修正案
(1)「破綻的別居」は単に「別居」でよいのではないでしょうか。どのような別居でも、交流しない時間が増えると、親子関係は切れる恐れがあります。
別居と離婚をまとめて、「離婚または別居に際して」という表現でどうでしょうか。
別居に際して決めるべきこと(例えば交流の回数)は、先に決めて実行する必要があります。離婚に際して決めるべきこと(例えば養育費)は、その後で決めればよいことです。
離婚とは、子どもとの親子関係は維持しながら、夫婦関係だけ解消するということです。その法的手続きの部分が離婚ということです。逆に、同居していても離婚することも可能です。
親子が別居すると、子どもの身体を2つに分けることはできませんから、子どもはどちらかの親と一緒にいることになります。それが、監護親です。しかし、子どもの時間を2つに分けることは可能です。
(2)「面会交流」という言葉が使われています。「面会」というのは、通常の親子がすることはありません。子どもが病院に3ヶ月ほど入院している時に、離れている親が1~2回経過中に「面会」に来るかもしれません。親が子に面会するなどというのは、通常の親子関係ではありません。不自然です。「面接交渉」という言葉とどこが違うのでしょうか。そうした言葉は「二人の親を持つ」という子どもの権利を消し去っています。
「面会交流」よりも「親子の交流」か「育児の時間」がお勧めです。ただし「育児の時間」という言葉を採用すると、この法律の議論をする際に、何を議論しているのか分かりにくくなります。
法律の始めの部分で言葉の定義をすれば良いでしょう。
「この法律で『親子の交流』というのは、これまでの法律で『面接交渉』や『面会』と呼んでいたものをさす。これまでの用語は、『二人の親を持つ』という子どもの権利を消し去っているので、『親子の交流』という語に置き換える」とでもすればよいでしょう。
「この法律で『親子の交流』というのは、これまでの法律で『面接交渉』や『面会』と呼んでいたものをさす。これまでの用語は、『二人の親を持つ』という子どもの権利を消し去っているので、『親子の交流』という語に置き換える」とでもすればよいでしょう。
(3)2条1項では、白紙のような内容です。裁判官が自由に決めるような感じです。当然争いになるでしょう。現状でも、子どもの福祉のために、日本の裁判官は、月に1回、3時間が最も良いと判断しているのです。これでは、何も変わらないのではないでしょうか。年齢ごとに、標準(目安)を明記しておいたらどうでしょう。10歳なら、アメリカの標準くらいを目安にします。もっと年少の子どもでは、時間を短くして、回数を増やします。年長の子どもは、その逆です。
2条3項では、「子の利益を害する」と書いてあります。現状では裁判官は、多すぎる交流は子の利益を害すると考えています。非同居親が過度に関与するのは、子どもの安定を害すると考えています。「子の利益」の中身を書いておかなければ、意味が無いでしょう。白紙なら、現状どおりで、何も変わらないでしょう。紛争になって、弁護士が必要になるでしょう。
(4)3条3項で、裁判所が懲罰的に親権停止する以外は、親権停止にしないのが良いです。離婚はあくまで、夫婦関係を解消するだけです。親子関係を解消するのではありません。弁護士が、親子関係の切断を、離婚紛争の激化に利用しているというだけです。
離婚以外では、親権を放棄することに自ら同意する制度もありません。二人の親を持つことが子どもの最善の利益です。最善の利益の内容をもっと具体的に記述する必要があります。現状では、白紙が多すぎて「裁判官は法律なり」ということです。
(5)4条1項で、協議離婚において、これまで離婚届を出すだけであったものが、共同養育計画書を提出することになります。私は、さらに次のような仕組みを提案します。
まず、協議離婚を望む者は、役所に2人で出頭して、用紙をもらいます。離婚届けと共同養育計画書を書く用紙です。さらに、正しい結婚生活に必要なもの(例えば充分なコミュニケーション)を説明したパンフレットと、離婚後の子どもの養育に必要なもの(例えば充分な親子の交流)を説明したパンフレットを、2人の親にそれぞれ渡します。3ヶ月後に、決心が変わらず、届けと共同養育計画書が適正に書けていれば、届出離婚を認めるというものです。予防的措置があるかどうかで、この法律が誰のためのものかが明白になります。
(6)1条3項でも、「子どもの利益を害する」と書かれていて内容が書かれていません。離婚を推進する側は、暴力があったと訴えるでしょう。あるいは、言葉による暴力があったと訴えるでしょう。そのような実態が本当に有る場合にも、監視下で親子の交流を行えば良いのです。他の国の規定を参照すべきです。
6条5項に「すみやかに」を入れます。
(7)7条2項に「子どもの年齢に応じて、子どもに意見を聞かなければならない」を入れます。子どもの権利条約を無視してどうするのでしょう。聞くだけで良いのです。
要するに「恒常的」に育児の時間を持つということです。離婚手続きを行っても、親子の関係を切らないということです。