前田敦子松田翔太が主演する映画
イニシエーション・ラブ

映像化不可能といわれたこの作品を
どう映像化するのか注目されています。

というのも原作小説は
「叙述トリック」が仕掛けられていて、
読者の先入観を利用して
最後の二行目で「あっ!」と驚く
どんでん返しが仕掛けてあるのです。

一見恋愛ストーリーなのに
最後にミステリーに変化する。
この仕掛けが話題を呼び、
原作はベストセラーに。

さて、
映画『イニシエーション・ラブ』は
「TRICK」の堤幸彦監督が手掛けると聞いて、
これは面白そうだと思ったわけですが、
一体どんな手法でこれを
映像化するのか?
ちょっと予想してみます。

すでに試写をモニターされた方は
かん口令が敷かれて発言しないでしょうし、
もちろん俺は内容を全く知りません。
当たっていても外れていても
ただの予想なので気にしないでね。

まずこの予告編。
ここにヒントがあるように思います。



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俺が気になった点は3つ。

●松田翔太の役が「鈴木」で
名前が全く呼ばれていないこと。

●巻き戻しなどの
「メタフィクション手法」から
本編にも何らかのメタ要素がある。

●たっくん役が「松田翔太」だということ。

※ここから
原作『イニシエーション・ラブ』の
ネタバレに触れる部分がありますので、
未読の方はお帰りください


順番に解説していきます。

まず主人公の松田翔太の役が「鈴木」で
本来なら「鈴木夕樹」であるのに
予告でも公式サイトの
ストーリー紹介ですら名前が「鈴木」で
統一されています。

原作既読の方ならおわかりのように、
サイドAの鈴木と
サイドBの鈴木は別人です。
「たっくん」と呼ばれた男は
二人いたのです。
それが自然に入れ替わっているように
読者には感じるのが巧い。

サイドAの鈴木夕樹は松田翔太。
サイドBの鈴木辰也も松田翔太。
まさかどちらも松田翔太が演じて
実は別人でした、なんて言われても、
説得力は薄い。
ここに何か仕掛けがあるように思う。

二人の「鈴木」を
松田翔太が演じても納得できる方法が。
う~ん。

第二の点で「メタ手法」を取り上げていますが、
もしかして「メタ」的に
その入れ替わりを可能にしているのか?

例えば、
サイドAからサイドBに入る時、
普通に映像化したら
「鈴木」が別人だとわかりますよね?
だって別人なんだから。

そこを松田翔太でも可能にするとなると・・・
「第三者のフィルター」を通して
松田翔太と誤認させるという手がある。

サイドBに入る時に、
謎の人物が出てきます。
その人物が回想をします。
そこからサイドBの東京編が始まったとします。

鈴木は松田翔太のままです。
でも実は別人。
それはこの「謎の人物」の回想で
わざと松田翔太の姿をしているから。

推理小説のマナーに
「地の文で嘘を書くとアンフェア」
というのがあります。
地の文とは通常の説明文。
そこで嘘の記述があると
作者が故意に騙したとして嫌われる。

ところが誰かのセリフに嘘があっても
それはその人の勘違いだから、で済まされる。
だから推理作家は嘘を仕込む時に、
誰か登場人物のセリフを借りて
ミスリードを誘っています。

つまりですね、
サイドBも松田翔太が演じるなら
誰かのフィルターを通して
そう思い込ませる手法
なんじゃないかと思うんです。

まあ他に思いつかないしね。

第三点の「松田翔太」を鈴木役にしたこと。
これはおそらく
「もうひと捻りどんでん返しをやりたい」
という監督の思惑を感じます。

なんといっても
松田翔太といえば『ライアーゲーム』
アキヤマシンイチですよ。

「騙される方が悪いんだよ」と
平気で言いそうじゃないですか?
原作はマユ側が「仕掛けた」側でしたが、
映画はさらに鈴木が「やりかえす」のでは
ないかと俺は期待しています。

「原作とは異なるエンディング」と
宣伝するくらいですからね。

さ~て、
当たってるのか?外れてるのか?
この映画は是非見に行きたいですね。