ミミノ (1)ジョージアのお話しです
Мимино (1) Сцена 1-6:
В вертолёте, На аэродроме, На киносеансе, В Телави, В аэропорту Тбилиси.
ヘリコプターで、空港で、映画上映、テラヴィで、トビリシの空港で
8月末仕事でアタフタしていましたら長年の友人が癌発見から7ヶ月で亡くなってしまって・・・。
9月10月と両親の命日もあり、気持ちが沈んでブログに向かえませんでした。
無理に元気を出さず、日にち薬でボチボチと書いていきます。
今日からはまた古い1977年のソ連映画ですが、そこはかとないペーソスが感じられるコメディ(грустная комедия )「Мимино ミミノ」
«Я шагаю в Москве 僕はモスクワを歩く» と
«Осенний марафон 秋のマラソン» を見ている
ダネリヤ Георгий Данелия 監督の作品です。
今回の作品の舞台はモスクワでもペテルブルクでもなく、
今はジョージアのグルジアГрузия 。
主演俳優もロシア人ではなく;
Мимино (Валико Мизандари) – Вахтанг (Буба) Кикабидзе
ミミノ(ワリコ ミザンダリ)‐ヴァフタング(ブバ)キカビゼ
グルジア人俳優・音楽家(1938-2023)
Рубик Хачикян – Фрунзик Мкртчян
ルビク ハチケン‐フルンツィク マクリッチャン
アルメニア人俳優 (1930-1993)
コーカサス山脈Кавказские горыの
小さな町Телавиテラヴィ の地方空路で働く
パイロットлетчик のミミノと、
奇妙な出会いで知り合ったトラック運転手ハチケンの物語り。
軽快なリズムの挿入歌「チト‐マルガリト «Чито-гврито,
чито-маргалито (птичка-горлица,
птичка-жемчужинка» 」と
オープニングの「«Приходит день, уходит день
一日がめぐり来て、去っていく»を主演のキカビゼが歌っています。
「チト マルガリト」は着メロとしても愛されているとのこと、
グルジア語で全く分からないのですが楽しい曲。
Мимино: «Марципан», «Марципан»! Я – «Сокол». Вошёл в зону, прошу условия посадки. Как слышите? Приём.
Авиадиспетчер: «Сокол»! Я «Марципан»! Высота по стандарту 1.800, ветер 2-3, юго-запад. Посадку разрешаю!
ミミノ:「マジパン」、「マジパン」! こちら「タカ」区域に入った、着陸状況を頼む。
聞こえているか?了解。
航空管制官:「タカ」!こちら「マジパン」!標準高度1800、風力2-3、南西、着陸許可。
最初の台詞が「«Марципан» マジパン」!
コールサインпозывнойがお菓子で、長閑というか楽しいコメディの予感。
приём 無線連絡の際に、「了解」
離陸⇔着陸 взлёт⇔ посадка
ヘリコプターを鎖で固定する光景を見て、監督はこの映画のシナリオを
思い立ったそうです。
ここで出てくる飛行場は
аэродром 発着場と管制設備を持つ設備
(軍の施設なども、 военный аэродром)
これに「аэровокзал 乗客の入る建物」が付くと
аэропорт空港
Мимино: Вот это круглое – рулетка.
В неё на деньги играют
Мужчина: Валико, что она хочет?
Мимино: Ничего не хочет. Танцует.
・・・
Мимино: Умер. Кончилось кино.
ミミノ:この丸いのはルーレット。これに金を賭けている。
男性:ワリコ。彼女はどうしたいんだ?
ミミノ:何も。踊っている。
・・・
ミミノ:死んだ。映画は終わり。
ソ連時代にはB級インド映画が多く上映されていたそうです。
パイロットのミミノは運んできた映画の映写技師もする何でも屋。
広場での映画会、レトロですね。
「ミミノ」からは今も口にされている沢山の名セリフが生まれていますが、
「Умер. Кончилось кино.」もその一つ。
「これで終わり」という時に好まれる言葉だそうです。
Кукуш: Ну-ка, посмотри!
Мужчина: Немного жмёт.
Кукуш: Жарко. От тепла предметы расширяются, а это кепка зимняя.
Зимой твоя голова будет меньше. Иди.
ククシュ:さ、見て!
男性:少しきつい。
ククシュ:暑いんだ。熱で頭が広がる、これは冬の帽子さ。冬は頭が小さくなるよ。行きな。
エピソードが続きます。テラヴィで帽子屋の友達と会うミミノ。
帽子屋と客の会話も傑作!
グルジア人のダネリ監督が、その国民性というか独特のユーモアを映画にちりばめています。
注文された帽子のサイズを間違えたのでしょうに、何とか言いくるめてしまう。
漫才のような会話。
Немного жмёт.
これは買い物などで使えますね。
жать (жму, жмёшь) 押す、(服や靴が)きゅうくつだ。
Туфли жмут. 靴がきつい
В плечах жмёт. 肩の所がきつい。
Кепка 廂のある帽子ですが、グルジア人がかぶる天井の大きな帽子の通称は
аэродром(飛行場)。飛行場から帽子への繋がりが絶妙です。
Гиви: Нет, нет и нет!
Мужчина: 5.800 голландских кур ждут меня в Тбилиси. Что мне делать?
Гиви: В первую очередь мы обслуживает пассажиров.
Мужчина: Товарищ Гуглидзе, это демагогия! Пассажир может 2 недели сидеть, и с ним ничего не случится, а курица испортится.
ギヴィ:ダメだ、ダメだ、ダメ!
男性:オランダの鶏5800羽がトビリシで俺を待ってるんだよ。どうしたらいいんだい?
ギヴィ:我々はまず、乗客に奉仕しているんだ。
男性:ギグリゼ同志、それは一方的だよ!乗客は2週間座っていてもどうという事はない、でも鶏肉はダメになる。
ソ連なら「アルアル」の感じの会話。
どんなに飛行機が遅れても何のアナウンスもなかった空港を思い出しました。
Демагогия デマ、身勝手な言い分
испортиться(完)- портиться 壊れる、腐る。
これも日常使われる表現。
Мясо быстро испортиться. 肉は直ぐに腐る。
Эта рыба до завтра испортиться.
この魚は明日まで持たない。
Валерий: Мимино! Не узнаёшь?
Мимино: Валера, дорогой, слушай! Какими судьбами?
Валерий: Да вот, Дели не принимает. Ну а ты как? Где ты?
Мимино: Я вот… Кур вожу, голландских.
Лариса: Здрасьте!
・・・
Лариса: А Мимино – это фамилия или имя?
Валерий: Мимино по-грузински сокол.
ワレーリ:ミミノ!気が付かないのか?
ミミノ:ワレーリ、いい奴だ、なあ!どうしてまた?
ワレーリ:うん、デリーの受け入れがなくて。どうしている?どこだい?
ミミノ:俺は、ま、鶏を運んでいるオランダの。
ラリーサ:こんにちは!
・・・
ラリーサ:ミミノというのは、姓ですか名前?
ワレーリ:グルジア語でミミノは鷹さ。
不思議なタイトル「ミミノ」の由来がはっきりして。
航空学校で共に学んだ相手は国際線のパイロット、自分はヘリコプターで鶏肉を運んでいる。
美人のラリーサにも気をとられたミミノはある決心を・・・。
ヘリコプターの中でも、空港でも愛犬と一緒のミミノ。
名前は「зарбазан ロシア語ではпушка(大砲)」
この映画、ジョージアのヘリコプターか馬でしか行かれない(1977年当時)
山の村でテント生活でロケが行われたそうです。
犬も調教師と同行したのですが、騒音に反応。
テラヴィで拾った音にもヘリコプターにも動じない野良犬がミミノの愛犬役になりました。