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いこと、また、身体活動や運動が、メンタルヘルスや生活の質の改善に効果をもたらすことが認められている。更に高齢者においても歩行など日常生活における身体活動が、寝たきりや死亡を減少させる効果のあることが示されている」
「現役を退いた高齢者は、社会的役割が減り自分自身の生きる目標を見出しにくくなることから、社会的な関わりが少なくなり家に引きこもりがちになりやすい。このような状況は高齢者の日常生活を非活動的にし、身体的生活機能のみならず、精神的および社会的な生活機能をも低下させる大きな要因となる」
(4)「脳を鍛えるには運動しかない!」 (レイテイ、野中訳、2009年)という本によれば、運動をすると脳内で脳由来神経栄養因子BDNFが増え、神経細胞の存続や成長に重要な働きをするとのことです。
(5)「運動や身体的活動は、脳を守るかDo Exercise and Physical Activity Protect the Brain?」(米国国立健康研究所NIH、Go4Life)という文書は、次のように述べています。
https://go4life.nia.nih.gov/sites/default/files/Do_Exercise_and_Activity_Protect_Brain.pdf
「運動は、古いネットワーク結合を維持する脳の働きを高めることができる。また、健全な認知を行うのに不可欠な新しいネットワークを作ることができる」
(6)Buettener氏によれば、沖縄の長寿村の人々は、高齢になっても農業や漁業を行って働き、野菜、魚、豚肉、豆などの自然食品を食べているとのことです。
「The Blue Zones」(Dan Buettener、p228、2008年)などによる
http://travel.nationalgeographic.com/travel/happiest-places/blue-zones-okinawa-photos/#/seaweed-japan_41551_600x450.jpg
高齢でも元気に働くことができるのであれば、いわゆる老人問題(介護問題)は存在しないことになります。
(7)ハーバード大学のLieberman教授によれば、狩猟採集生活をする人々は、かなり健康であるとのことです。毎日かなりの距離を歩いたり走ったりしています。イモ、野菜、果物、動物の肉などの自然食品を食べています。他のグループとの交流も少ないので、感染症も少ないとのことです。
男は高齢になっても、動物を数時間も追いかけて捕まえる狩りをするとのことです。
男は高齢になっても、動物を数時間も追いかけて捕まえる狩りをするとのことです。
https://www.youtube.com/watch?v=KxtpJt7jwQg
運動は本当に薬なのかIs Exercise Really Medicine? 進化的な一つの見方 An Evolutionary Perspective」(Daniel Lieberman、2015年)
https://www.fas.harvard.edu/~skeleton/pdfs/2015c.pdf
以上の(1)~(7)のように、運動(働くこと)により、健康・長寿が可能になります。