ボブチャウスペシャルは、サンフランシスコのガンスミス、ボブ・チャウ氏がイチローナガタ氏のために作ったカスタム.45オートです。ベースはマークⅣ(シリーズ’70だと思われる)ですが、スライドとバレルはナショナルマッチのものが使用されています。ボブチャウスペシャルは、競技用としてではなく、毎日キャリーし、いざというときに使用するための「ファイティングガン」ですので、ドローする際に衣服に引っかからぬように角という角が徹底的に丸められています。その異様ともいえるルックスに最初は「これはチョット・・・」と思われる方がいるかもしれませんが、何度も見ていると、一切の無駄が削ぎ落され、機能美に満ちたルックスが魅力的に見えてくる筈です。

 

 

 「ウエスタンアームズ ボブチャウ ver.1.5 ビンテージエディション」は、ボブチャウスペシャルの所有者であるイチローナガタ氏が、さらにトリガー、グリップセフティ、メインスプリングハウジング、マガジンをカスタムしたものをガスブローバックガンで再現したモデルです。ヘビーウエイト製で、アウターバレルが金属製であるため、重量は約900gとズッシリ重く、ホンモノを感じることができます。

 ビンテージエディションは、カーボンブラック・ヘビーウエイトを丹念にした処理してから、黒染めし、ウェザリングを施したという手間ががかったモデルのため、非常に高価になっています。私が2年ほど前にWA渋谷店で購入した際には、セール価格で47,628円でした。

 

 

 パッケージは非常にシンプルなものです。パッケージ側面にモデル名と価格が記載されたシールが貼られています。

 

 

 パッケージの中には、本体、取扱説明書、ブッシングレンチ(金属製)、試射用BB弾が収められています。

 

 

 オリジナルのボブチャウスペシャルのフレームは、トリガーストップが組み込まれたショートトリガーにラウンドタイプのメインスプリングハウジング、オリジナルのグリップセフティとほぼマークⅣそのままでしたが、イチローナガタ氏の手により、随分と近代的で、さらに実戦的なカスタムとなりました。しかし、ボブチャウスペシャル本来のシンプルで、無駄のない姿は全く失われていません。

 

 

 右側面には、ボブチャウスペシャルのシンボルともいえるベルトクリップが圧倒的な存在感を放っています。ビンテージエディションということで、使い古した雰囲気を演出するためにスライドやフレームの先端、ハンマー、トリガーなどにウェザリングが施されています。

 

 

 ベルトクリップをズボンやベルトに引っ掛け、インサイドパンツすることで、ホルスター無しでコンシールドキャリーすることができます。強度は十分で、激しくドローしてもビクともしません。

 

 

 ベルトクリップを着けた状態でも、そのままホルスターに入れることができるので、なかなか便利です。約900gで5インチもあるGUNをインサイドパンツでキャリーするのは重く、動きづらいですし、ドローもやりづらいので、自分は専らホルスターに入れてキャリーしています。(キャリーすると言っても家の中だけですが)

 

 

 マガジンは、ド派手なゴールドのマガジンバンパーのものが付属します。装弾数は21発です。

 

 

 ホールドオープンさせると、このようになります。アウターバレルの色合いが良い!

 

 フレームには、ノッチ削れ対策がされているので、安心してスライドストップをかけることができます。WAのガバメントはフレームを引いてスライドストップを解除するということができないため、必然的にスライドストップレバーを下げて解除することになりますので、ノッチ削れ対策は非常に重要です。

 

 

 アスターバレルは金属製で、ブラックニッケルメッキ仕様となっています。光の具合によってシルバーに見えたり、ブラックに見えたりします。チャンバーも金属製ですので、スライドを引くと「ジャキッ!」と良い音が鳴ります。

 

 

 チェンバーには、ナショナルマッチの刻印です。ボブ・チャウ氏がカスタムしたことを表す「CHOW」の刻印がシブい。ビンテージエディションということで、使用に伴うチャンバーの擦れまでもが再現されています。

 

 

 スライド先端をアップで。徹底的にメルトダウンされています。まるで金属かと思うほどの質感で、とても樹脂とは思えません。ただ、カーボンブラックヘビーウエイトは表面処理が行われていないため、シリコンオイルで定期的にメンテナンスしないと錆びてしまいますので、注意が必要です。

 

 

 ボブチャウスペシャルを眺めていると、時が経つのも忘れてしまいます。

 

 

 サムセフティは、クラシックなスウェンソンのコンバット・セフティ。アンビタイプです。真っ黒なボディにマット・シルバーのサムセフティが良いアクセントになっています。

 

 

 

 ヘレッツのウッドグリップには、コルトのメダリオンが入れられ、マガジンキャッチ周辺が削られています。ミディアムサイズのトリガーにはトリガーストップが組み込まれています。トリガープルは非常に軽く、爽やかです。

 

 

 トリガーガードとグリップにはステッピングが施されています。

 

 

 リアサイトは、トライアングルのものがローマウントされています。リアサイトも例外なくメルトダウンされているため、フルアジャスタブルの立派なリアサイトの割にサイトピクチャーは良くありません。

 

 

 スライド先端の角が丸められていることにより、独特のマズルフェイスとなっています。ブッシングにも「CHOW」の刻印が入れられています。実銃のボブチャウスペシャルは、ボブチャウ特製のブッシングによって、約45.7mの距離で5cm以下という信じがたいグルーピングを生み出しています。

 

 

 一方で、WAのボブチャウスペシャルのグルーピングはこんな感じです。約3mの距離から直径6.5cmの円(ガンパワーの底とほぼ同じ)に向かって射撃しています。弾は0.25gを使用しました。ゼロインをしていないので、やや下に集まっていますが、なかなかのグルーピングであると思います。

 

 ただ、10m、20mという距離になると散りますので、野外でのサバイバルゲームやシューティングなどには向きません。もっとも、非常に高価なGUNなので、サバイバルゲームに使う人は少ないとは思いますが・・・。

 

 しかし、ブローバックはかなりのもので、ガツンと重いリコイルが来ます。シングルカラムマガジンのガスブローバックガンとしては業界一のリコイルではないでしょうか。

 

 

限定品が多いWAの製品の中で、「ボブチャウ ver1.5 ビンテージエディション」は1年に何回も再生産されているということから、その人気ぶりがうかがえると思います。非常に高価で、気軽に買うことはできませんが、迫力のあるブローバックと金属感溢れる質感を実現したWAのボブチャウスペシャルはコレクションとして満足度が高く、オススメの1丁です。