サロベツ原野を走る途中、もう一カ所
サロベツ湿原センター に立ち寄りました。
“こうほねの家” を出て再び、果てしなく一直線のサロベツ原野を走っていると、道路の先を何かが横切るのが見えました。
すぐに “鹿” だと気が付いたのですが、右手からゆっくりと道路に上がってきたかと思うと、私の車の行く手で立ち止まり、じっとこちらを見ています。
(速報)でも書いた通り、徐行しながら 「カメラ!カメラ!」 と叫んだのですが嫁はすぐには気が付かなかったらしく、タイミングを逃して写真は撮れませんでした。
北海道では高速道路にも鹿が迷い込むそうで、スピードが出ていれば危険だったろうと思います。
(パンフレットより地図画像借用)
途中、「稚咲内(わかさかない)漁港」 という場所があり、珍しく信号がありました。
そこに、「左折7km サロベツ湿原センター」 という標識があったので、行ってみることにしました。
後から知ったのですが、サロベツ原野には2か所の “ビジターセンター” があります。
いずれも走ってきた道道106号から少しだけ内陸部に入ります。
「サロベツ湿原センター」 は “上サロベツ原野” に位置し、もうひとつの 「幌延ビジターセンター」 はもう少し南に下った “下サロベツ湿原” にあります。
サロベツ湿原センターにもう少しで到着する、という位置で、今度は鹿ではなく、鳥が飛ばずに走って目の前の道路を横断しました。
飛ばずに走って横断する姿が、「沖縄の “ヤンバルクイナ” に似ていたね」 と笑っていたのですが、湿原センターの中にある資料館で “クイナ” という鳥の写真がありました。
このクイナも、ほとんど飛ばず歩く生活をしているということですから、もしかしたら、私が出会ったのはこの鳥だったのかもしれません。
このサロベツ湿原センターは環境省の管轄で、サロベツ原野の成り立ちや環境、それにそこに住む動植物に関する資料を展示し、入場料などはいりません。
早速中に入ってみました。
とっても立派な建物で、例えばこの写真の中央部分は床がガラス張りになっており、湿地の泥炭の層などが見えるようになっています。
1万年ほど前のこの地域は海と繋がる大きな湖だったのですが、そこに生えた植物が枯れて分解されないまま “泥炭” となって積み重なり、約6000年ほどかけて今のような湿地帯になりました。
かつては南北27km、東西8km、面積は14600haあった湿原ですが、牧場などの開発が進み、湿原の水位が低下したことから “乾燥化” が進行し、今では6700haまで激減しています。
これ以上の乾燥化を防ぎ、自然再生への取り組みが最大の課題で、水位低下防止の為の堰を築くなどの様々な対策が取られています。
湿原センターの裏口から外に出てみると、そこには広大な湿原が広がっており、木道でいくつかの散策コースが設けられています。
かつてここでは泥炭の採掘がおこなわれており、当時の浚渫船なども実物が置いてありました。
裏側から見たサロベツ湿原センターが、この建物です。
そしてこれは、ここで貰ったパンフレットですが、サロベツ原野と利尻島、礼文島の全域が “利尻礼文サロベツ国立公園” に指定されています。
全国に国立公園は32か所ありますが、その最北の国立公園ということになります。
このパンフレットの写真、もし天気が良ければ、サロベツ原野からの利尻富士はこのように見えたのだろうと思います。
少しだけ木道を散策した後ここを離れ、再び元の道道106号に戻って更に南下しました。
途中、“サロベツ原野駐車公園” があったので立ち寄りました。
ここは8年前にも立ち寄ったことがあるので覚えています。
ここにも国立公園の表示がありますね。
この付近にもいっぱい花が咲いており、木道も設置されていますが、そこへ下りるための階段には、なぜか 『立入禁止』 の貼り紙がありました。
そしてこの公園の道路の向かい側にはこんなものがあります。
風力発電ですね。
風車自体は珍しくはありませんが、ここは 『オトンルイ風力発電所』 といって、ほぼ一直線の3.1kmの距離に28基がずらりと並んでいるのです。
北海道ならではの光景で、これは圧巻です。
ここを過ぎるとそろそろサロベツ原野も終わり、人家が増えてきて目指す天塩の町がまもなくです。