ラルソン氏による「結婚についての誤った考え」という文章の訳(4)です。訳(1)訳(2)訳(3)を先に読んで下さい。

6.自分の感情が先に変わらなければならないという神話
誤った考え:私が相手に対する行動を良いものに変えるより先に、相手に対する私の感情が良いものに変わる必要がある。

もしも、あなたが相手をより深く愛するようになれば、相手に対する行動も変わり、相手を賞賛し、相手に何かをしてあげることができるようになります。しかし、どうすれば、あなたの感情を先に変えることができるのでしょうか。魔法はどこにあるのでしょうか。セラピストは、先に感情を変えるためのアドバイスをほとんどしません。それと対照的に、行動を変えるための知識は豊富にあります。だから自分の行動についてまず注目するのが実際的です。ところで、行動と感情の関係とは、あなたが片方(行動)を変えれば、あなたの他方(感情)も変わるということです。ここで一つ注意しておきたいのは、もしあなたが、相手に対する行動を変えるより先に、相手に対する感情が変わるのを待っていると、おそらくあなたは結局行動を変えないということです。

正しい考え:結婚するということは、自分の気の進まないことでも、パートナーを喜ばせるために、何かをしなければならないこともあるということです。パートナーの喜びが増すにつれて、今度はお返しに、こちらが喜ぶことをしてくれるでしょう。そして自分も嬉しくなり、感情が変わるのです。長い間ためらうことなく、まず自分の行動を先に変えると、その結果として自分の気持ちもずっと良くなるのです。

7.ロマンチックな愛が全てだという神話
誤った考え:ロマンチックな愛を維持することが、ほとんどのカップルにとって一生涯を通じて幸福な結婚生活を送る上で鍵となる重要な条件である。

結婚生活を長期に維持する上で、ロマンチックな愛に対する友情のような愛の重要さを指摘した前の私のコメントを読んだ後であれば、あなたはこの文が誤りであると分かったことでしょう。ロマンチックな愛情は、長期にわたる結婚生活の満足さに対して、ある一定の効果を及ぼします。しかし、結婚前か結婚直後に友人になるのが望ましいことです。また、二人の間で利他的になることも必要です。これらの3つの種類の愛情は、一生涯続くあなたの結婚生活において、人間関係を維持するのに役立ちます。

正しい考え:結婚生活を維持するには、友情も、利他的な愛も必要です。

8.結婚は半分ずつの取引だとういう神話
誤った考え:結婚は常に50%ずつのパートナーシップでなければならない。

残念なことに、環境や個人の状況はとても複雑なので、我々は、結婚生活に常に半々ずつの貢献をし続けることはできません。ある状況では(例えば私の妻が病気になった時などでは)、私の妻が10%の貢献をして、私が90%の貢献をする場合があります。次の週には、病気、仕事の責任、子どもの養育上の問題、その他の状況により、その10-90の比率を変えなければならないかもしれません。そうした短い時間では、50-50の割合の結婚を維持することはできません。長い時間であっても、幸福な結婚生活を送るカップルは、50-50を上回る貢献をしていると報告しています。また、何でも半分ずつに分けようとするカップルは、上手な人がした方が良い場合もあることを忘れています。例えば、車の修理は私がした方がうまく行きます。妻は苦手です。だから車の修理は、全て私が行っています。これは、私たちにとって公平なことです。車の修理に関する限り、私たちは、50-50の分担を行っていません。ついでに言えば、トラブルのある結婚生活の兆候とは、頭の中に分担表があって、相手のために自分がすることの全てを勘定し、怒って「恩を返せよ」などと言うことです。

正しい考え:もし相手を喜ばせることに意識を集中して、分担にこだわらず、自分が適切にできることを全て行うのならば、結婚の絆は、より強くなるでしょう。

9.結婚は全てを解決するという神話
誤った考え:結婚は、私の全ての必要を満たす。

結婚したばかりのカップルは、しばしばこのように考えています。しかし、結婚後数ヶ月すれば、自分が必要とする多くのことに比較して、結婚はそのごく一部しか満たさないことに気が付くでしょう。結婚で満たされない部分については、自分で人を探すしかありません。例えば新しい花嫁は、1日の終わりに相互理解のために有意義な会話をしようとしても、新しい花婿が座って話を聞こうとしないことに不満を持つかもしれません。花婿には、際限の無い話に聞こえるのです。花婿は、親密な会話を長い時間行うことに慣れておらず、すぐに疲れて、最後にはイライラしてくるのです。幸いなことに、花嫁は、そのうちに自分の親友と自分の感情を共有するようになります。それで、自分の夫が、自分の会話の必要性を満たしてくれないので、自分の結婚は貧弱なものである、などと結論しなくて済むようになります。

結婚した後も、それ以前と同じように、結婚の外で、自分の必要性の多くを満たさなければならないのです。例えば、私がゴルフを誰かとしたいという必要性は、私の妻では満たすことができません。妻はゴルフが好きではありません。私の男の友人がゴルフコースにおける友達付き合い、ゴルフの競技会、ゴルフについての会話などをしてくれます。

正しい考え:結婚は、私たちの多くの必要性を満たします。それ以外の必要性は、適当な人々が満たしてくれます。

10.秘密にして独力で解決しなければならないという神話
誤った考え:カップルは、自分たちのトラブルは、秘密にして自分たちだけで解決しなければならない。

これは、結婚の間のタブーと呼ばれています。これは、自分の結婚のことを他の人に話してはいけないし、他の人に助けを求めてもいけない、というタブーです。ここアメリカではプライバシーが尊重されますが、全ての文化で尊重されているわけではありません。あまりに多くのカップルは、遅くなりすぎるまで、自分たちの問題を、自分たちだけで抱えています。そうして、結婚問題のセラピストさえも修復できないまでに機能不全に陥ってしまうのです。私は、自主独立の精神を賞賛します。人に頼らず自分ですることです。しかし、自分の結婚生活を良くするための援助を、外に求めるべき時を知っていることは、知力があるということです。

世の中には、善良で専門的な知識を持った人が多くいて、あなたが結婚の問題を解決することを喜んで助けてくれます。例えば、親しい家族のメンバー、友人、聖職者、そしてセラピストなどです。我々の人生におけるトラブルは、結局は、世話をしてくれる人によって解決するのです。あなたの結婚の世話をしてくれる人は誰ですか。共感して話を聞いてくれる人は誰ですか。アドバイスや元気付けをしてくれる人は誰ですか。良い友達や専門家のように、信頼できる人でなければなりません。聖職者や結婚セラピストのように、問題を客観的に見ることのできる人が、良いです。

正しい考え:自分の問題を秘密にして手を打たないと、しばしば失敗に終わります。信頼できる人に助けを求めなさい。

次は何をすべきか
今や、あなたは、自分が結婚のどの段階にいるかを理解しています。そして、夫婦の人間関係や、人がどのように変わるか、について正しく理解しています。それで今、自分の結婚の状況を、さらに客観的に評価する準備ができました。「結婚の調整」を行うべき時でしょう。

結婚の調整は、比較的簡単に行うことができます。あまりお金もかかりません。時間もたいしてかかりません。カップルとしての資産と負債を明らかにすることに焦点が置かれています。大半の人では、ライセンスを持った結婚セラピストの手伝いが無くてできます。問題が慢性化して重症であれば、カップルは、結婚の調整の結果を専門家に見せて援助を得ることもできます。

結婚生活の満足をもたらすものについて、正しい研究と理論に基づいて、一つの解決法を示したものが「素晴らしい結婚生活への調整の本」です。

この調整のマニュアルの本を用いて、カップルは、自分たちの性格などの個人的な状況や、コミュニケーション技術などのカップルの状況や、外部から受けるストレスなどの環境の状況を評価します。あなたの結婚に対する「エックス線写真」として、あなたの愛の資産を祝い、負債を改善させるために、その結果の使い方についてのガイドラインも記載されています。全ての過程は、3~4時間しかかかりません。

カップルを評価して豊かにさせるための情報は、次のサイト:http://www.smartmarriage.comでも得られます。結婚の調整のように、結婚生活を豊かにするための試みは、治療よりもむしろ予防のためのものです。予防は治療より、安価で、少ない時間ででき、より安全で便利であり、ストレスも少なく、プライバシーが守られます。あなたの結婚生活を活性化するために、ぜひすべきことです。

ジェフリー・H・ラルソン博士は、ブリグハム・ヤング大学の結婚と家族療法の教授です。同氏は、家族関係に関する全国会議の結婚準備グループの議長をしていたことがあります。また、結婚と家族のセラピストを25年間行っています。また2冊の本を書いています。「私たちは一緒に暮らし続けるべきか」(Jossy-Bss)と、「素晴らしい結婚生活のために調整を行う本」(Jossy-Bss)の2冊です。後者は、夫婦関係を評価して刷新するプログラムであり、効果が証明されています。この文章は、この本から抜粋したものです。