次のような文章を読みました。


(1)「運動は本当に薬なのかIs Exercise Really Medicine? 進化的な一つの見方 An Evolutionary Perspective」(Daniel Lieberman、2015年)という文章を読みました。
https://www.fas.harvard.edu/~skeleton/pdfs/2015c.pdf

動画と同じ著者による文章です(ハーバード大学のリーバーマン教授)。

「ヒトは最近までは、身体を不活発な状態にしておく余裕は無かった。それで、不活発な状態を防ぐような強い淘汰も働かなかったのである」

「カラハリやアマゾンで狩猟採集生活をしている人たちは、21世紀のアメリカ人と同様に、不必要な運動を本能的に避けている」

「(対策として)まず第一に、学校や職場などで、もっと楽しい身体的運動を行うことが考えられる。第二に、身体的運動をもっと多く必要とするように、環境を作り変えることが考えられる」

(2)「現代に狩猟採集生活をする人々は運動の価値を示しているModern Henter-Gatherers Show Value of Exercise」(Alexis Blue、2016年)という文書を読みました。
https://uanews.arizona.edu/story/modern-huntergatherers-show-value-exercise

「アメリカ合衆国では、人々は年を取ると体の活動レベルは大きく落ち込む。しかしハッザのい人々では、そうではない。年をとっても体の活動レベルは一定である」

(3)「研究によれば、『ランナーズ・ハイ』は、運動の進化を動機づけたRunner's high motivated the evolution of exercise, research suggests」(Science Daily、2012年)という文章を読みました。
https://www.sciencedaily.com/releases/2012/03/120322100307.htm

「多くの人は、運動の後で『ランナーズ・ハイ』を経験する。それは、脳の報酬中枢において、内因性カンナビノイドによる信号で引き起こされたものである」

「Andrea GieffridaとAlexandre Seillerは、血液中の内因性カンナビノイドの濃度を調べた。ヒトとイヌにおいて、活発に走った後では、血中内因性カンナビノイド(アナンダミド)の濃度は急上昇した」

(4)「運動はどのようにして良い脳をもたらすのかHow Exercise Could Lead to a Better Brain」(ニューヨーク・タイムズ・マガジン、Gretchen Reynolds、2012年)という文章を読みました。
http://www.nytimes.com/2012/04/22/magazine/how-exercise-could-lead-to-a-better-brain.html

「科学者は(1990年代に)、運動が神経を新しく作ることを発見した。マウスやラットを2、3週間走らせると、そうでないマウスやラットに比べて、海馬で2倍の新しい神経細胞が認められた。マウスやラットの脳は、筋肉と同様に、運動により大きくなった」

「神経細胞をネットワークに結び付ける方法の一つは学習である。(中略)。(学習によって作られた)神経細胞は、働きが非常に限られている」

「運動によってつくられた神経細胞は機敏である。マウスの運動は、学習とは異なって、脳の細胞を増やすだけでなく、多くの課題の遂行を可能にする」

(5)「脳と筋肉の連結:運動とヒト神経生物学の進化Linking brain and Brawn: exercise and the evolution of human neurobiology」(David Raichlen、2013年)を読みました。
http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/280/1750/20122250.long

「げっ歯類では、回転車で自由に運動させると、海馬の歯状回で新しい神経細胞が3倍~4倍に増える」

「運動によって作られた神経細胞は、認知機能に大きな影響を与え、脳の一部分を大きくする」

「有酸素運動は、神経細胞を増やし、神経を保護し、認知機能を改善させる。これは主に神経蛋白質と神経成長因子の増量を通じて行われる」

「脳由来神経成長因子(BDNF)は、運動によって神経細胞が増えることに関与する重要な神経成長因子である。(中略)。BDNFの他に、インスリン様成長因子(IGF-1)や、血管内皮細胞成長因子(VEGF)も、運動と共に増加し、神経細胞の増加に役立っている」

「180万年前ごろに我々の祖先は、それ以前の人類より長い距離を、歩いたり走ったりし始めた。そして、それ以後にヒトが進化する間、増加した有酸素運動に対する形態的な適応が進むと共に、体に対する脳の割合は、化石人類や大型のサルより、大きくなっていった」