二十六年式拳銃は、独立したシリンダーストップがないという設計上の欠陥があるものの、国産拳銃特有の粗削りで、野暮ったいデザインが何とも魅力的だ。ハートフォードのモデルガンは、実銃同様のメカニズムと分解方法を再現しており、立体模型としての完成度が非常に高い。

 

 

●国産初の軍用拳銃

 

 二十六年式拳銃は、日本陸軍が1893年(明治26年)に制式採用した中折れ式のダブルアクションリボルバーで、国産初の軍用拳銃である。設計者は、東京砲兵工廠の宮田太郎少佐で、ベルギーのナガンM1878やフランスのMAS M1873を参考したと言われている。騎兵が使用することを前提として設計されているため、撃発機構はダブルアクションオンリーとなっている。また、二十六年式拳銃は独立したシリンダーストップを備えておらず、トリガーを引き切ったときにトリガー後部がシリンダーのノッチと噛み合うことで、シリンダーストップの役割を果たしている。弾薬は、二十六年式拳銃専用の9mm弾を使用する。

 

 

●ビンテージレプリカモデルガンシリーズ


 ビンテージレプリカモデルガンシリーズは、実銃の特徴的な機構を安全なモデルガンで再現したハートフォード肝煎りのシリーズで、九四式自動拳銃に続く、第2弾として2011年11月に二十六年式拳銃が発売された。今回は、2020年に再販されたノーマルモデルをご紹介する。

 

 

 パッケージは、二十六年式拳銃の分解図が描かれたもので、雰囲気は良い。

 

 

 今回のロットでは、取扱説明書に加え、「二十六年式拳銃保存法」の復刻版が付属した。

 

 

 中折れ式のリボルバーということで、バレル下にエジェクターロッドがなく、非常にスッキリとしている。

 

 

 カートリッジには、弾頭が付属するので、ダミーカートリッジとしての楽しむことができる。但し、本体に装填する際は弾頭を取り外す必要がある。

 

 

 大きさの比較としてS&W M36、M10と並べてみる。二十六年式の大きさは、JフレームとKフレームの間といった感じで、グリップ回りに関してはJフレームに近い。

 

 

 二十六年式拳銃と同じ中折れ式リボルバーであるエンフィールドと。全体的なデザインが似ていることから、同世代のリボルバーに見えるが、エンフィールドが開発されたのは、二十六年式の開発から約40年後のことである。

 

 

 バレルをブレイクオープンすると、エキストラクターがせり上がり、空薬莢が自動で排出される。

 

 

 フレーム右側には、二十六年式拳銃の刻印が入る。

 

 

 ダブルアクションオンリーなので、ハンマーにスパーはない。ハンマーノーズの先端の曲がり具合も見事に再現されている。

 

 

 トリガーは、ややワイドなもので、セレーションなどは入っていない。トリガープルは、レットオフ直前で重くなるが、メインスプリングが弱いためか、ストレスはさほど感じない。

 

 

 トリガーを引き切ると、トリガーの後部がせり上がってきてシリンダーを止め、シリンダーストップの役割を果たす。もちろん、トリガーを引いていない状態では、シリンダーがクルクルと回ってしまうが、エキストラクターとハンドがガッチリと噛み合っているため、逆回転することはない。

 

 

 フロントサイトは半円型で、実銃同様にピン止めになっている。

 

 

 リアサイトはスクエアノッチのフィクスドタイプ。ノッチが狭く、浅いため、サイトピクチャーは良くない。

 

 

 左右非対称のグリップも見事に再現されている。グリップが湾曲しており、角がないため、手によく馴染む。グリップ底部には軍用銃らしくランヤードリングが付く。

 

 

 トリガーガードを引き下げ、サイドプレートを持ち上げると内部メカを見ることができる。松葉バネがハンマースプリングとリバウンドスプリングを兼ねるという構造で、コルト パイソンのメカに非常に似ている。

 

 

●最後に

 

 ハートフォード 二十六年式拳銃は、実銃のメカニズムや分解方法などを忠実に再現したモデルで、国産初の軍用拳銃である二十六年式拳銃の構造を詳しく知ることができる。ビンテージレプリカモデルガンシリーズは、二十六年式拳銃のほかに、九四式自動拳銃、リバレーター、ボーチャード、モーゼルHScと特徴的なメカニズムを有したモデルがラインナップされており、いずれも人気が高い。私はモーゼルHScの再販を待っているが、近々の再販の予定はないとのことなので、二十六年式拳銃で弄りながら、気長に待とうと思う。