森の薫り(詩) | ruka498abcdyのブログ
旋回する羽根
てのひらから生まれた
過ぎてゆく時刻よ
ちいさな公園に描かれた
イタリック体の休息
街に渦の重力が瓶の中に起こり
春、貼り付けられた窓は砕け
夏の毒虫の飛ぶ夜の痣は結ばれ
秋、燃え上がる滴りを飲み干した
そして冬ー水に筋をつける指先を
箱の中にしまった
眠ることは憧れること
枕に唾液で染みをつくり
夜を描いた薔薇の滲みのように
寝返りを打つ
文字盤をついばむ烏の群れ
印刷された夜の
読まれてゆく液体
時刻が
てのひらから生まれ
てのひらの上で死ぬ
ヴェールの中で時刻が
また羽化している
森 ルカ