ぽろり
ぽろり
涙が流れました
ぐず
ぐず
鼻水が垂れました
ちーん
ちーん
ティッシュをつかいました
ぱりん
ぱりん
いろんなことが変わりました
12月から住み始めた部屋には
いつのまにか生活の柄が
その柄はやっぱりあなたでした
あなたの髪でした
あなたの胸でした
あなたの肩でした
あなたの膝でした
あなたの肘でした
あなたの爪先でした
あなたの指でした
あなたの頬でした
あなたの口でした
あなたの鼻でした
目をつぶると匂いがする
キッチンからじゃがいもを焼く香りが
ティファールでいれたチャイとコーヒーの香りが
コンタクトレンズケースのカタカタも聴こえる
風呂場にはつまりぎみのシャンプーがある
温度調整がしづらいシャワーもある
枕元にはカゴがあって
細かな思い出は輝きをやめない
いつもこの世田谷区羽根木のマンション5階には生活の柄が。
あなたの柄があるのです。
ぽろり
ぽろり
涙が流れました
ぐず
ぐず
鼻水が垂れました
ちーん
ちーん
ティッシュをつかいました
ぱりん
ぱりん
いろんなことが変わりました
マスカラは黒い川と流れました
