キングコブラは、コルトが1986年に発売したMkVシリーズのダブルアクション・リボルバーです。MkVシリーズは、ローマンやトルーパーなどでお馴染みのMkⅢシリーズを改良したものですが、内部メカが大幅に見直されたことにより、コルトとは思えないスムースなダブルアクションを実現しています。S&Wとコルトのダブルアクションといえば、スムースさにおいて比較にならないほど差がありましたが、MkVシリーズでは、その差が随分と縮まったような気がします。

 

 

 今回ご紹介する「KSC キングコブラ 2.5インチ」はヘビーウエイト製の発火モデルガンで、2019年4月に再販されたものです。MkVシリーズからは、キングコブラの他にトルーパーとピースキーパーもモデルアップされていましたが、現在は生産されていません。

 

 

 先端が斜めにカットされたエジェクターロッド・シュラウドがなかなかスタイリッシュです。Vフレームのサイズ感とエジェクターロッド・シュラウドの形状がライバルであるS&WのM19を彷彿とさせます。何とも言い難い形状のトリガーガードに色気を感じます。

 

 

 S&Wはフレーム右側にサイドプレートがありますが、コルトは左側にあります。フレーム右側にはスクリュー1本しかないため、寂しい印象です。

 

 

 

 左側には「KING COBRA」とランパントの刻印があります。いずれの刻印もしっかりと入れられています。

 「KING COBRA」の刻印のフォントは、コルトの他のモデルでは見られない独特のもので、好き嫌いが分かれそうです。

 

 

 左側の刻印もリアルです。

 

 

 グリップは、ホーグのラバーグリップが付属します。太すぎず細すぎない絶妙な形状としっとりとした手触りが素晴らしい、なかなか良いグリップです。ちなみに、KSCのキングコブラが発売された当初はパックマイヤーのグリップが付属していました。

 

 

 スパっと切り落としたようなマズルフェイスには賛否両論あるようです。.357マグナム・リボルバーとしては迫力に欠けるような気がしますが、シンプルで潔いマズルフェイスはプロフェッショナルな雰囲気を醸し出しており、なかなか魅力的ではないかと思います。

 

 

 トリガーはセレーションの入ったセミワイドタイプ。トリガースクリューが入れられ、遊びが調整できるようになっています。

 MkVシリーズの最大の特徴は何といっても、スムースなダブルアクションです。従来のコルトのダブルアクションは、引き切りが近づくにつれ、だんだんとトリガープルが重くなり、ゆっくりとトリガーを引くと、引き切るのがツライと思わせるようなものでしたが、MkVは引き切りが近づくとトリガープルが重くなるという特性こそ変わっていませんが、引き切り付近のトリガープルが劇的に軽くなっているので、「おぉ!いままでのコルトとは違うなっ!」と感じることができ、また、S&Wに一歩近づいたのではないかと思わせてくれます。

 しかし、S&Wのダブルアクションほどの“爽やかさ”はないので、リボルバーのダブルアクションは依然としてS&Wがナンバーワンであると思います。

 

 

 シリンダーのインサートは黒染めされており、あまり目立ちません。

 

 

 ハンマーは、水生植物の葉のような独特な形状のものです。デザイン的にはセレーションよりもチェッカリングの方が良いですね。

 

 

 リアサイトはフルアジャスタブルタイプで、ホワイトラインが入れられています。フロントサイトにはレッドランプが入れられているため、サイティングのしやすさは抜群です。

 

 

 ホローポイント弾のダミーカートかと思うほどリアルな発火カートリッジが付属します。

 

 

 KSC製品購入時の恒例行事である「ロゴマークを探せ!」。キングコブラでは、シリンダーのヨークにひっそりとKSCロゴがありました。実銃の持つ雰囲気を壊さぬようにできるだけ目立たないところに自社ロゴを入れるという配慮には非常に好感が持てます。

 

 「KSC キングコブラ」は、リボルバーのモデルガンの中でも設計が新しいため、抜群の造形と作動を兼ね備えています。ヘビーウエイト製ということで、重量感も申し分なく、MkVシリーズの内部メカを忠実に再現しているので、コルトのダブルアクション・リボルバーの進化を実際に指で体感することができます。再販の頻度が低く、次の再販は何年後か分かりませんので、気になっている方はすぐにご購入されることをおすすめします。完成度が高く、初心者からベテランまで楽しめるモデルガンだと思います。