「離婚で壊れる子どもたち」(p232)に書いてあったケリーとラム2000 の論文を読みました。A4で13ページほどの解説文です。
題名 Using child developement research to make appropriate custody and access decisions young children
著者 Joan B. Kelly and Michael E. Lamb
雑誌 Family and Conciliation Courts Review, Vol.38, No.3, July 2000, 297-311
(雑誌は、現在はFamily Court Reviewに改名)
著者 Joan B. Kelly and Michael E. Lamb
雑誌 Family and Conciliation Courts Review, Vol.38, No.3, July 2000, 297-311
(雑誌は、現在はFamily Court Reviewに改名)
著者は、次のように述べています。
(1) 多くの証拠によれば、ほとんどの幼児は、両方の親に対する有意味な愛着を、ほぼ同じ時期(6ヶ月から7ヶ月)に形成している。我々の文化では、母親が子どもに接する時間の方が、父親が子どもに接する時間より長いのであるが、それは事実なのである。これが意味することは、相互交流に使われる時間の長さは、愛着行動をの発達を左右する唯一の要因ではないということである。ただし、交流の時間がある閾値より長いことは、必須の条件である。
(2) 実際に多くの子どもを観察した研究にゆれば、乳幼児は、愛着を形成し維持するために、両方の親との恒常的な相互交流を必要としている。いずれかの親からの分離が長引くことは、愛着関係に強いストレスを与えるので、望ましくない。
「安心の愛着」であった子どもは、最初に「不安の愛着」であった子どもよりも、独立的で、社会的な能力に優れ、質問をよく行い、同僚と協力的で共感的であり、自己評価が高く、問題解決に粘り強さと柔軟性を発揮する。
(3) 乳幼児と親との関係がいったん分断されてしまうと、親子関係を再び樹立させることは、極めて困難である。何よりも、まずそうした分断を避けることが、全ての関係者にとって必要なことである。
(4) 生後15ヶ月から24ヶ月の幼児は、両方の親と良い愛着関係がある場合でも、母の家から父の家へ移行することに抵抗するのが普通である。しかし、一たび母親の所から離れると、子どもは父親と良い関係になる。逆の場合も同じである。
著者の一人のMichael E. Lamb は、米国国立「子どもの健康と発達の研究所」の「社会的発達、感情の発達」部門の責任者です。この人が書いた 「 The Role of the Father in Child Development 」 を持っていますが、656ページもあり、まだ読んでいません。「つん読」です。Google Booksでその一部分を無料で読めます。